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スマイル18・王様子供を守る

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 慌ててキッチンまで走ってきた。上がった息を整え、ほっと胸を撫で下ろした。


 はー。


 これで、私が王雅にうっかりキスしちゃったコト、バレる心配はなくなった。安心ね。


 さあ、はりきって夕飯の支度よ!
 今からじゃ満足に買い物行けないから、施設内であるものでメニューを考えましょ。

 江里ちゃんがお泊り保育に持ってきてくれた野菜、残りは全部施設にって頂いちゃったから、ジャガイモがたっぷりあるの。ポテトサラダ作って、ええと・・・・確か徳用ミンチが冷凍庫にあったはず。
 大型冷蔵庫の前に立って冷凍庫の中を確かめると、ジャンボパックの徳用ミンチが三つもあったから、早速解凍してハンバーグを作ることにした。
 他の具材は、食パンのミミと、あ、卵が無いから、商店街まで誰かにお使いに行ってもらおう。
 玉ねぎもあるし、貰った野菜にトウモロコシが少し残ってたから、これもポテトサラダと一緒に甘くして付け合わせにしちゃおう。


 王様に、美味しいご飯を食べてもらうの。


 庶民のハンバーグは徳用のミンチ使っても、貴方が普段食べているような高級ハンバーグとは違って、愛情たっぷり入っているから、その分何倍も美味しいんだからね!





 ※





「楽しく生きている事と美味しいご飯が食べられる事に感謝して・・・・いただきます」



 あれからみんなで王雅の為に手作りハンバーグを作って、今食堂で出来立ての料理を囲んで、何時ものお祈りをしたところ。
 そうそう、読者のあなたたちも私のハンバーグが食べたいって言ってくれてるわね。ありがとう!
 みんなで作ったからとっても美味しいのよ。
 近くに寄ったら、是非食べにいらっしゃい。何時でも歓迎するわ。
 施設に寄付なんて、嬉しいコト言ってくれるわね。ありがとう。気持ちだけで十分よ。


 何時でも歓迎するけど、条件があるわ。王雅に変なコト吹き込むのは厳禁だからねっ!
 それだけ守ってくれたら、何時来てくれてもかまわないわ。


 そんな王雅は、最近とても真剣にお祈りをするの。きっと私達と同じように、神様に感謝の気持ちを伝えているのね。本当にこの王様、最初に会った時から随分変わったわね。

「王雅お兄さん、お祈りはもういいからー。折角ミイが頑張ったんだから、早く食べてよー。冷めちゃうよ?」

 王雅の隣に座ったミイちゃんが、グイグイ王雅のジャケットを引っ張った。「ホラぁー」

 早く食べろと急かしている。
 ふふっ、ミイちゃんかわいい。
 
「うん、サンキュー、ミイ。じゃ、いただきまーす」

 王雅が綺麗なお箸使いで出来立てのハンバーグを口に運んだ。こういう何気ない仕草とか、やっぱり上品だなって思う。
 ハンバーグだけど、上にかかっているデミグラスソースもオムライスの時に使うもので、しっかり煮込んで作ってあるから美味しいのよ。ハンバーグも残った食パンとか野菜とか色々入れるから、ヘルシーで美味しいし、隠し味にも手を抜かないから、本当に柔らかくて美味しいの。オムライスに次ぐ自信作よ!

「う・・・・まい」

 祈るように王雅の反応を見ていたミイちゃんが、うまいと漏らした王雅の一言に、安心して笑顔を見せた。

「何だコレ! メチャクチャ美味いんだけど!! おかわりあるっ!?」

 私に向かって勢いよく王雅が尋ねた。

「あ・・・・うん。沢山作ったから、まだまだあるわよ」

「あと十個は食える! 残しといて!! キープな、キープ! あと十個は俺んだから」

「あっ、王雅お兄さんだけズルいっ! ミイもおかわりするの!!」

 王雅とミイちゃんが競争してハンバーグを食べだした。

「ちょっとちょっと、ゆっくり食べてよ。王雅のおかわりの十個もあるし、ミイちゃんがおかわりする分も、ちゃんとあるから」
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