57 / 287
スマイル13・王様プールを作る
5
しおりを挟む
プールの後は、遅めの昼食を摂った。用意しておいたきつねうどんをみんなに食べさせて、プールで冷えた身体を温めた。
その後、二人がかりで遊戯室のホールに布団を敷いて、全員を寝かせた。
いつもは大抵、一人か二人は昼寝中抜け出してくる子がいるけど、今日はめいっぱい遊んだから、誰一人起きてこなかった。よほど疲れたんでしょうね。全員ぐっすりお昼寝中よ。
私達はというと、応接室でソファーに座って向かい合っていた。
今日はアイスハーブティーを淹れてあげた。施設で育てているハーブで作ったものよ。タダで沢山獲れて、しかも美味しいの。王様も、美味しいって飲んでくれた。
「王雅、今日は本当にありがとう。用意してくれたプール、本当に施設で貰ってもいいの?」
さっき、プールはプレゼントしてくれるって言ってたけど、本当にいいのかしら。
こんなにしてもらっても、何も返せないのに。
「ああ。構わねーぜ。結構楽しかったな。またやろうぜ。暇見て来るから。ガキ共と遊ぶの楽しいし」
王雅が笑った。
そうね。貴方、本当に楽しそうに子供たちと遊んでいたものね。
その姿は、嘘じゃない。私も、とっても楽しかった。
「そっか。子供たちも本当に喜んでくれたし、楽しかったから、遠慮なく貰う事にする。水が大丈夫なら、近くの子供たちも誘って、暫く遊ぶことにするわ。色々考えてくれて、本当にありがとう!」
近所の保育園もプールが無いから、子供たちを誘ってあげたら喜ぶと思う。
お世話になっている施設や、近所の子供たちにも声掛けてみよう。
プールは伝染病が怖いから、水の検査なんかもしっかりしてくれるって言ってるし、お言葉に甘えてしまいましょう。
子供たちが喜んでくれることが、本当に嬉しいわ。
それにしてもさっきから王雅の様子が変ね。
難しい顔をして黙っちゃって、一言も喋らないの。
「何黙ってるのよ、難しい顔して」
「あ、いや、別に」
「珍しいね。王雅が無口になるなんて」
「ああ。お前に見とれてたんだ」
王様が真剣な顔で私を見つめてきた。
「・・・・またそんな冗談、もう止めてよ」
思わずため息が出た。
そんなお世辞言われても、説得力無いわ。
貴方みたいな男が、私みたいな女を好きになって見とれるなんて、どう考えてもありえないでしょ。
お世辞言うにしても、もう少しマシなお世辞言えないのかしら。
「冗談じゃねーよ!!」
キレた王雅が私の傍にやって来て、そのまま応接室のソファーに押し倒された。「何度も好きだっつってんだろ! まだわかんねーのか!」
「わかんないわよっ! どうせ、今までにないタイプだから、私が珍しくてちょっかいかけてるだけっ――」
大声で叫ぶ私の口を、王雅が自分の唇で塞いできた。
また・・・・セクハラじゃない!
でも、どういうワケか前みたいにイヤじゃなかった。
それに、私が好きだって優しいキモチが込められたキスーー
「好きだ、美羽」
甘く囁かれて、少しだけドキっとした。
「前にも言ったけど、お前が、俺様の事を好きだって言うまで、何度でもやってやる。心から俺様の事を好きだって言うまで、ずっとだ」
「言うわけないでしょっ! 同意もなくこんなことして!!」
本当に止めて欲しい。
これ以上、私の心をかき乱したりしないで。
「知るか。俺様がキスしたいのに、なんでお前の同意なんかイチイチ取らなきゃいけねーんだよ。したいからするんだよ。それに、俺が好きだって言わせるったら言わせるんだ! 美羽、好きだ好きだ好きだ!! 俺は、お前が大好きなんだよ!! お前も俺を好きになれ! わかったか、バーカ」
何それ。
キスするのに相手の同意を取ることも無く、好意の確認無く、一方的にしちゃうなんて。
流石、王様ね。
「・・・・ホントに無茶苦茶ね、アンタ」
思わず、あはは、と笑った。「王雅らしい」
本当、こんな男見た事無い。
ムチャクチャなのに、何故か憎めない。
不思議な男。
その後、二人がかりで遊戯室のホールに布団を敷いて、全員を寝かせた。
いつもは大抵、一人か二人は昼寝中抜け出してくる子がいるけど、今日はめいっぱい遊んだから、誰一人起きてこなかった。よほど疲れたんでしょうね。全員ぐっすりお昼寝中よ。
私達はというと、応接室でソファーに座って向かい合っていた。
今日はアイスハーブティーを淹れてあげた。施設で育てているハーブで作ったものよ。タダで沢山獲れて、しかも美味しいの。王様も、美味しいって飲んでくれた。
「王雅、今日は本当にありがとう。用意してくれたプール、本当に施設で貰ってもいいの?」
さっき、プールはプレゼントしてくれるって言ってたけど、本当にいいのかしら。
こんなにしてもらっても、何も返せないのに。
「ああ。構わねーぜ。結構楽しかったな。またやろうぜ。暇見て来るから。ガキ共と遊ぶの楽しいし」
王雅が笑った。
そうね。貴方、本当に楽しそうに子供たちと遊んでいたものね。
その姿は、嘘じゃない。私も、とっても楽しかった。
「そっか。子供たちも本当に喜んでくれたし、楽しかったから、遠慮なく貰う事にする。水が大丈夫なら、近くの子供たちも誘って、暫く遊ぶことにするわ。色々考えてくれて、本当にありがとう!」
近所の保育園もプールが無いから、子供たちを誘ってあげたら喜ぶと思う。
お世話になっている施設や、近所の子供たちにも声掛けてみよう。
プールは伝染病が怖いから、水の検査なんかもしっかりしてくれるって言ってるし、お言葉に甘えてしまいましょう。
子供たちが喜んでくれることが、本当に嬉しいわ。
それにしてもさっきから王雅の様子が変ね。
難しい顔をして黙っちゃって、一言も喋らないの。
「何黙ってるのよ、難しい顔して」
「あ、いや、別に」
「珍しいね。王雅が無口になるなんて」
「ああ。お前に見とれてたんだ」
王様が真剣な顔で私を見つめてきた。
「・・・・またそんな冗談、もう止めてよ」
思わずため息が出た。
そんなお世辞言われても、説得力無いわ。
貴方みたいな男が、私みたいな女を好きになって見とれるなんて、どう考えてもありえないでしょ。
お世辞言うにしても、もう少しマシなお世辞言えないのかしら。
「冗談じゃねーよ!!」
キレた王雅が私の傍にやって来て、そのまま応接室のソファーに押し倒された。「何度も好きだっつってんだろ! まだわかんねーのか!」
「わかんないわよっ! どうせ、今までにないタイプだから、私が珍しくてちょっかいかけてるだけっ――」
大声で叫ぶ私の口を、王雅が自分の唇で塞いできた。
また・・・・セクハラじゃない!
でも、どういうワケか前みたいにイヤじゃなかった。
それに、私が好きだって優しいキモチが込められたキスーー
「好きだ、美羽」
甘く囁かれて、少しだけドキっとした。
「前にも言ったけど、お前が、俺様の事を好きだって言うまで、何度でもやってやる。心から俺様の事を好きだって言うまで、ずっとだ」
「言うわけないでしょっ! 同意もなくこんなことして!!」
本当に止めて欲しい。
これ以上、私の心をかき乱したりしないで。
「知るか。俺様がキスしたいのに、なんでお前の同意なんかイチイチ取らなきゃいけねーんだよ。したいからするんだよ。それに、俺が好きだって言わせるったら言わせるんだ! 美羽、好きだ好きだ好きだ!! 俺は、お前が大好きなんだよ!! お前も俺を好きになれ! わかったか、バーカ」
何それ。
キスするのに相手の同意を取ることも無く、好意の確認無く、一方的にしちゃうなんて。
流石、王様ね。
「・・・・ホントに無茶苦茶ね、アンタ」
思わず、あはは、と笑った。「王雅らしい」
本当、こんな男見た事無い。
ムチャクチャなのに、何故か憎めない。
不思議な男。
0
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
結城芙由奈
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います
<子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。>
両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。
※ 本編完結済。他視点での話、継続中。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています
※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
粗暴で優しい幼馴染彼氏はおっとり系彼女を好きすぎる
春音優月
恋愛
おっとりふわふわ大学生の一色のどかは、中学生の時から付き合っている幼馴染彼氏の黒瀬逸希と同棲中。態度や口は荒っぽい逸希だけど、のどかへの愛は大きすぎるほど。
幸せいっぱいなはずなのに、逸希から一度も「好き」と言われてないことに気がついてしまって……?
幼馴染大学生の糖度高めなショートストーリー。
2024.03.06
イラスト:雪緒さま
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
わたしは夫のことを、愛していないのかもしれない
鈴宮(すずみや)
恋愛
孤児院出身のアルマは、一年前、幼馴染のヴェルナーと夫婦になった。明るくて優しいヴェルナーは、日々アルマに愛を囁き、彼女のことをとても大事にしている。
しかしアルマは、ある日を境に、ヴェルナーから甘ったるい香りが漂うことに気づく。
その香りは、彼女が勤める診療所の、とある患者と同じもので――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる