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スマイル13・王様プールを作る
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王雅が私のバースデーパーティーをやってくれてから、早くも一週間が経った。
もうすぐ夏本番の季節になる。暑さが本格的になってきた。
毎日のように施設に来ていた王様は、最近施設に来なくなった。
指輪、まだ返せていない。
売れって言われたけど、売るのも忍びないし、そんなお金受け取るワケにはいかないわ。
そうそう。最近子供たちが、王雅は施設に来てくれないのか、って言い出すようになった。困ったわね。
指輪も返したいし、この前もらった名刺に確か連絡先が書いてあったから、電話してみようかしら。
でも、電話代がかかるからなぁ。
フリーダイヤルだったらいいのに。
「楽しく生きている事と、美味しいご飯が食べられる事に感謝して・・・・いただきます」
お食事前のお祈りを行って、朝食を開始した。
今日は食パンと、スクランブルエッグと、手作りフルーツのヨーグルトサラダ。暑くなってきたから、さっぱり食べれるメニューが中心になる。
お昼は徳用うどんで、冷やしうどんにするの。
朝食を食べていると、突然ガラガラと食堂の扉が開いた。
扉を開けて中に入ってきたのは、王雅だった。「よお、久しぶり」
「こんな朝早く、どうしたの?」
急に来たと思ったら、こんなに朝早く・・・・。王様は常識というものを知らないのかしら。
来るのは別に構わないけど、せめて朝十時以降に・・・・。
今日は水道業者が来るとかで事前に連絡があったから、朝から門や玄関を開けておいてくれって言われいてその通りにしていたから、呼び鈴も鳴らさずに勝手に入ってきたのね。
「ちょっと面白いことやろうと思ってさ、来たんだ」
すぐ傍に来られて、紙袋を渡された。中には綺麗にラッピングされたものが入っている。
何かしら。
「お前ら、メシ食ったら外に来いよ! 面白いモン用意してるから!」
なんだろう、面白いもの気になる、とか、子供たちが騒ぎ出した。
「外で待ってるからな」彼は立ち去り際、私に囁いた。「コレ、絶対着てくれよな」
さっきの紙袋を指差して、王様は食堂を後にした。
「面白いものって何だろーっ! 早く行こーっと」
早速サトル君がサラダを口に頬張って、食パンも口いっぱい放り込んだ。
「あっ、サトル君、喉につまっちゃうわ。王雅お兄さんが来てくれて嬉しいのはわかるけど、もう少し落ち着いて」
王雅が来たものだから、子供たちは慌てて食事をし始めた。
サトル君だけじゃない。
チイちゃんやキューマ君までも、慌ててヨーグルトを頬張っている。マーサ君に至っては、慌てすぎてスプーンの中のヨーグルトやフルーツをトレイに食べさせる――早い話が零している――始末。
王雅のお陰で、ちょっと食事が混乱した。
ガックンが一番に食べ終わり、ごちそう様でしたと合掌して、外に飛び出して行った。
食べるのは男の子の方が早いから、続いてリョウ君やライタ君が出て行った。
小さい二歳組の子供たちには私が食事の補助をして、早めに食事を終わらせた。
アイリちゃんがキューマ君を待っていてくれて、上手に歩けないキューマ君の手を引いて外へ連れて行ってくれた。
洗い物はこの際後ででいいわ。食器を流し台の桶に付け、食堂のテーブルの片付けだけさっさと終わらせた。
そういえば、絶対着てくれとか言われて、さっき紙袋を渡されたんだっけ。
何が入っているのかと思い、開けてみると、右が赤、左が黒色の、中央にゴールドリングが付いていて、露出が激しく高い、恐ろしくエロチックな水着が入っていた。
何なのよコレは――っ!?
まさかこれを着て、夜の相手をしろとか言うんじゃないでしょうね!?
一体どういうつもりなの!
こんなハズカシー水着、着れるワケないでしょーがっ!
文句言ってやるっ。
もうすぐ夏本番の季節になる。暑さが本格的になってきた。
毎日のように施設に来ていた王様は、最近施設に来なくなった。
指輪、まだ返せていない。
売れって言われたけど、売るのも忍びないし、そんなお金受け取るワケにはいかないわ。
そうそう。最近子供たちが、王雅は施設に来てくれないのか、って言い出すようになった。困ったわね。
指輪も返したいし、この前もらった名刺に確か連絡先が書いてあったから、電話してみようかしら。
でも、電話代がかかるからなぁ。
フリーダイヤルだったらいいのに。
「楽しく生きている事と、美味しいご飯が食べられる事に感謝して・・・・いただきます」
お食事前のお祈りを行って、朝食を開始した。
今日は食パンと、スクランブルエッグと、手作りフルーツのヨーグルトサラダ。暑くなってきたから、さっぱり食べれるメニューが中心になる。
お昼は徳用うどんで、冷やしうどんにするの。
朝食を食べていると、突然ガラガラと食堂の扉が開いた。
扉を開けて中に入ってきたのは、王雅だった。「よお、久しぶり」
「こんな朝早く、どうしたの?」
急に来たと思ったら、こんなに朝早く・・・・。王様は常識というものを知らないのかしら。
来るのは別に構わないけど、せめて朝十時以降に・・・・。
今日は水道業者が来るとかで事前に連絡があったから、朝から門や玄関を開けておいてくれって言われいてその通りにしていたから、呼び鈴も鳴らさずに勝手に入ってきたのね。
「ちょっと面白いことやろうと思ってさ、来たんだ」
すぐ傍に来られて、紙袋を渡された。中には綺麗にラッピングされたものが入っている。
何かしら。
「お前ら、メシ食ったら外に来いよ! 面白いモン用意してるから!」
なんだろう、面白いもの気になる、とか、子供たちが騒ぎ出した。
「外で待ってるからな」彼は立ち去り際、私に囁いた。「コレ、絶対着てくれよな」
さっきの紙袋を指差して、王様は食堂を後にした。
「面白いものって何だろーっ! 早く行こーっと」
早速サトル君がサラダを口に頬張って、食パンも口いっぱい放り込んだ。
「あっ、サトル君、喉につまっちゃうわ。王雅お兄さんが来てくれて嬉しいのはわかるけど、もう少し落ち着いて」
王雅が来たものだから、子供たちは慌てて食事をし始めた。
サトル君だけじゃない。
チイちゃんやキューマ君までも、慌ててヨーグルトを頬張っている。マーサ君に至っては、慌てすぎてスプーンの中のヨーグルトやフルーツをトレイに食べさせる――早い話が零している――始末。
王雅のお陰で、ちょっと食事が混乱した。
ガックンが一番に食べ終わり、ごちそう様でしたと合掌して、外に飛び出して行った。
食べるのは男の子の方が早いから、続いてリョウ君やライタ君が出て行った。
小さい二歳組の子供たちには私が食事の補助をして、早めに食事を終わらせた。
アイリちゃんがキューマ君を待っていてくれて、上手に歩けないキューマ君の手を引いて外へ連れて行ってくれた。
洗い物はこの際後ででいいわ。食器を流し台の桶に付け、食堂のテーブルの片付けだけさっさと終わらせた。
そういえば、絶対着てくれとか言われて、さっき紙袋を渡されたんだっけ。
何が入っているのかと思い、開けてみると、右が赤、左が黒色の、中央にゴールドリングが付いていて、露出が激しく高い、恐ろしくエロチックな水着が入っていた。
何なのよコレは――っ!?
まさかこれを着て、夜の相手をしろとか言うんじゃないでしょうね!?
一体どういうつもりなの!
こんなハズカシー水着、着れるワケないでしょーがっ!
文句言ってやるっ。
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