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スマイル7・王様と五十億円
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その日の夕方に、王雅の使いと名乗る男性の人が施設に現れた。
施設の件はもう心配は要りませんので、約束通りホテルにいらっしゃるように、と告げられ、彼が持参した黒の高級なロングドレスを渡された。
ドレスアップして来いってコトね。
まあ、ボロのTシャツとGパンやスカートじゃ、どんな女でも喰いモノにできちゃうお坊ちゃまでも、流石に萎えるわよね。
わざと汚い恰好で行ってやろうかしら。
まあでも、花井との事や、ホテルの立ち退きの件、たった数時間でカタつけてくれたっていうなら、約束通りこちらもそれ相当の礼は尽くさなきゃね。
王雅って、意外に凄いのかもしれない。まあ、お金の力があれば、どんな事でもできるのでしょうね。
ドレスを受け取ると、午後九時半にお迎えに上がります、と言われて、使いの人は帰って行った。
施設の事をカタつけてくれたのに、約束した以上、行かないワケにはいかない。
早めに用意して、子供達にしっかり留守番を頼んで出かけなきゃ。
今日収穫したキュウリと茄子を使った料理で晩御飯をこしらえて、それを子供達に早めに食べさせて、何時もよりも早く就寝させた。
本当に負担をかけて申し訳ないけれど、この施設で一番年上であるガックンとリカちゃんには、私が帰るまで絶対に何があっても施設の門は開けない事、子供の誰かが起きて泣いてしまったら、声をかけてあげて欲しい事、お願いした。
恭ちゃんにも連日施設の事で迷惑をかけているし、婚約者のあの人もいい気はしないだろうから、遅い時間までの留守番まで図々しく頼めないし、今回は子供達で留守番させるより他、仕方が無かった。
それに、これ以上恭ちゃんと一緒にいると、全てを投げ出して頼ってしまいそうだったから、彼にはさっさと帰ってもらった。
一人になって、考えた。
王雅のオンナになって、夜の相手をするには、施設の留守番が必要。
その為に、留守番を雇うお金がいる事を。
抱くなら、幾らか見返り代金として王雅に払ってもらおうかしら――なんて、そんな最低な事まで考えてしまった。
今日は仕方がない。
でも、いつまでもこんな事を続けられないから、本気で何とか考えなきゃ。
子供達を寝かせた後、届けられたドレスに着替えて、気合入れてメイクした。
何時もの私じゃない私になって、あくまでも、施設の為に闘う女になるの。
個人の真崎美羽じゃなくて、アマゾネスの真崎美羽。
たとえ身体は汚れても、心は絶対に汚させない。
背筋を伸ばして施設の門を閉めて施錠を確認していると、夕刻見えた同じ使いの人がやって来た。
お迎えに上がりました、と言われたので黙ってついて行った。
大きなリムジンに乗せられ、大きく聳え立つセントラルプリンスホテルへやって来た。
使いの人に、お帰りの際は、フロントにお声がけを頂ければ施設までお送り致します、と言われた。
さっさと済ませて、さっさと帰ろう。
私はフロントで名乗り、櫻井王雅に繋いでもらうようにお願いした。
電話はすぐに繋がって、部屋まで来るように言われたので、教えてもらった部屋に向かった。
最上階の、大きなフロア。ラウンジも併設されていて、景色が眺められるようになっている。
そのラウンジには、これまた高級そうなテーブルやソファーが幾つも置かれている。
そのソファーやテーブルひとつで、どれだけの子供の命が救えるのか、このホテルを作った人間は、知っているのかしら。
誰もが子供を大切にできる世の中なら、世界中の子供達が苦しい思いをせず、健やかに暮らしていけるのに。
最上階の豪華絢爛な造りは、魅力を感じるどころか、私の心を不愉快にさせるだけだった。
教えられた部屋の前に立ち、扉をノックした。
暫く経っても返事が無いから、私よ、と告げた。
施設の件はもう心配は要りませんので、約束通りホテルにいらっしゃるように、と告げられ、彼が持参した黒の高級なロングドレスを渡された。
ドレスアップして来いってコトね。
まあ、ボロのTシャツとGパンやスカートじゃ、どんな女でも喰いモノにできちゃうお坊ちゃまでも、流石に萎えるわよね。
わざと汚い恰好で行ってやろうかしら。
まあでも、花井との事や、ホテルの立ち退きの件、たった数時間でカタつけてくれたっていうなら、約束通りこちらもそれ相当の礼は尽くさなきゃね。
王雅って、意外に凄いのかもしれない。まあ、お金の力があれば、どんな事でもできるのでしょうね。
ドレスを受け取ると、午後九時半にお迎えに上がります、と言われて、使いの人は帰って行った。
施設の事をカタつけてくれたのに、約束した以上、行かないワケにはいかない。
早めに用意して、子供達にしっかり留守番を頼んで出かけなきゃ。
今日収穫したキュウリと茄子を使った料理で晩御飯をこしらえて、それを子供達に早めに食べさせて、何時もよりも早く就寝させた。
本当に負担をかけて申し訳ないけれど、この施設で一番年上であるガックンとリカちゃんには、私が帰るまで絶対に何があっても施設の門は開けない事、子供の誰かが起きて泣いてしまったら、声をかけてあげて欲しい事、お願いした。
恭ちゃんにも連日施設の事で迷惑をかけているし、婚約者のあの人もいい気はしないだろうから、遅い時間までの留守番まで図々しく頼めないし、今回は子供達で留守番させるより他、仕方が無かった。
それに、これ以上恭ちゃんと一緒にいると、全てを投げ出して頼ってしまいそうだったから、彼にはさっさと帰ってもらった。
一人になって、考えた。
王雅のオンナになって、夜の相手をするには、施設の留守番が必要。
その為に、留守番を雇うお金がいる事を。
抱くなら、幾らか見返り代金として王雅に払ってもらおうかしら――なんて、そんな最低な事まで考えてしまった。
今日は仕方がない。
でも、いつまでもこんな事を続けられないから、本気で何とか考えなきゃ。
子供達を寝かせた後、届けられたドレスに着替えて、気合入れてメイクした。
何時もの私じゃない私になって、あくまでも、施設の為に闘う女になるの。
個人の真崎美羽じゃなくて、アマゾネスの真崎美羽。
たとえ身体は汚れても、心は絶対に汚させない。
背筋を伸ばして施設の門を閉めて施錠を確認していると、夕刻見えた同じ使いの人がやって来た。
お迎えに上がりました、と言われたので黙ってついて行った。
大きなリムジンに乗せられ、大きく聳え立つセントラルプリンスホテルへやって来た。
使いの人に、お帰りの際は、フロントにお声がけを頂ければ施設までお送り致します、と言われた。
さっさと済ませて、さっさと帰ろう。
私はフロントで名乗り、櫻井王雅に繋いでもらうようにお願いした。
電話はすぐに繋がって、部屋まで来るように言われたので、教えてもらった部屋に向かった。
最上階の、大きなフロア。ラウンジも併設されていて、景色が眺められるようになっている。
そのラウンジには、これまた高級そうなテーブルやソファーが幾つも置かれている。
そのソファーやテーブルひとつで、どれだけの子供の命が救えるのか、このホテルを作った人間は、知っているのかしら。
誰もが子供を大切にできる世の中なら、世界中の子供達が苦しい思いをせず、健やかに暮らしていけるのに。
最上階の豪華絢爛な造りは、魅力を感じるどころか、私の心を不愉快にさせるだけだった。
教えられた部屋の前に立ち、扉をノックした。
暫く経っても返事が無いから、私よ、と告げた。
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