137 / 150
スマイル40
世界一の女・4
しおりを挟む「なんなの、あれっ!!」
俺の車に乗り込んだ美羽が、突然俺にキレてきた。「ご両親、ちょっとおかしいわよ! 私みたいな素性不明の女と話もせずに、大事な一人息子との結婚許可する? フツーじゃないわ! 王雅は未来の櫻井グループを背負う大事な男なのよっ! どうして結婚に反対しないのかしら!?」
「何でお前が怒ってんだ。面白い女だな。自分で自分をそんな卑下すんなよ。反対されたかったのかよ?」
「そうじゃないけど・・・・大事な結婚を、王雅の勝手に好きにしろなんて・・・・私の事よく知りもしないのに、納得できないわ!」
「反対されるよりずっといーじゃねーか。俺はアイツ等にとっちゃ、こんな扱いなんだ。今に始まった事じゃねーよ。ま、結婚の事は家が絡むから流石に反対するかと思ったけど、想像以上の返しだったな。それよりさ、俺の事幸せにしてくれるっつって、アイツ等に言ってくれてマジで嬉しかった! ありがとう、美羽」
「だって、あんな風に言われて悔しかったんだもん!! 貧乏人と結婚するのよ? ご両親、ちゃんと解ってんのかしら。もう一回説明に行った方がいいんじゃない?」
美羽がまだ憤慨している。
「そんなのもうどーでもいーよ。アイツ等は俺よりも自分の城――仕事の方が大切なんだ。ずっとそうなんだ」
「私は違うわよ! 王雅が一番大切だからねっ!! だからご両親の言う事なんて、気にしちゃダメよ!」
興奮してるから、何時もは照れて絶対言ってくれないような事、さらっと言ってくれた。
コイツは本当にカワイイ。マジで最高の女だ。
俺には勿体ないくらいの、世界一イイ女だ。
「なあ、美羽」
「なによっ」
美羽はまだ興奮しているから、若干怒りが尾を引いている。
「今すぐお前を抱きたい。スゲー、愛したい」
「はあっ!? アンタ、朝から一体何回するのよっ! 私、昨日まで経験ほぼゼロだって言ってるじゃない! 殺す気!?」
「しょーがねーだろ。お前が俺を幸せにするとか、一番大切にするとか言うから、嬉しくて仕方ねーんだよ! 俺、今まで誰からも愛されなかった分、美羽が俺の事、愛してくれんだろ?」
「王雅・・・・」
「もっと俺の傍に来てくれよ」
抱き寄せて口づけた。
「俺だってお前のコト、メチャクチャ愛して幸せにしてやるから! 絶対、後悔なんかさせない。だから一生俺について来い!」
「しょうがないわね、もう。ついていってあげるわ」
苦笑された。ちょっと顔を傾けて言う何時ものクセ。お前の全部が愛おしい。
「絶対だぞ! 約束破ったら、ハリセンボン飲ましてやるからなっ!!」
真顔で言うと、プッ、と噴き出された。
「何がおかしいんだよ。ミイが何時も指切りする時に言うだろーが」
「こんな場面でハリセンボンとか言う? もう、王雅って本当に面白いわね」
美羽が満面のコロッケスマイルを見せてくれた。
俺の心をぎゅっと鷲掴みにして、離さないその笑顔。
ああ、好きだな。
俺はお前のコロッケスマイルが、世界で一番好きだ。それを見ている時、心の底から本当に幸せだと思えるから――
「美羽、愛してる」
彼女の耳元で愛を囁いて、深く口づけた。
0
お気に入りに追加
204
あなたにおすすめの小説
大嫌いな幼馴染の皇太子殿下と婚姻させられたので、白い結婚をお願いいたしました
柴野
恋愛
「これは白い結婚ということにいたしましょう」
結婚初夜、そうお願いしたジェシカに、夫となる人は眉を顰めて答えた。
「……ああ、お前の好きにしろ」
婚約者だった隣国の王弟に別れを切り出され嫁ぎ先を失った公爵令嬢ジェシカ・スタンナードは、幼馴染でありながら、たいへん仲の悪かった皇太子ヒューパートと王命で婚姻させられた。
ヒューパート皇太子には陰ながら想っていた令嬢がいたのに、彼女は第二王子の婚約者になってしまったので長年婚約者を作っていなかったという噂がある。それだというのに王命で大嫌いなジェシカを娶ることになったのだ。
いくら政略結婚とはいえ、ヒューパートに抱かれるのは嫌だ。子供ができないという理由があれば離縁できると考えたジェシカは白い結婚を望み、ヒューパートもそれを受け入れた。
そのはず、だったのだが……?
離縁を望みながらも徐々に絆されていく公爵令嬢と、実は彼女のことが大好きで仕方ないツンデレ皇太子によるじれじれラブストーリー。
※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。
わたしは夫のことを、愛していないのかもしれない
鈴宮(すずみや)
恋愛
孤児院出身のアルマは、一年前、幼馴染のヴェルナーと夫婦になった。明るくて優しいヴェルナーは、日々アルマに愛を囁き、彼女のことをとても大事にしている。
しかしアルマは、ある日を境に、ヴェルナーから甘ったるい香りが漂うことに気づく。
その香りは、彼女が勤める診療所の、とある患者と同じもので――――?
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
結城芙由奈
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います
<子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。>
両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。
※ 本編完結済。他視点での話、継続中。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています
※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる