コロッケスマイル

さぶれ@6作コミカライズ配信・原作家

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世界一の女・1

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 自宅に到着した。美羽が、やっぱり私なんかお呼びじゃないわ、とか言い出しやがった。

「堂々としてろ。何時も俺様に啖呵切るあの元気の良さがあったら、問題ねーよ。しおらしいお前なんか、それこそお呼びじゃねーよ」

「そんな事言われても・・・・こんなお城みたいなお家に住む人と結婚なんて、やっぱりできない・・・・」

「ゴチャゴチャうるせーよ。お前らしくしてろ」

「無理よ!」

 美羽が怒った。

「ホラ、できるじゃねーか。その調子だ」

「もうっ、人の気も知らないでっ。知らない!」

 プイ、とそっぽを向かれた。カワイイ。ここで押し倒してやりたくなる。

「怒るなよ。悪いな、ちょっとの辛抱だから。上手くできたら、さっきみたいにウンと可愛がってやるから」

「バッ、バカじゃないのっ! ご挨拶行く前なのに、さっきもあんなコト――・・・・」


 さっきの出来事を思い出したのか、美羽が真っ赤になって言葉を詰まらせた。
 ホテルに出る前に、すぐすませるからっつって、もう一回したんだ。
 今着用している、オレンジのドレスの美羽が可愛すぎるのがいけない。とても夜まで我慢できなかった。

 今まで散々、俺様に我慢をさせてきたのが悪いんだ。これはその反動だ。



 そうそう、さっきの美羽は可愛かった。寸止めしたら美羽のヤツ――


 
「もうっ! 王雅っ!!」

 俺を求めて乱れる美羽を思い出して笑っていたら、怒った声で呼ばれた。

「なんだよ。さっきの可愛いお前を思い出してたんだよ。邪魔すんな」

「こんな時にニヤニヤしないで! 何考えてんのよっ、変態っ!!」

「メンズは誰でも変態だ」

「なっ・・・・」

「緊張、解けたろ? さ、行くぞ」


 美羽の肩を抱いて、自宅へ足を踏み入れた。
 玄関だけで相当な広さがある家は、帰ると必ず執事が待機していて、お帰りなさいませ、お坊ちゃま、と機械的に言うんだ。

 それがいつしか、お帰りなさいませ、王雅様になった。

 相変わらずそんな風に言われて、この家も何も変わらないな、と思った。
 幼い頃から寒い、冷蔵庫みたいな家。
 冷たい家。


 マサキ施設を知ってから、余計この家が嫌いになった。
 俺は今日限り、この家に帰ることを辞めるからな。
 結婚に反対するなら、絶縁でも何でもしてくれ。大いに結構だ。

 財力挙げて戦うっつーなら、俺だって全力で戦うぞ。

 俺が遂行してきた未来プロジェクトはそっくりそのまま横取りして、先ずお前等の面子から潰して、ウェスティンのタヌキ社長と手を組んで、櫻井グループをブッ潰してやるからな。
 だから俺と懇意にしている人間ばかりで、このプロジェクトは固めたんだ。

 
 
 それに、昨日の会見があるんだ。世間も俺の味方につける。

 俺がこの件で勘当されたなんて事になったら、櫻井家・庶民との結婚反対で御曹司と絶縁、みたいな見出しでニュースになり、たちまち話題になるだろう。そーなりゃ櫻井グループの株は大暴落だ。
 あんだけの会見したんだ。有言実行で庶民の味方であるキングフェザーの株は、現在高騰中で絶好調だ。

 まあ、仲たがいで櫻井グループとおさらばした事によって、キングフェザーの株がもし一時的に下がるようなことがあっても、世間が味方してくれるなら、すぐに持ち直して更に株価は上がるだろう。

 俺の狙い通りになるハズだ。

 俺と全面戦争なんてことになったら、お前等も相当ヤバいぞ?
 メディアに出まくって、あること無い事喋ってやる。

 俺が幼少期から受けて来た放置ぶりを、世間に晒してやる。俺は淋しい幼少期を過ごし、両親の愛が欲しかった――みたいな、お涙ちょうだいのセリフでお茶の間を味方につけるぞ。
 こーなりゃ、どんな演技でもしてやるつもりだ。


 俺を陥れようとした時は、ありとあらゆる手を使ってお前等を叩き潰してやるからな。


 実の親だからって、容赦しねーぞ。こちとら放置されて育ってんだ。そんな実の子扱いされた覚えねーから、情が無い分、余計容赦しない。俺を敵に回したら、櫻井グループもヤバくなるっつーこと、教えてやらなきゃな。
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