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会見・1

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 -ウエスティンホテル会場内-


 午後六時になった。会見の時間だ。
 用意された会見用の会場に入ると、マスコミが結構集まっていた。
 ガチガチに固まって、何度も曲がってもいないネクタイを直している横山に、大丈夫だから、と囁いて、一緒に壇上に向かった。


 今回のプロジェクトでは、色々核で押し出したい企画担当者にも来てもらって、簡単に説明をしてもらうつもりだ。
 プレゼンに慣れている人間は大丈夫だが、横山が心配だ。こんな場所で喋る事自体が初めてだから、極度に緊張している。

 壇上から向かって右側に横山工業株式会社の横山一志(よこやまかずし)、隣が櫻井グループのプロジェクト企画代表の俺、左隣が高田製菓株式会社の役員、真崎恭一郎、更にその左隣が、懇意にしている製薬会社ヒロイホールディングスの社員、久遠寺和歌子(くおんじわかこ)を呼んだ。


 会場を見渡すと場内一番後ろ側の関係者席に、ドレスアップしたガキ共と美羽の姿が見えた。
 ちゃんと来てくれたんだ。良かった。
 来てくれなかったら、こんな会見開いた意味が無くなっちまうからな。
 
「皆様。本日はご多忙の中、お集まり頂きまして誠にありがとうございます。私、この企画を担当、運営を任されている、櫻井グループ取締役の櫻井王雅と申します。今回の会見では、弊社櫻井グループの一環であるホテル事業部と、米ウェスティンホテル合同経営の発表、及び弊社が打ち立てたプロジェクトについて、ご説明させていただきます」

 先ずは手元の資料を見るように促し、スクリーンに資料を映し出した。

「現在、ホテル事業部門の売上高約一千八百億円で国内トップを誇らせて頂いている弊社でございますが、世界大手の米ウェスティンホテルとの合同経営を行い、さらなるサービス、企画を打ち立てて参ります。目指す収益は少なくても五千億円以上、ホテル業界の世界一を目指します。更に、得た利益の五パーセントを全世界の恵まれない子供達に寄付を考えています。これについては、米ウェスティンホテル経営の現社長も御合意下さっております。クリーンな経営を目指しますので、弊社並びにウェスティンの収益等は何時でも見られるような決算提示も行います。寄付も同様です。ご覧ください」

 別の資料をスクリーンに映し出した。

 
「私が実際寄付を行った時、ある機関に振り込むだけで寄付としては終了でございました。寄付金の行き先が不明瞭なのが納得できませんでしたので、私が専用の機関を立ち上げさせていただきました。こちらについては、何時、どのように、どれだけの金額が何に使われたか、ホームページを開設しておりますので、そちらに全て明確に提示致します。ご賛同頂ける方には、是非ご協力をお願いしたいと思います。続いて、ホテルコンセプトに移ります。次の資料をご覧下さい」

 ホテルコンセプトについての資料を映し出した。
 これについては第一に、富豪から一般家庭まで存分に楽しめるエンターテナー型のホテルを建設すると銘打った。ビジネスホテル、ブティックホテル等、様々だ。

 勿論、全てを同じホテルでやるのではなく、そのホテル毎でコンセプトが違う。
 ライタの誕生日の時にやったヒーローショーのようなものから、一生の思い出になるようにウェディングプランまでを打ち出してある。


「充実のサービスだけでなく、様々なニーズに応えるホテル経営を目指します。また、近隣の個人商店等とも様々な契約を結び、地元に貢献するパイプを作ります。特に問題のあるシャッター通りになりつつある商店街と協力して、街を盛り立てて行きたいと思っております。例えばホテルの調理食材は、地元で採れた新鮮な野菜を利用する等、全てが活性化するような仕組みを打ち立てて参ります」

 続いて製品等の紹介をする為、先ずは横山に振った。
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