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スマイル37
生い立ち・4
しおりを挟む「これで、解ったでしょう」
最初に口を開いたのは、美羽だった。俺に向かって微笑みを見せた。「聞いての通りよ。私、素性がどこの誰かもわからない女なの。だから――」
「もう知ってるけど」間髪入れずに答えた。
「えっ?」
「横山さんから美羽の素性について、アメリカ行く前にもう既に聞いてる。花井の事や施設の事、徹底的に調べる為だ。悪く思うな。それは花井をぶちのめす最後の切り札にしようと思ってたんだけど、まさかお前からヤツに話すなんてな。驚いた」
「だったら・・・・」
美羽は何か言いたげだったが、無視して話を進めた。
「それより美羽、お帰りは? 約束しただろ。守れよ。ガキ共はもう、ちゃんと言ってくれたんだぜ」
「・・・・お帰りなさい」ぼそぼそと呟かれた。
「声が小っせーな。折角帰って来たんだから、もっと歓迎してくれよ。どんな思いして帰って来たと思ってんだ。・・・・まあいいや。ただいま!」
ガキ共や真秀、更に横山までいるから、あんまりラブラブな雰囲気にはなれねーな。
ご褒美のキスでも貰おうと思っていたのに。
ま、それは追々だ。
とりあえず俺はまだやることが残っている。
最後の、プロジェクトだ。
「えー、お前等に言っておくことがある。真秀お兄さんの事だ。今までヒドイヤツだと思っていただろーけど、さっきの悪いオッサンに真凛お姉さんの事で脅されて、無理やりオッサンに協力させられてただけなんだ。黙っていて悪かった。赦してやって欲しい。そんな中でも真秀お兄さんは、俺と一緒に悪者を倒す手伝いもしてくれたんだ! 真秀お兄さんの協力のおかげで、悪いヤツをやっつける事ができた! はい、拍手!」
パチパチ、と俺が拍手したら、ガキ共全員が拍手した。
「さ、これで仲直りだ。今まで通り、真秀お兄さんも、真凛お姉さんとも、仲良くして欲しい。できるか?」
「できまーす!!」
「よし。お前等も、俺が頼んだ通り、しっかり美羽先生を守ってくれてありがとう! 本当に助かった。ご褒美に、今度は超特大のお菓子の家を作ってやるからな。はい、お前等にも拍手!」
「やったー!!」
拍手に混じって、大喜びの声が聞こえる。
「それからもうひとつ、頼みがある。今日は夕方の六時から、俺様は会見に出る予定があるんだ。しっかりスピーチするから、応援して欲しい。ウェスティンホテルっつートコで会見するから、後で美羽先生と一緒に来てくれ。ホテルだから、お洒落して来てくれよ。着替えなんかは、俺様が用意してるから心配ない。お前等だったら大丈夫だ。行儀よく頼むぞ。できるか?」
「できまーす!!」
即答だ。よし、流石ガキ共。
「めでたく悪者はみんなでやっつけたから、もう大丈夫だ! これからもしっかりこの施設を守って、美羽先生と楽しく暮らすように。俺も今まで通り、ここに帰って来る。以上!」
「ヤッター!! ばんざーいっ!!」
嬉しくて、ガキ共を抱きしめた。
あぁ、やっと俺の居場所、取り戻せたんだ!
もう、誰にも邪魔させねーぞ。
絶対、一生かけて、俺はこの大切な場所を守っていくんだ!!
「王雅・・・・あの・・・・」
「美羽も俺の会見、ちゃんと聞いてくれ。アメリカで頑張って来たプロジェクトの成果、結果報告するから。後、保留にしてるプロポーズの返事、会見が終わったら聞かせてくれ。ホテルで待ってる」
「王雅!」
「言いたい事は後で聞く。じゃあ、待ってるぜ」
横山を促して、俺は施設を後にした。
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