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スマイル35
本心・7
しおりを挟む「まりなじゃねーか! どうしてこんなトコに?」
お泊り保育のバーベキューの時に会った、美羽のコロッケ友達のまりなだ。
「ここ、オレの家なんだ。さっきまで遊びに来てくれてた隣の友達が忘れ物してたから、届けようと思って出てきたのだ」
二号室を扉を指さしてにっこり笑った。「王雅こそ、こんなトコでどうしたの?」
さっきまで真凛が邪魔してたっつー隣の部屋は、まりなが住む部屋だったのか。
世間は狭いな。まっ、これは神読者のお前等が楽しめるように、色々繋がってるだけだと思うけど。
「隣のお前の友達の家に用事があったんだけど、もうカタついた。だから帰るとこだけど――」
そう言って、ハッと気が付いた。
美羽の事は横山にサポート頼もうと思ってたけど、まりなにも頼んでおこう。
美羽はまりなを随分信頼しているし、彼女ならきっと美羽を助けてくれるに違いない。
「あのさ、まりな。急で悪いんだけどさ。頼まれてくんねーかな?」
「ウン、いいよ」
内容も聞かずに二つ返事を寄こしてくれた。コイツは本当にイイ奴だな。
お前が困った時は、絶対、どんなことがあっても俺が助けてやるからな。
「今、マサキ施設が大変なんだ。悪いオッサンに乗っ取られて、美羽までソイツに取られそうなんだ! 俺はソイツから美羽を取り戻す為に、色々準備しようと思っているとこなんだ。でも俺、明日からアメリカ行かなきゃなんねー。遠く離れる事になっちまうから、美羽の傍にいてやれねーんだ。海外へ行くことはオッサンを欺いて美羽を取り戻す為には必要な事だから、このまま日本を離れる」
時間が無いから手短にだけど、詳しい経緯を話した。
俺の事は絶対に美羽に言わず、まりなが支えて欲しいって事も頼んだ。
「俺、美羽がいなきゃ、ダメなんだ。もう生きていけねー。美羽を、メチャクチャ愛してる。だから、頼む。まりな、美羽を守ってアイツの支えになって欲しい・・・・どうかこの通りだ」
「わかったのだ。いいよ。美羽のコト、任せておいて! それより美羽から・・・・ちゃんと美羽のキモチ、聞いたの? この前と、王雅の雰囲気が全然違うのだ」
まりなが俺の様子を見て言ってくれた。
俺が心から美羽を愛して大切にしたいって本心、読み取ったかのように。
「はっきりと本人から聞いちゃいねーけど、美羽が俺を信頼して、好きでいてくれてるってコトは確信した。だから、俺がアイツを幸せにする。絶対、どんなことがあっても! ケリついてアメリカから帰ってきたら、美羽を二度と手放したりしない。大事にしていく」
「良かった! 王雅がいてくれたら、美羽は絶対に幸せになれるよっ」
「まりなが言ってくれたら、きっとそうなるだろーな。ありがとう。じゃあ、悪いけど暫く美羽を頼む」
気を付けてねー、とまりなが笑顔で手を振ってくれた。
俺はそれに応えて、手を振ってしあわせ荘を後にした。
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