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スマイル33
美羽のキモチ・4
しおりを挟む「ったく、お前、俺にどこまで説明させんだよ! 俺の事好きになってくれたかって、俺の事どう思ってんのかって、き・い・て・ん・の! わかった? この鈍感超ニブ女!」
「にっ・・・・」
美羽は俺を睨んできた。「鈍くて悪かったわねっ!」
「それについて討論する気はねーよ。お前が鈍いのは百も承知だ。俺は、お前が俺の事好きになったかどーか、それだけ聞いてんの。はい、答えは?」
「・・・・わかんない」
「わっ・・・・わかんない!?」
何と言う事だ。『わかんない』と来たか!
なかなかの返しだ。俺の想像を容易く超えてきやがるぜ。
流石鉄壁の城。やすやすとは崩れねーな。
俺もちょっとやそっとじゃ驚きもせず傷つかなくなったから、美羽への耐性ができつつあるな。
ただ、俺がいなくなったら淋しいと思わせるまではいったんだ。
これは大いなる進歩だと思う。
離れている間に俺様のコトを想って、ちょっとでも好きかも、とか思ってくれるかもしんねーな。
もう、神頼みでそれに期待するしかねーのか。ま、離れたら俺の存在がいかに素晴らしいものか、気が付くに違いねえ。
「解った。保留にしておいてやる。返事は帰ってからもう一回聞くから、よく考えておいてくれ」
「うん。考えさせて」
一体何を考える必要があるんだ。
イケメン、ルックス良し、頭脳明晰、金持ち、施設の土地持ち(美羽にとっちゃコレ一番のポイント高)、ガキ好き――こんだけ揃ってりゃ、断る要素何もねーと思うんだが。
それでもダメなんだな。今は。
いいんだ。まあ見てろ。俺は、世界一の男になって帰って来てやるからな。
お前が、自分の方から俺の嫁にしてくれって言わせるくらい、スゲー男になってやるんだ。
「明日、一緒にケーキ作りましょう。出発までに、沢山楽しい想い出作るの。あっ、そうだ! ライタ君のパーティーしたところだから、買い出し行かなきゃ材料足りないわ。また、商店街に一緒にお買い物行きましょ」
話題を変えられたが、まあいいか。
俺の為のパーティーか。嬉しいな。楽しみだ。
※
翌日、全員に俺がアメリカへ行くことを告げた。
キノコが心配だっつーのが一番の理由だが、離れる時間も短くしたいから、出来る限り早く出発して仕事は頑張ってさっさと終わらせ、帰って来ることを約束し、伝えた。
ガキ共全員に泣かれた。
ヤバかった。俺ももらい泣きしそうになり、堪えるのに必死になった。
でも、嬉しかった。ガキ共が俺の事を慕ってくれて、淋しいって泣いてくれて、本当にそれだけで心が温まった。
コイツ等は俺の事を純粋に必要としてくれてんだ。金やビジネスの絡みも無く、ただ、一個人の俺を、必要としてくれる。
それが、俺にとって何よりの喜びだ。
誰からも与えてもらえなかった愛情を、マサキ施設にいると何時でも感じる事ができるんだ。
朝から美羽と買い出し行って、全員でご馳走作って、パーティーやった。
俺の為の、初めてのパーティー。めちゃくちゃ嬉しかった。
寒い広い家で山盛りの玩具を前に一人きりで過ごしたパーティーなんかとは、全然違う。
あったかかった。みんなが俺の為にあれこれやってくれて、本当に嬉しくて、最高だった。
俺はやるぞ。
どんなことでも、どんな案件でも、達成させてみせる。
またコイツ等と、幸せに笑って暮らせる日を掴み取るために。
苦しむガキ共を、一人でも多く救うためにも――
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