コロッケスマイル

さぶれ@6作コミカライズ配信・原作家

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スマイル33

美羽のキモチ・1

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 大興奮のキュウのステージが終わり、一緒にキュウとXと記念撮影を行い、その後ライタの誕生日パーティーを行った。
 キュウもXも施設に残ってくれて、一緒にライタの誕生日を祝ってくれたから、最高のパーティーになった。
 ライタにとって、忘れられない誕生日になっただろう。

 俺はこれから、こんな風に一人でも多くのガキを喜ばせたいと思っている。
 アメリカ行きの話も、美羽にそんな風に伝えよう。
 二か月くらい離れてしまうけど、日本に戻って来ても俺の事を受け入れて、またこの施設に帰ってこさせて欲しいって、頼もうと思っている。


 恋人昇格の案件は、プロジェクトが終わってからじゃないと進められそうにない――俺はそう判断している。現時点で進めるのは、無理だと思う。
 とりあえず世界一の男になろう。帰ってからまた頑張ればいい。
 とにかく先に、美羽が嫁になってもいいって思えるような良い男になるために、アメリカで頑張るんだ。

 ただ、キノコが心配だ。キノコがいなけりゃ、もっと安心してアメリカ行けんのに。

 キノコ除けの薬、施設に撒いてやろうかな。
 SPに見張らせたいところだけど、それこそ何かあったと判明したら異国の地で発狂する。
 神に無事を祈るしかない。

 話があるから二人で話せないかと相談しておいたので、ガキ共を寝かしつけた後、例の如く応接室で向かい合った。

 プロジェクトを成功させてアメリカから戻るまでは、もうここへ今までみたいに寄ることができないと思うから、今日が恐らく、年内最後の施設泊りになるだろう。

 渡米やプロジェクトの為に、今まで以上に様々な準備をしなきゃいけねーんだ。土日を出来る限り施設通いに空けていたが、これが結構限界にきていた。
 今回はライタの誕生日があったし、もともとウルトライダー計画をしていて早くから休日を取っていたから何とかなったが、今後は休みを取得する事自体が無理だろうと予想している。

 だからアメリカへの出発は、一刻も早く決めてしまおう。年内には何とか戻りたいから、さっさと行ってさっさと帰って来よう。


 本当は同意取って、美羽と合体してから行きたかったんだけどな。


 ま、今すぐどーこーっつーのがもう無理なのは解っている。
 無理矢理抱くなんて事、絶対したくない。だから、帰ってからのお楽しみにしておく。
 美羽は、プロジェクト成功させた時のご褒美なんだ。それを目標に俺は頑張るんだ。

 世界一の男になったら、お前だって絶対俺のプロポーズ断ったりしねーだろ。


「お待たせ」


 何時ものハーブティーを淹れて持ってきてくれた。最近夜がめっきり冷えるようになったから、最近は、温かいものにしてくれている。
 暫くこの茶も飲めなくなるのか――考えただけで切なくなった。

 美羽やガキ共と離れたくない。
 
「話って?」彼女から聞いてきた。

「あ、うん。あのさ。暫く施設に・・・・その・・・・仕事の都合で帰って来れねーんだ。だからその間、ガキ共の面倒見るの手伝ってやれない。ごめん」

「そう・・・・こっちこそ色々王雅に頼ってしまってごめんなさい。ここの事は気にしないで。それより、お仕事忙しいの?」

「うん。俺さ、今、櫻井グループの命運を懸けたプロジェクト任されてんだ。夏に入る前から、俺が中心になって計画してる。絶対成功させるつもりで、頑張ってるトコなんだ。だから最近スゲー忙しくて、平日も施設に帰って来てやるって言ったのに、帰宅が午前様でなかなか実現できなかったんだ。ただ・・・・プロジェクトの方はお陰様で順調だ」

「良かったじゃない」美羽は微笑んだ。「順調なら、お仕事に専念して頑張ってよ。何時までもこんな貧乏施設の事を考えていたらいけないわ」

 だから、ここの事は気にしないで、と。
 王雅にはもっと相応しい帰る場所があるから、って、そんな風に言われた。


「俺が帰るに相応しい場所は、俺にとっちゃココ(マサキ施設)なんだけど」


 お前の言いたい事は大体想像がつくし、解る。
 何時までも貧乏を負い目に感じて、俺が金持ちだから信用しようとせずに、距離を置こうとしてる。
 俺がどんなにそっちへ寄り添おうとしても、お前が逃げていくんだ。


 だから俺はお前を手に入れる為に、本物の男になって戻って来るんだ。
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