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スマイル32
ウルトライダーQ・2
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どうやってアメリカ行きを切り出そうか考えながら施設に帰ると、相変わらず全員が俺を出迎えてくれた。
一人一人に礼を言いながら、抱きしめた。
あぁ。もうすぐ二か月くらい、お前等と離れなきゃいけねーのか。
二か月って長いぞ。俺、大丈夫かな。
アメリカへ行くことを決めていたのは、もともとお前等がこんなに大切だって気が付く前だったんだ。
今更行くの止めたいなんて言ったら、プロジェクト頓挫するから絶対言えねーけど・・・・。
だから、この目に焼き付けておこう。身体に覚えこませておこう。
大切なお前等の為に今は頑張る時なんだって、自分を奮い立たせられるように。
何時もより時間をかけて挨拶を交わした。美羽とも抱擁したいが、流石にそれはできないから会釈にとどめておいた。
本番が出来ないから、最近特にお前とどーこうなる夢をよく見るようになっちまった。
早く同意して、干からびそうな俺を助けてくんねーかな。
エロビームで見つめても、通用するワケねーよな。
ため息をつきたくなった。
「王雅、お帰りー」
この声・・・・本当にため息が出た。真凛だ。
頭痛もしてきた。真凛がいるということは、キノコもいるに違いない。
「何でお前がいるんだよ」
「今日、ライタ君の誕生日じゃん。お祝いしようと思って。マサキ施設は、絶対に誕生日パーティーやってくれるから」
そーだった。ライタの誕生日パーティーもするんだ。ウルトライダーのイベントだけじゃなかったんだ。
またキノコ兄妹と一緒なのかよ。今日は平穏に過ごせると思ってたのに・・・・。
「相変わらずツレないなぁ。でも、そこが素敵!」
真凛は不機嫌な俺でも良いらしい。目を輝かせて喜んでいる。本当に変わった女だ。
でも、コイツと間違いだけは絶対に起こさねーぞ。何要求されるか、わかんねーからな。
間違いを起こしちまって結婚なんか迫られたら、終わりだ。
美羽との結婚がただでさえ遠のいているというのに、コイツに捕まったら永久に出来なくなっちまいそうだ。
今までの俺だったら、来るもの拒まずだったから別にしようと思えば出来たと思うが、それでもこんな女は勘弁願いたい。付きまとわれるのが、そもそも無理だ。
まあ、知らずに面倒な女と関係を持った事もあるからそれなりの対処はしてきたけど、今はもう昔の冷徹な俺じゃない。
特に美羽と関係している女を、手酷い目に遭わすワケにはいかねーだろ。
真凛を、コテンパンにするワケにはいかねーんだ。
とにかく関わらないようにしよう。無視だ、無視。
あぁ、でも、待ってくれ。
今、この状況って、もしかして美羽が俺に抱いている感情そのものなんじゃねーのか?
面倒な男に付きまとわれて・・・・(俺の場合は、真凛に付きまとわれて)
関わらないように努力して・・・・(右に同じ)
でも勝手に関わられた挙句、勝手に手を出され、キスまでされて・・・・(キスはまだされてねーけど、真凛にはしょっちゅう抱きつかれる)
ちょっ。
俺、マズくね?
美羽と親密度上がってる気分だったが、もしや全く皆無・・・・?
これじゃ、美羽が俺に惚れてくれる要素なんて、何もねーんじゃねーの?
――もしかして、俺に優しくしてくれるのは、大事な施設の土地持ち男だから、仕方なくなのか?
そう考えた途端、ガキ共に逢えて嬉しかったテンションが急降下した。
繊細な心が、もの凄い衝撃を受けた。
言うなれば痛恨の一撃でかなりのダメージを喰らい、俺のハートは瀕死状態だ。
結局、施設がらみなのか。
俺はどう頑張っても、一個人の男として認められ、愛して貰う事はできねーのか・・・・。
「王雅、どうしたの? 急にそんな暗い顔して・・・・何かあった? 美味しいごはん出来てるから、沢山食べて元気出して」
俺をこんなに落ち込ませた張本人(美羽)に慰められた。
お前――もしかしたら、どんな男でもダメなのか。
施設と結婚するつもりなのか。
お前がどうしてそこまでマサキ施設に拘るのか、俺にはわかんねーけどさ。
もう少し心開いて、俺を男として認めて、愛してくれてもいーんじゃねーの。
一人一人に礼を言いながら、抱きしめた。
あぁ。もうすぐ二か月くらい、お前等と離れなきゃいけねーのか。
二か月って長いぞ。俺、大丈夫かな。
アメリカへ行くことを決めていたのは、もともとお前等がこんなに大切だって気が付く前だったんだ。
今更行くの止めたいなんて言ったら、プロジェクト頓挫するから絶対言えねーけど・・・・。
だから、この目に焼き付けておこう。身体に覚えこませておこう。
大切なお前等の為に今は頑張る時なんだって、自分を奮い立たせられるように。
何時もより時間をかけて挨拶を交わした。美羽とも抱擁したいが、流石にそれはできないから会釈にとどめておいた。
本番が出来ないから、最近特にお前とどーこうなる夢をよく見るようになっちまった。
早く同意して、干からびそうな俺を助けてくんねーかな。
エロビームで見つめても、通用するワケねーよな。
ため息をつきたくなった。
「王雅、お帰りー」
この声・・・・本当にため息が出た。真凛だ。
頭痛もしてきた。真凛がいるということは、キノコもいるに違いない。
「何でお前がいるんだよ」
「今日、ライタ君の誕生日じゃん。お祝いしようと思って。マサキ施設は、絶対に誕生日パーティーやってくれるから」
そーだった。ライタの誕生日パーティーもするんだ。ウルトライダーのイベントだけじゃなかったんだ。
またキノコ兄妹と一緒なのかよ。今日は平穏に過ごせると思ってたのに・・・・。
「相変わらずツレないなぁ。でも、そこが素敵!」
真凛は不機嫌な俺でも良いらしい。目を輝かせて喜んでいる。本当に変わった女だ。
でも、コイツと間違いだけは絶対に起こさねーぞ。何要求されるか、わかんねーからな。
間違いを起こしちまって結婚なんか迫られたら、終わりだ。
美羽との結婚がただでさえ遠のいているというのに、コイツに捕まったら永久に出来なくなっちまいそうだ。
今までの俺だったら、来るもの拒まずだったから別にしようと思えば出来たと思うが、それでもこんな女は勘弁願いたい。付きまとわれるのが、そもそも無理だ。
まあ、知らずに面倒な女と関係を持った事もあるからそれなりの対処はしてきたけど、今はもう昔の冷徹な俺じゃない。
特に美羽と関係している女を、手酷い目に遭わすワケにはいかねーだろ。
真凛を、コテンパンにするワケにはいかねーんだ。
とにかく関わらないようにしよう。無視だ、無視。
あぁ、でも、待ってくれ。
今、この状況って、もしかして美羽が俺に抱いている感情そのものなんじゃねーのか?
面倒な男に付きまとわれて・・・・(俺の場合は、真凛に付きまとわれて)
関わらないように努力して・・・・(右に同じ)
でも勝手に関わられた挙句、勝手に手を出され、キスまでされて・・・・(キスはまだされてねーけど、真凛にはしょっちゅう抱きつかれる)
ちょっ。
俺、マズくね?
美羽と親密度上がってる気分だったが、もしや全く皆無・・・・?
これじゃ、美羽が俺に惚れてくれる要素なんて、何もねーんじゃねーの?
――もしかして、俺に優しくしてくれるのは、大事な施設の土地持ち男だから、仕方なくなのか?
そう考えた途端、ガキ共に逢えて嬉しかったテンションが急降下した。
繊細な心が、もの凄い衝撃を受けた。
言うなれば痛恨の一撃でかなりのダメージを喰らい、俺のハートは瀕死状態だ。
結局、施設がらみなのか。
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「王雅、どうしたの? 急にそんな暗い顔して・・・・何かあった? 美味しいごはん出来てるから、沢山食べて元気出して」
俺をこんなに落ち込ませた張本人(美羽)に慰められた。
お前――もしかしたら、どんな男でもダメなのか。
施設と結婚するつもりなのか。
お前がどうしてそこまでマサキ施設に拘るのか、俺にはわかんねーけどさ。
もう少し心開いて、俺を男として認めて、愛してくれてもいーんじゃねーの。
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