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逆ライバル? 5

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 それから暫くして、施設が無償で借りているという畑で芋を育てているから、芋堀をしに行くことになった。
 普段は平日に行くが、俺の為に土曜日に予定をずらしてくれたらしい。
 美羽が、俺を連れて行ったらきっと喜ぶと思ってくれていたことを、ガックンから聞いた。


 芋堀か。確かに俺はやったことがない。芋自体をそんなに食わねえからな。


 好物が特になかった俺が、今では美羽の手料理が大好物となった。
 美羽が作ってくれたものなら、美味いから何でも好きだ。だから毎日食べたい。
 味付けだけじゃなくて、ガキ共と一緒に食えるのもいいんだと思う。


 芋堀に行くために、施設を出てぞろぞろと近所の畑まで全員で歩いて行った。夏とは違い、気候も大分涼しくなったから、ちょっと歩いたくらいじゃ汗もかかなくなった。
 プチ遠足気分を味わいながら、近所の畑にやってきた。子供の足で十分程度の所にある、小さな畑だ。

 ここは、セントラル商店街の野菜屋の畑らしい。
 仕入れた野菜だけじゃなくて、自家栽培の無農薬野菜も販売しているんだとか。しかし販路が無く、殆ど無償で知り合いに配っているんだとか。
 美羽が調理してくれたものを前に食ったけど、野菜の旨味が強く出ていて、普通にそのあたりで買う事のできる野菜よりも美味いと感じた。
 金にならないのは勿体ないから、プロジェクトの一環として販路の開拓計画を立てている。

 まあこれは、今のところ内緒だ。ちゃんと準備が整ったら、話を詰めて行こうと思う。

 俺は出来る限り美羽が大切にしている場所や関わっている人間を、まずは豊かにしてやりたいと考えている。
 このセントラル商店街だって、良い店が揃っている。買い物に何度か付き合って判った事実だ。
 こんな商店街は放って置いたら赤字になって、どんどん店が潰れちまうんだ。いずれシャッター通りになっちまうだろ。そーいった場所は、日本に沢山あるんだ。


 それは、全部俺が助ける。俺が計画した販路や契約で、ずっと長らく商売を続けられるように考えている。


 そういった計画を行う準備は大分整ってきた。平日は午前様まで働いている甲斐があるってもんで、それが徐々に実を結びつつあるんだ。
 だから、俺はもうすぐアメリカに行かなきゃならないだろう。
 何時になるかは計画進行次第というワケだ。
 ただし、渡米のタイミングは美羽と合体できてからだ。でも、早くしないとプロジェクトが頓挫で終了になってしまうだろーから、急いで合体案件も進めなきゃならん。

 しかし、進め方が今一つ掴めていないのが現状だ。

 ここが進んでいないのが、一番俺としては困っている。他は順調なんだ。
 芋堀して親密度がアップすりゃーいいんだけどな。


 考え事をしていると、スコップと軍手をアイリが持ってきてくれた。俺の分らしい。

「おーちゃん、おいもほり初めてでしょお? アイリが教えてあげるよぉー」

 芋堀して親密度が上がるのは、どーやらアイリのようだ。
 アイリは俺をぐいぐい引っ張って、キープしたという自分の場所の隣に俺を座らせ、芋堀の説明をしてくれた。
 芋の蔦を傷つけないようにかきわけ、とにかくひたすら土を掘るらしい。

「おーちゃん、がんばってー」

 アイリが応援してくれてんだ。頑張らないと男がすたる。
 俺は必死に土を掘った。
 結構手が痛くなってすぐしんどくなったが、アイリがニコニコ笑顔を湛えて俺を見つめているので、投げ出すワケにはいかなかった。


 暫く掘っていると、スコップにガチっと音がして、先に何かがぶつかった。恐らく目当ての芋だろう。

 
「アイリっ、何か当たったぞ!」

 何だか興奮した。

「あーすごい! おーちゃん、もうひといきだよぉ。がんばれー」

「よしっ」

 ある程度までスコップで掘ったら、後は手で丁寧に掘り、蔦を引っ張って芋を出すらしい。俺はアイリが教えてくれたように手で土を掘った。

「出て来たっ、アイリ、出て来たぞ! お披露目だっ!!」

 紫色の芋の先端が見えたので、ますます興奮してきた。あと少しだ。頑張るぞ!

「もう少し、がんばれー」

「おおっ、スゲーっ!!」

 巨大なサツマイモ親子を掘り当てた。根っこから幾重にも分かれていて、大きな芋や小さな芋が連なっている親子もどきのものだった。
 その中の一つが、特に大きく驚いた。普段俺の知っている芋の四、五倍はある。


「おーちゃん、やるぅ」


 アイリがウィンクして、褒めてくれた。


「はっはっは。俺様は何でも出来るんだ。アイリ、お前はどーなんだ?」

「んー、ちょっと休憩。おーちゃんのオーエンしてたし、あんまり掘れてないよぉー」

 見るとアイリはスコップを置いて、水筒からお茶をコップに移しているところだった。
 
「そうか。アイリの応援のお陰で、スゲー大きな宝が手に入った! ありがとう。だから、お返しに俺様が手伝ってやる」

 飲み終わったコップを戻して水筒を横に置き、スコップを持ったアイリの手を握って、一緒に堀った。発掘作業はペース配分を考えれば、そんなに苦しくなかった。そのままアイリの芋も掘り当て、二人で喜んだ。
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