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事情聴取・3
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アイツ絶対、俺が美羽の傍に居てカレシ気取りなのが、気に入らねーんだっ。
ま、俺が逆の立場だったら、間違いなく面白くないと思う。俺も同じ行動に出ると思うな。
だからそれらしい理由をつけて、施設に出入りしようって魂胆なんだろ。
それにしてもキノコめ。どこまでも邪魔なヤツだ。
十年以上もほったらかしだったクセに、今更ガキの頃の約束持ち出して、美羽と結婚しようなんざ、ムシが良すぎるだろ。
さっさと美羽は諦めて別の女見つけて、ソイツと結婚して、キノコの山で生息すりゃーいいのに。
美羽は絶対、キノコの嫁になんてならねーっつーの!
誰がキノコなんかにやるもんか。美羽は俺のだ。俺の。
「何で施設の手伝い、断らなかったんだよ。俺様が居るのに」
「そんな事言っても・・・・正直助かるのは事実だから・・・・。やっぱり平日は、私一人だけでしょ。恭ちゃんが居た時は手分けしてやってたことを、今は全部一人でやってるから」
「じゃ、俺が手伝うっ! 俺が無理な時は、召使でも何でも、お前が良いっていうなら、幾らでも、誰でも派遣して手伝ってやるから!」
「それはダメ。子供達だって嫌がると思うし。施設っていうのは、来てくれたら誰でもいいワケじゃないのよ。気持ちを持って、長く、根気よく、子供達の心に寄り添って接する事のできる人じゃなきゃ、ダメなの。私が信頼できるって思う人じゃなきゃ、ここには入って欲しくない」
俺は出入りさせて貰えてるから、美羽の基準には合格してんのか。
信頼か・・・・それは、男として認めてくれてるってコトとはまた別だと思うけど、今の一言はマジで嬉しい。美羽が俺を、そんな風に認めてくれてるなんて。
「じゃあ俺が平日、毎日帰って来る」
願っても無い事だ。毎日施設帰りは、俺様たっての希望だ。
こうなったらもう、俺様と結婚しよーぜ。
折見て、言ってみようかな。
「王雅は別に、自分のお仕事があるじゃない。今、大変なんでしょう? 横山さんと一緒に開発している商品だってそうだし、やること沢山あるでしょ。土日を全部、施設の為に使わせてしまっている事、本当に申し訳無いと思っているの。これ以上なんて・・・・」
「俺は別に構わねーぜ。美羽が帰って来て欲しいっつーなら、帰って来てやるよ」
本当は、俺が帰ってきたいんだけどな。
「気持ちだけもらっておく。ありがとう。でも、貴方はちゃんと自分の大切なお仕事があるんだから、疎かにしちゃダメよ。迷惑がかかるでしょ。それがイヤなの」
「別にかかんねーよ。俺は、毎日帰って来たい」
「・・・・毎日なんて、ダメよ」
「どうしてっ!?」
美羽は黙って、何故か悲しそうな顔で俺を見つめた。
「お前、何時でも帰って来ていいって、俺に言ったろ! あれ、嘘かよっ!?」
「違うわ。嘘なんかじゃないけど・・・・王雅、この際だからハッキリ言っておくわ。私達を、期待させないで欲しいの。毎日王雅が帰ってきたら、子供達は喜ぶわ。でも、貴方、一生それ続けられるの? 無理でしょう? 私と貴方じゃ、住む世界が違うのよ。何時か貴方も、貴方に相応しい場所へ帰るでしょ。今は珍しくて楽しいから、施設通いを続けられるのかもしれないけど――」
「なんだよ、ソレ!!」
美羽があんまり俺を突き放すような事を言うから、コッチまで無性に悲しくなってきた。
言いたい事は解るけど、それじゃ俺様のコト、真っ向否定じゃねーか。
でも、美羽の悲しそうな顔を見て、どうしてこんな事を言いだしたのか、ピンときた。
何となくだけど、解ったぞ。
ま、俺が逆の立場だったら、間違いなく面白くないと思う。俺も同じ行動に出ると思うな。
だからそれらしい理由をつけて、施設に出入りしようって魂胆なんだろ。
それにしてもキノコめ。どこまでも邪魔なヤツだ。
十年以上もほったらかしだったクセに、今更ガキの頃の約束持ち出して、美羽と結婚しようなんざ、ムシが良すぎるだろ。
さっさと美羽は諦めて別の女見つけて、ソイツと結婚して、キノコの山で生息すりゃーいいのに。
美羽は絶対、キノコの嫁になんてならねーっつーの!
誰がキノコなんかにやるもんか。美羽は俺のだ。俺の。
「何で施設の手伝い、断らなかったんだよ。俺様が居るのに」
「そんな事言っても・・・・正直助かるのは事実だから・・・・。やっぱり平日は、私一人だけでしょ。恭ちゃんが居た時は手分けしてやってたことを、今は全部一人でやってるから」
「じゃ、俺が手伝うっ! 俺が無理な時は、召使でも何でも、お前が良いっていうなら、幾らでも、誰でも派遣して手伝ってやるから!」
「それはダメ。子供達だって嫌がると思うし。施設っていうのは、来てくれたら誰でもいいワケじゃないのよ。気持ちを持って、長く、根気よく、子供達の心に寄り添って接する事のできる人じゃなきゃ、ダメなの。私が信頼できるって思う人じゃなきゃ、ここには入って欲しくない」
俺は出入りさせて貰えてるから、美羽の基準には合格してんのか。
信頼か・・・・それは、男として認めてくれてるってコトとはまた別だと思うけど、今の一言はマジで嬉しい。美羽が俺を、そんな風に認めてくれてるなんて。
「じゃあ俺が平日、毎日帰って来る」
願っても無い事だ。毎日施設帰りは、俺様たっての希望だ。
こうなったらもう、俺様と結婚しよーぜ。
折見て、言ってみようかな。
「王雅は別に、自分のお仕事があるじゃない。今、大変なんでしょう? 横山さんと一緒に開発している商品だってそうだし、やること沢山あるでしょ。土日を全部、施設の為に使わせてしまっている事、本当に申し訳無いと思っているの。これ以上なんて・・・・」
「俺は別に構わねーぜ。美羽が帰って来て欲しいっつーなら、帰って来てやるよ」
本当は、俺が帰ってきたいんだけどな。
「気持ちだけもらっておく。ありがとう。でも、貴方はちゃんと自分の大切なお仕事があるんだから、疎かにしちゃダメよ。迷惑がかかるでしょ。それがイヤなの」
「別にかかんねーよ。俺は、毎日帰って来たい」
「・・・・毎日なんて、ダメよ」
「どうしてっ!?」
美羽は黙って、何故か悲しそうな顔で俺を見つめた。
「お前、何時でも帰って来ていいって、俺に言ったろ! あれ、嘘かよっ!?」
「違うわ。嘘なんかじゃないけど・・・・王雅、この際だからハッキリ言っておくわ。私達を、期待させないで欲しいの。毎日王雅が帰ってきたら、子供達は喜ぶわ。でも、貴方、一生それ続けられるの? 無理でしょう? 私と貴方じゃ、住む世界が違うのよ。何時か貴方も、貴方に相応しい場所へ帰るでしょ。今は珍しくて楽しいから、施設通いを続けられるのかもしれないけど――」
「なんだよ、ソレ!!」
美羽があんまり俺を突き放すような事を言うから、コッチまで無性に悲しくなってきた。
言いたい事は解るけど、それじゃ俺様のコト、真っ向否定じゃねーか。
でも、美羽の悲しそうな顔を見て、どうしてこんな事を言いだしたのか、ピンときた。
何となくだけど、解ったぞ。
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