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スマイル29
双子の兄妹・5
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せめて一回でも美羽を抱いてりゃ、もう少し大きな顔できんのに。
カレシっつっても、まだ言い分も納得できるだろ。なんせ男女関係があるんだ。
でも、俺様ともあろう男が、未だにそんな関係も結べず、手に入れる事ができちゃいないんだ。
あぁあぁ・・・・昨日の夜、チイの事――辛く悲しいあの状況で、美羽を慰めながらヤッときゃ良かったとか、最低な事、思わせないでくれよ。それも落ち込む原因のひとつなんだ。
「王雅にぃ、どーした! ホラ、かかってこいっ」
主人公キュウの真似して、ファイティングポーズを取っているライタに挑発された。
何時もならここで、俺が宇宙怪獣Xの代理、宇宙怪獣王雅様に扮装してライタを追いかけ回すんだけど・・・・。もう、どうにも考える事が多く、頭が痛すぎて、立ち上がる気力も沸いてこない。
「王雅にぃ・・・・」
俺が落ち込んでいるから、ライタが頭を撫でてくれた。「ごめん。さっきの攻撃、そんなに痛かった?」
「うん、痛かった。超、胸が苦しい」
「えっ、大丈夫!?」
頭に攻撃を喰らったのに、胸が苦しい等と言う俺のおかしな言葉を気にもせず、ライタが心配そうに俺を覗き込んできだ。
胸が苦しいのは、本当だけどな。
ライタ、お前のせいじゃねーのに。そんな風に俺を心配してくれるんだな――
「はっはっは。騙されたな! お前の攻撃が、俺様に効くワケねーだろが」
羽交い絞めにして、ライタのイガグリ頭をグリグリした上、思い切りくすぐってやった。
「あーっ、ズリーぞっ! 卑怯者っ、はんそくっ、あははははっ、ちょ、王雅にぃ、やめろーっ! あ――――っ!!」
もう、考えんの、やめよ。
とにかくキノコ兄妹の事、もっと美羽に詳しく聞く必要がある。
手を打つのは、それからだ。
折角楽しみにしていた施設で過ごす日曜日を、突如現れた訳の分からんキノコのせいで、台無しにするワケにはいかねー。
「はっはっは。俺様がウルトラライタをやっつけに来た、宇宙怪獣王雅様だ! Xに成り代わり、お前を懲らしめてやるっっ」
これは最近、俺とライタとサトルとリョウの間で、流行っている遊びだ。
何故俺様が悪役なんだ、と最初はブツブツ文句を言ったんだけど、結構楽しくなってきてしまって、ノリよく遊んでやってるから、そのまま悪役をやらされている。
でも、負けるのはイヤだから、結構ホンキで三人に向かって行くんだ。
手加減しねーから、殆ど悪役の俺が勝つってワケ。
「おー」
俺がライタ達を追いかけまわすと、キューマは俺の応援をしてくれるんだ。
ありがとよ、と礼を言い、キューマをそのまま担ぎ上げ、手下怪獣キューマに扮させて、そのまま三人を追いかけるんだ。
「きゃーっっ」
キューマを抱えて追いかけていると、アイリが混じって来た。「おーちゃんが来たー!」
「おーちゃんじゃねーよっ! 宇宙怪獣王雅様だーっ」
遊戯室をバタバタと走り回って、サトルを捕獲した。「はっはっは。捕まえたぞ! 覚悟しろっ」
俺とキューマで、サトルをくすぐった。
「やめてーっ、ぎゃーっ、あーっ、はははははぁっ! うきゃーっっ!!」
散々サトルをくすぐって、息切れしたところを転がした。一丁上がり。
「次は誰だーっ」
「きゃーっっ」
俺と目が合ったミイとガックンも逃げ出した。
「キューマ、いけっ、捕まえろっ!!」
隅の方でわざとキューマを待ってくれているガックンに突撃するように指示して、キューマを一人で歩かせた。
よろよろとしながらも一人で頑張って歩くキューマに、もうちょっとだよー、頑張ってー、とガックンは声をかけている。
「うーっ!」
キューマが勇ましい声を上げ、ガックンを捕獲した。「んーっ、んーっ!! おー!」
上手く捕まえたものだから、キューマが歓喜の声を上げ、ドヤ顔を見せて俺を呼びつけた。
「でかしたっ、キューマっ! よし、そのままガックンを捕まえておいてくれっ」
ガックンは捕虜のクセに、よく頑張ったねー、とキューマの頭を撫でて、笑顔を見せている。
ホント、ガックンは良いアニキだ。
「ガックン、覚悟はいいか?」
俺はガックンの前に立ちはだかり、キューマと一緒に手をニギニギさせた。くするぐ前の、サインだ。
「おっ、お手柔らかにお願いしますっっ」
「うー」
やれ、というキューマの合図だ。ガックンの半ズボンの裾をガッチリと掴み、俺に向かってキューマが悪い顔を見せた。
言葉を上手く話せないだけで、キューマはかなり頭のキレる悪ガキだと思う。愛くるしい容姿の割に、悪い顔を時折見せるからな。
「突撃―っ」
俺はガックンにくすぐり攻撃を仕掛けた。
「わーっ、お兄さんっ、ダメですうっ、あはははっ、も、やめてっー、あははははーっ、くる、しぃっ・・・・!」
「ガックンを助けろーっ」
復活したライタが、リョウと一緒に紙の剣で俺に攻撃を仕掛けて来た。
カレシっつっても、まだ言い分も納得できるだろ。なんせ男女関係があるんだ。
でも、俺様ともあろう男が、未だにそんな関係も結べず、手に入れる事ができちゃいないんだ。
あぁあぁ・・・・昨日の夜、チイの事――辛く悲しいあの状況で、美羽を慰めながらヤッときゃ良かったとか、最低な事、思わせないでくれよ。それも落ち込む原因のひとつなんだ。
「王雅にぃ、どーした! ホラ、かかってこいっ」
主人公キュウの真似して、ファイティングポーズを取っているライタに挑発された。
何時もならここで、俺が宇宙怪獣Xの代理、宇宙怪獣王雅様に扮装してライタを追いかけ回すんだけど・・・・。もう、どうにも考える事が多く、頭が痛すぎて、立ち上がる気力も沸いてこない。
「王雅にぃ・・・・」
俺が落ち込んでいるから、ライタが頭を撫でてくれた。「ごめん。さっきの攻撃、そんなに痛かった?」
「うん、痛かった。超、胸が苦しい」
「えっ、大丈夫!?」
頭に攻撃を喰らったのに、胸が苦しい等と言う俺のおかしな言葉を気にもせず、ライタが心配そうに俺を覗き込んできだ。
胸が苦しいのは、本当だけどな。
ライタ、お前のせいじゃねーのに。そんな風に俺を心配してくれるんだな――
「はっはっは。騙されたな! お前の攻撃が、俺様に効くワケねーだろが」
羽交い絞めにして、ライタのイガグリ頭をグリグリした上、思い切りくすぐってやった。
「あーっ、ズリーぞっ! 卑怯者っ、はんそくっ、あははははっ、ちょ、王雅にぃ、やめろーっ! あ――――っ!!」
もう、考えんの、やめよ。
とにかくキノコ兄妹の事、もっと美羽に詳しく聞く必要がある。
手を打つのは、それからだ。
折角楽しみにしていた施設で過ごす日曜日を、突如現れた訳の分からんキノコのせいで、台無しにするワケにはいかねー。
「はっはっは。俺様がウルトラライタをやっつけに来た、宇宙怪獣王雅様だ! Xに成り代わり、お前を懲らしめてやるっっ」
これは最近、俺とライタとサトルとリョウの間で、流行っている遊びだ。
何故俺様が悪役なんだ、と最初はブツブツ文句を言ったんだけど、結構楽しくなってきてしまって、ノリよく遊んでやってるから、そのまま悪役をやらされている。
でも、負けるのはイヤだから、結構ホンキで三人に向かって行くんだ。
手加減しねーから、殆ど悪役の俺が勝つってワケ。
「おー」
俺がライタ達を追いかけまわすと、キューマは俺の応援をしてくれるんだ。
ありがとよ、と礼を言い、キューマをそのまま担ぎ上げ、手下怪獣キューマに扮させて、そのまま三人を追いかけるんだ。
「きゃーっっ」
キューマを抱えて追いかけていると、アイリが混じって来た。「おーちゃんが来たー!」
「おーちゃんじゃねーよっ! 宇宙怪獣王雅様だーっ」
遊戯室をバタバタと走り回って、サトルを捕獲した。「はっはっは。捕まえたぞ! 覚悟しろっ」
俺とキューマで、サトルをくすぐった。
「やめてーっ、ぎゃーっ、あーっ、はははははぁっ! うきゃーっっ!!」
散々サトルをくすぐって、息切れしたところを転がした。一丁上がり。
「次は誰だーっ」
「きゃーっっ」
俺と目が合ったミイとガックンも逃げ出した。
「キューマ、いけっ、捕まえろっ!!」
隅の方でわざとキューマを待ってくれているガックンに突撃するように指示して、キューマを一人で歩かせた。
よろよろとしながらも一人で頑張って歩くキューマに、もうちょっとだよー、頑張ってー、とガックンは声をかけている。
「うーっ!」
キューマが勇ましい声を上げ、ガックンを捕獲した。「んーっ、んーっ!! おー!」
上手く捕まえたものだから、キューマが歓喜の声を上げ、ドヤ顔を見せて俺を呼びつけた。
「でかしたっ、キューマっ! よし、そのままガックンを捕まえておいてくれっ」
ガックンは捕虜のクセに、よく頑張ったねー、とキューマの頭を撫でて、笑顔を見せている。
ホント、ガックンは良いアニキだ。
「ガックン、覚悟はいいか?」
俺はガックンの前に立ちはだかり、キューマと一緒に手をニギニギさせた。くするぐ前の、サインだ。
「おっ、お手柔らかにお願いしますっっ」
「うー」
やれ、というキューマの合図だ。ガックンの半ズボンの裾をガッチリと掴み、俺に向かってキューマが悪い顔を見せた。
言葉を上手く話せないだけで、キューマはかなり頭のキレる悪ガキだと思う。愛くるしい容姿の割に、悪い顔を時折見せるからな。
「突撃―っ」
俺はガックンにくすぐり攻撃を仕掛けた。
「わーっ、お兄さんっ、ダメですうっ、あはははっ、も、やめてっー、あははははーっ、くる、しぃっ・・・・!」
「ガックンを助けろーっ」
復活したライタが、リョウと一緒に紙の剣で俺に攻撃を仕掛けて来た。
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