コロッケスマイル

さぶれ@6作コミカライズ配信・原作家

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双子の兄妹・5

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 せめて一回でも美羽を抱いてりゃ、もう少し大きな顔できんのに。
 カレシっつっても、まだ言い分も納得できるだろ。なんせ男女関係があるんだ。

 でも、俺様ともあろう男が、未だにそんな関係も結べず、手に入れる事ができちゃいないんだ。


 あぁあぁ・・・・昨日の夜、チイの事――辛く悲しいあの状況で、美羽を慰めながらヤッときゃ良かったとか、最低な事、思わせないでくれよ。それも落ち込む原因のひとつなんだ。


「王雅にぃ、どーした! ホラ、かかってこいっ」


 主人公キュウの真似して、ファイティングポーズを取っているライタに挑発された。
 何時もならここで、俺が宇宙怪獣Xの代理、宇宙怪獣王雅様に扮装してライタを追いかけ回すんだけど・・・・。もう、どうにも考える事が多く、頭が痛すぎて、立ち上がる気力も沸いてこない。

「王雅にぃ・・・・」

 俺が落ち込んでいるから、ライタが頭を撫でてくれた。「ごめん。さっきの攻撃、そんなに痛かった?」

「うん、痛かった。超、胸が苦しい」

「えっ、大丈夫!?」

 頭に攻撃を喰らったのに、胸が苦しい等と言う俺のおかしな言葉を気にもせず、ライタが心配そうに俺を覗き込んできだ。

 胸が苦しいのは、本当だけどな。

 ライタ、お前のせいじゃねーのに。そんな風に俺を心配してくれるんだな――
 


「はっはっは。騙されたな! お前の攻撃が、俺様に効くワケねーだろが」



 羽交い絞めにして、ライタのイガグリ頭をグリグリした上、思い切りくすぐってやった。

「あーっ、ズリーぞっ! 卑怯者っ、はんそくっ、あははははっ、ちょ、王雅にぃ、やめろーっ! あ――――っ!!」

 もう、考えんの、やめよ。

 とにかくキノコ兄妹の事、もっと美羽に詳しく聞く必要がある。
 手を打つのは、それからだ。

 折角楽しみにしていた施設で過ごす日曜日を、突如現れた訳の分からんキノコのせいで、台無しにするワケにはいかねー。


「はっはっは。俺様がウルトラライタをやっつけに来た、宇宙怪獣王雅様だ! Xに成り代わり、お前を懲らしめてやるっっ」


 これは最近、俺とライタとサトルとリョウの間で、流行っている遊びだ。
 何故俺様が悪役なんだ、と最初はブツブツ文句を言ったんだけど、結構楽しくなってきてしまって、ノリよく遊んでやってるから、そのまま悪役をやらされている。
 でも、負けるのはイヤだから、結構ホンキで三人に向かって行くんだ。
 手加減しねーから、殆ど悪役の俺が勝つってワケ。
 
「おー」

 俺がライタ達を追いかけまわすと、キューマは俺の応援をしてくれるんだ。
 ありがとよ、と礼を言い、キューマをそのまま担ぎ上げ、手下怪獣キューマに扮させて、そのまま三人を追いかけるんだ。

「きゃーっっ」

 キューマを抱えて追いかけていると、アイリが混じって来た。「おーちゃんが来たー!」

「おーちゃんじゃねーよっ! 宇宙怪獣王雅様だーっ」

 遊戯室をバタバタと走り回って、サトルを捕獲した。「はっはっは。捕まえたぞ! 覚悟しろっ」

 俺とキューマで、サトルをくすぐった。

「やめてーっ、ぎゃーっ、あーっ、はははははぁっ! うきゃーっっ!!」

 散々サトルをくすぐって、息切れしたところを転がした。一丁上がり。

「次は誰だーっ」

「きゃーっっ」

 俺と目が合ったミイとガックンも逃げ出した。

「キューマ、いけっ、捕まえろっ!!」

 隅の方でわざとキューマを待ってくれているガックンに突撃するように指示して、キューマを一人で歩かせた。
 よろよろとしながらも一人で頑張って歩くキューマに、もうちょっとだよー、頑張ってー、とガックンは声をかけている。
 
「うーっ!」

 キューマが勇ましい声を上げ、ガックンを捕獲した。「んーっ、んーっ!! おー!」

 上手く捕まえたものだから、キューマが歓喜の声を上げ、ドヤ顔を見せて俺を呼びつけた。

「でかしたっ、キューマっ! よし、そのままガックンを捕まえておいてくれっ」

 ガックンは捕虜のクセに、よく頑張ったねー、とキューマの頭を撫でて、笑顔を見せている。
 ホント、ガックンは良いアニキだ。


「ガックン、覚悟はいいか?」


 俺はガックンの前に立ちはだかり、キューマと一緒に手をニギニギさせた。くするぐ前の、サインだ。

「おっ、お手柔らかにお願いしますっっ」

「うー」

 やれ、というキューマの合図だ。ガックンの半ズボンの裾をガッチリと掴み、俺に向かってキューマが悪い顔を見せた。
 言葉を上手く話せないだけで、キューマはかなり頭のキレる悪ガキだと思う。愛くるしい容姿の割に、悪い顔を時折見せるからな。


「突撃―っ」


 俺はガックンにくすぐり攻撃を仕掛けた。


「わーっ、お兄さんっ、ダメですうっ、あはははっ、も、やめてっー、あははははーっ、くる、しぃっ・・・・!」

「ガックンを助けろーっ」

 復活したライタが、リョウと一緒に紙の剣で俺に攻撃を仕掛けて来た。
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