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スマイル25
週末のビジネスマン・2
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何時に行くとは言ってねーけど、朝の七時過ぎから行くって、ちょっと早すぎるかな?
ま、俺の家みたいなもんだって言ってくれたんだし、大丈夫だろ。
この部屋にいたら夏だというのに、寒すぎてマジで凍りそうだ。ヘンな妄想ばっか膨らむし。身体は渇いたまんまだし、ロクな事が無い。
本物に逢おう。本物に。
俺は何時ものようにコインパーキングに自分の車を停め、舗装の悪い道を歩き、ボロ門扉を開け、やかましい音をたてて開く、横開きの扉に手をかけた。案の定、カギはかかっていねえ。美羽が開けてくれてるんだ。
今頃、食堂で朝飯を食い始めてるとこだろーな。
こんなに朝早くに行ったら、アイツ等、驚くだろーな。こっそり入って驚かせてやろうかな――そう思っていたのに、ガラガラと扉を開けた瞬間、スタンバイしていたガキ共が、俺を取り囲んだ。
「おかえりなさーい!!」
「お兄さん、おかえりーっ!」
「おーたん、おぁーりー」
「今日もいっぱい遊んでねっ」
「僕が先だよっ」
「私がー」
手厚いお帰り攻撃を受けた。ガキ共にもみくちゃにされていると、傍に立っていた美羽がクスクス笑っている。
「おかえりなさい。貴方、きっと早く帰って来ると思ったから、みんなで待っていたのよ。今日は朝から王雅が帰って来るって、もうみんながわかっているから、大騒ぎだったの」
――おかえりなさい、あなた、って今、言ったよな!?
貴方って、漢字が違うけど、言ったら響きは一緒だ! 『貴方』は『あなた』ど同一だ。
ちょっ。俺、どーしよっ!
これってさ、これって・・・・お前をイタダキマスしてもいいって事だよなっ!?
俺の想像と、同じじゃねーかっ!!
待ってくれ。こんな急にチャンス到来とは思ってなかったんだ。今、心の準備がまだなんだ。
いや、身体の準備は万端だ。いつでも来い。おあずけ喰らいっぱなしで、干からび寸前だからな。
それより、こんなに朝早くから頑張っちゃっていーのか!?
今この一瞬だけは、ガキ共――邪魔だな。
俺と美羽の乱れるトコを、ガキ共に見せるわけにはいかねーからな。見せたら、それこそ大問題だ。施設が業務停止喰らうぞ。それはマズい。
まとめて少しの間だけ、どっかにやれねーかな・・・・。
――ハッ! イカンイカン。俺は何を思っているんだ!
こんな俺の事を心から必要として、待っていてくれて、手厚く出迎えてくれるガキ共を、一瞬でも邪魔だと思うなんて!!
申し訳ない。ごめん。俺、今スゲー最低だった。
お前等の出迎えは、死ぬほど嬉しいんだ。煩悩がほんのちょびっとだけ勝っちまった。それも全部、欲求不満のせーだ。これは俺の身体を、こんなになるまで放置した美羽が悪い。俺は悪くない。だからお前等、許してくれ。
でもな、どうしても諦められない。朝から美羽を愛したい。頑張りたい。
難しいのは解ってる。ガキ共がこんなに大勢居るんだ。目を盗んでする事も、容易くはないだろう。失敗したら、シャレになんない事も解ってる。
「王雅、どうしたの?」
黙ってあれこれ考えている俺を、美羽が覗き込んだ。
ドキン
――もう、今はダメよ。
心臓が高鳴り、俺の想像の美羽のセリフが蘇った。
そうだよな。お前の言う通り、夜だな、夜。
分かった。待っとく。俺、やればできる男だから。我慢する。
「何でもねーよ。お前等のサプライズに、驚いただけだ。お前等に会えてメチャクチャ嬉しいから、感激してたんだ。俺の事出迎えてくれて、ありがとう。それから、ただいま」
心を読まれたら、確実にビンタ決定な事を想像しながら、俺は極上の微笑みを美羽に返してやった。
ま、俺の家みたいなもんだって言ってくれたんだし、大丈夫だろ。
この部屋にいたら夏だというのに、寒すぎてマジで凍りそうだ。ヘンな妄想ばっか膨らむし。身体は渇いたまんまだし、ロクな事が無い。
本物に逢おう。本物に。
俺は何時ものようにコインパーキングに自分の車を停め、舗装の悪い道を歩き、ボロ門扉を開け、やかましい音をたてて開く、横開きの扉に手をかけた。案の定、カギはかかっていねえ。美羽が開けてくれてるんだ。
今頃、食堂で朝飯を食い始めてるとこだろーな。
こんなに朝早くに行ったら、アイツ等、驚くだろーな。こっそり入って驚かせてやろうかな――そう思っていたのに、ガラガラと扉を開けた瞬間、スタンバイしていたガキ共が、俺を取り囲んだ。
「おかえりなさーい!!」
「お兄さん、おかえりーっ!」
「おーたん、おぁーりー」
「今日もいっぱい遊んでねっ」
「僕が先だよっ」
「私がー」
手厚いお帰り攻撃を受けた。ガキ共にもみくちゃにされていると、傍に立っていた美羽がクスクス笑っている。
「おかえりなさい。貴方、きっと早く帰って来ると思ったから、みんなで待っていたのよ。今日は朝から王雅が帰って来るって、もうみんながわかっているから、大騒ぎだったの」
――おかえりなさい、あなた、って今、言ったよな!?
貴方って、漢字が違うけど、言ったら響きは一緒だ! 『貴方』は『あなた』ど同一だ。
ちょっ。俺、どーしよっ!
これってさ、これって・・・・お前をイタダキマスしてもいいって事だよなっ!?
俺の想像と、同じじゃねーかっ!!
待ってくれ。こんな急にチャンス到来とは思ってなかったんだ。今、心の準備がまだなんだ。
いや、身体の準備は万端だ。いつでも来い。おあずけ喰らいっぱなしで、干からび寸前だからな。
それより、こんなに朝早くから頑張っちゃっていーのか!?
今この一瞬だけは、ガキ共――邪魔だな。
俺と美羽の乱れるトコを、ガキ共に見せるわけにはいかねーからな。見せたら、それこそ大問題だ。施設が業務停止喰らうぞ。それはマズい。
まとめて少しの間だけ、どっかにやれねーかな・・・・。
――ハッ! イカンイカン。俺は何を思っているんだ!
こんな俺の事を心から必要として、待っていてくれて、手厚く出迎えてくれるガキ共を、一瞬でも邪魔だと思うなんて!!
申し訳ない。ごめん。俺、今スゲー最低だった。
お前等の出迎えは、死ぬほど嬉しいんだ。煩悩がほんのちょびっとだけ勝っちまった。それも全部、欲求不満のせーだ。これは俺の身体を、こんなになるまで放置した美羽が悪い。俺は悪くない。だからお前等、許してくれ。
でもな、どうしても諦められない。朝から美羽を愛したい。頑張りたい。
難しいのは解ってる。ガキ共がこんなに大勢居るんだ。目を盗んでする事も、容易くはないだろう。失敗したら、シャレになんない事も解ってる。
「王雅、どうしたの?」
黙ってあれこれ考えている俺を、美羽が覗き込んだ。
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分かった。待っとく。俺、やればできる男だから。我慢する。
「何でもねーよ。お前等のサプライズに、驚いただけだ。お前等に会えてメチャクチャ嬉しいから、感激してたんだ。俺の事出迎えてくれて、ありがとう。それから、ただいま」
心を読まれたら、確実にビンタ決定な事を想像しながら、俺は極上の微笑みを美羽に返してやった。
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