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スマイル24
本当の自分・4
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食堂に入ると、ガキ共が自分たちの食事を中断してまで、喜んで俺の傍に来てくれた。
もう、嬉しくて泣きそうになった。
やめてくれよ。さっきも優しいアイリに泣かされそうになったし、最近、だんだん涙腺弱くなってきてる気がする。
まだ辛うじて泣いてないけど、そのうちマジ泣きしそうで怖い。
非道の冷徹王だったハズなのに、俺は一体、どーなっちまったんだろう。
泣くとか、ありえねーんだ。これまで人前で泣いたことなんか、一度だってねーからな。
人前だけじゃねえ。一人の時だって、泣くようなことが一切無かったんだ。
今までの俺が虚像で、マサキ施設で変わってしまった俺が、きっと本当の自分なんだろう。
俺は今、本当の自分を取り戻しているんだ。
だから自分でも、知らない自分が居るってコトだよな。知らなくて当たり前なんだ。
あったかい家族みたいなお前達に包まれて、俺はようやく本当の自分に出逢えたんだ。
ただ、色々面倒な一面があるんだな、とは思うけど。
美羽の用意してくれていた朝食を胃袋に収め、再度支度を整えて、俺は施設の玄関に立った。
今日は、初めての、俺だけの会社で取引を行う、大切な日になるんだ。
こんな大切な日に、お前達の顔を見なくちゃ始まらない。いい仕事は絶対にできない。
「いってきます!」
「いってらっしゃーい!!」
全員に見送られて、俺は施設を出た。
気合が入った。これで、どんな仕事でも頑張れる。
守ってやりたいと思う存在が、俺を奮い立たせて、強くしてくれる。
先ずは会社に出社前に、印鑑、登記、証明書の取得だ。
面倒な事は大概人任せだったけれど、これからは、全部俺の手でやっていこう。
大切な城は、誰にも触らせたくない。
いいな、こうやって大切にできるっつーのは。
ビジネスも俺の力で新しく芽吹くんだ。立ち上げたこの会社――キングフェザーだけじゃなくて、認めた会社や企業は、絶対に俺が立ち直らせ、飛躍させてやるんだ。
気合入れて行ったが、結局横山の会社との契約は心配な事は何一つも無く、無事に終了した。
ま、最後の仕上げの印鑑つくだけだったんだけどな。でも、契約が完了してたわけじゃない。何が起こるか分からないんだ。絶対に油断はできない。これがキチンと終わらなきゃ、契約成立にはならねーんだ。
俺の融資の金が入ったもんだから、横山の工場は潰れることなく、再び稼働しだした。そのおかげで、銀行の返済だけじゃなく、滞っていた従業員の給料が払えると喜んでいた。
横山には、また赤字にするなよ、と釘はさしておいた。ボーナスで融資金バラまきすぎて、工場傾けられたら困るからな。
ま、大丈夫だろ。俺がついてんだ。手綱はしっかり握っててやる。
更にプロジェクトの計画案も、既に昨日自宅に帰ってから作り上げて、契約を交わす際、渡しておいた。試作品はなるべく早めに作ってくれると、約束してもらった。
いいな。楽しい。
これからは、自分の力がどこまで試せるか、どこまで通用するか、とことんやってみたい。
今まではこんな気持ちになったこと、一度も無かった。
ビジネスは楽しかったけど、違うんだ。今まではどちらかといえば――儲け優先で、ゲームを楽しむような感覚だったし、軍資金だって後ろ盾もあったから、臆することも無かった。
でも、これからは違う。
どんな企業を見つけ、育ててやろうか。どんな風に、俺と一緒に飛躍させてやろうか――そんな気持ちだ。
今までとはまた違った、本当の楽しさが俺の心を占めている。
これからは、どんな出来事が待っているんだろう。
スッゲー、ワクワクしてきた!
もう、嬉しくて泣きそうになった。
やめてくれよ。さっきも優しいアイリに泣かされそうになったし、最近、だんだん涙腺弱くなってきてる気がする。
まだ辛うじて泣いてないけど、そのうちマジ泣きしそうで怖い。
非道の冷徹王だったハズなのに、俺は一体、どーなっちまったんだろう。
泣くとか、ありえねーんだ。これまで人前で泣いたことなんか、一度だってねーからな。
人前だけじゃねえ。一人の時だって、泣くようなことが一切無かったんだ。
今までの俺が虚像で、マサキ施設で変わってしまった俺が、きっと本当の自分なんだろう。
俺は今、本当の自分を取り戻しているんだ。
だから自分でも、知らない自分が居るってコトだよな。知らなくて当たり前なんだ。
あったかい家族みたいなお前達に包まれて、俺はようやく本当の自分に出逢えたんだ。
ただ、色々面倒な一面があるんだな、とは思うけど。
美羽の用意してくれていた朝食を胃袋に収め、再度支度を整えて、俺は施設の玄関に立った。
今日は、初めての、俺だけの会社で取引を行う、大切な日になるんだ。
こんな大切な日に、お前達の顔を見なくちゃ始まらない。いい仕事は絶対にできない。
「いってきます!」
「いってらっしゃーい!!」
全員に見送られて、俺は施設を出た。
気合が入った。これで、どんな仕事でも頑張れる。
守ってやりたいと思う存在が、俺を奮い立たせて、強くしてくれる。
先ずは会社に出社前に、印鑑、登記、証明書の取得だ。
面倒な事は大概人任せだったけれど、これからは、全部俺の手でやっていこう。
大切な城は、誰にも触らせたくない。
いいな、こうやって大切にできるっつーのは。
ビジネスも俺の力で新しく芽吹くんだ。立ち上げたこの会社――キングフェザーだけじゃなくて、認めた会社や企業は、絶対に俺が立ち直らせ、飛躍させてやるんだ。
気合入れて行ったが、結局横山の会社との契約は心配な事は何一つも無く、無事に終了した。
ま、最後の仕上げの印鑑つくだけだったんだけどな。でも、契約が完了してたわけじゃない。何が起こるか分からないんだ。絶対に油断はできない。これがキチンと終わらなきゃ、契約成立にはならねーんだ。
俺の融資の金が入ったもんだから、横山の工場は潰れることなく、再び稼働しだした。そのおかげで、銀行の返済だけじゃなく、滞っていた従業員の給料が払えると喜んでいた。
横山には、また赤字にするなよ、と釘はさしておいた。ボーナスで融資金バラまきすぎて、工場傾けられたら困るからな。
ま、大丈夫だろ。俺がついてんだ。手綱はしっかり握っててやる。
更にプロジェクトの計画案も、既に昨日自宅に帰ってから作り上げて、契約を交わす際、渡しておいた。試作品はなるべく早めに作ってくれると、約束してもらった。
いいな。楽しい。
これからは、自分の力がどこまで試せるか、どこまで通用するか、とことんやってみたい。
今まではこんな気持ちになったこと、一度も無かった。
ビジネスは楽しかったけど、違うんだ。今まではどちらかといえば――儲け優先で、ゲームを楽しむような感覚だったし、軍資金だって後ろ盾もあったから、臆することも無かった。
でも、これからは違う。
どんな企業を見つけ、育ててやろうか。どんな風に、俺と一緒に飛躍させてやろうか――そんな気持ちだ。
今までとはまた違った、本当の楽しさが俺の心を占めている。
これからは、どんな出来事が待っているんだろう。
スッゲー、ワクワクしてきた!
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