コロッケスマイル

さぶれ@6作コミカライズ配信・原作家

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スマイル23

オトコの事情・3

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 これはもしかして、美羽に試されてるのか?


 でも、もう、我慢の限界だ。


 同意、取れてないけど、いーかな。


 手を取り合ってんだ。これはチャンスってコトにしよう。
 この先いったら、どーなるんだ。考えてみよう。
 ちょっと触ってキスするくらい、別にいーだろ――・・・・



――――・・・・



――酷い、王雅。見損なったわ。
 こんなコトして――・・・・


 衣服の乱れた、美羽が俺を見つめて泣いている。
 ヤバい。この状態って――俺きっと、想像もできないくらい、メチャクチャやっちゃったんだ!



 だめだっ! だめだぁーっ!!


 触ったらマジで最後だ。
 暴君になっちゃって、ヒドイ事、美羽にしちゃうんだ。
 悪夢到来じゃねーかっ。
 俺、もう、絶対に美羽に触れねーっ!!

 ああっ。こんなに手を伸ばせばすぐの距離にあるのに。
 美羽は、禁断のリンゴだ。

 食っちまったら、エデン追放だ。

「どうしたの? さっきから怖い顔して」

 美羽が俺を覗き込んできた。

「やっ、べ、別にっ! なっ、な、何でもねーって! それ以上、近寄るなっっ」

 必死に堪えてるオトコの事情を、勝手に覗き込むなっ!

「なによ、近寄るな、なんて失礼ね。人をバイキンみたいに」

「頼むから離れろっ。俺は、出禁になりたくねーんだ!」

「出禁って何よ」美羽が怪訝そうな顔をして、焦る俺を更に覗き込もうとする。

「いーからっ! 何でもねーよっ! ほらっ、あ、あの、そうだっ、ノド乾いたっ! 飲み物くれっ、持ってきてくれ、早く! 今すぐっ!!」

「エラソーね」

「今に始まったことじゃねーだろっ! 俺がエラソーなのは生まれつきだっ。早く、何でもいーから、とにかく持ってきてくれ!」

「しょうがない王様ね」

 不承不承といった感じで美羽が立ち上がり、俺から離れた。飲み物を取りに行ってくれるのだろう。応接室を出て行った。



 はぁぁぁぁぁ。何とかセーフだ。



 もう、横並びは危険すぎる。
 これからも施設に泊まりとか、美羽と過ごす時間が増えれば増えるほど、数多くの恐ろしい試練が待ち受けているに違いない。
 
 大丈夫か、俺。
 このままじゃ、身体がもたねーぜ。

 かといって、土日の泊りをやめるわけにはいかない。
 美羽やガキ共と、離れる方が辛いからな。
 独りの広い部屋は淋しすぎてイヤだ。もう、耐えらんねー。
 だから俺は平日だけ仕事の出張で、自分の部屋で寝ていることにしようと思ってるんだ。
 そうでも思わなきゃ、平日が辛過ぎて、耐えれそうにないからな。

 で、土日は施設に帰って来る、と。

 ただ、施設で美羽と一緒に過ごすとなると、間違いが起こっちまうという問題が待ち受けているワケだ。


 ・・・・でも、待てよ。


 万が一間違いが起こったとしても、同意があるなら、これはもう間違いじゃねーよな。
 そうだ! 名案だ!! 
 何とか・・・・どうにかして、美羽からの同意を取るしかねーぞ。コレだ。今の俺には、コレしか解決方法が見つからない。
 もう、死ぬ気で頑張るしかない。

 でも今の調子で、死ぬ気で頑張るっつっても、どーやったら美羽から同意なんて取れるんだよ?

 誰か教えてくれ。
 マジで、いつまでこの状態を耐えればいいのか、俺は今すぐ明確に知りたい。
 

 コンコン


 同意について考えていると、応接室にノックがかかったから、俺は扉に向かって声をかけた。「美羽か?」

「ブブー、ハズレ! アイリだよぉ」

「お前・・・・また昼寝もしねーで」

 仕方なく応接室のドアを開けてやった。「アイリ。昼寝はどーした、昼寝は。ガキは今、寝る時間だぞ」

「もう子供じゃないもぉーん」

「何言ってんだ。お前なんか、まだまだチビっこいだろーが。十分子供だ」

「でも、おーちゃんもみーちゃんも、起きてるもんっ」

「俺や美羽先生は、大人だからいーんだよ。それよりアイリ、なんだそのおーちゃんっつーのは。みーちゃんもやめろ。先生だろ。ちゃんと、美羽先生かミュー先生って呼べよ」

「いーのっ! みーちゃんはみーちゃんなの。で、おーちゃんは、王雅だから、おーちゃん」

『おーたん』とか『おーちゃん』とか、俺は今までそんな風に呼ばれた事なんて、一度もねーぞ。
 別にいーけどさ。何か、変な気分になるんだよな。ムズ痒いというか、こそばいというか、何というか。

「それよりおーちゃん、一緒にあそぼぉ」

「ダメだ。お前は寝てろ」

「じゃ、一人で遊ぶもぉーん」

 アイリは勝手に応接室に入って来た。机の上のアルバムが開けっぱなしだったから、コレなにー、と好奇心旺盛の顔で、俺に聞いてきた。
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