41 / 150
スマイル23
オトコの事情・1
しおりを挟む
あの後、手をよく洗ってから食べても良しという美羽のお達しが出て、お菓子の家が解禁になった。
早速手を洗って、家に突撃したガキ共に、お菓子の家はあっという間に食べ尽くされた。もう、欠片も残っちゃいねー。俺の予想以上に早い崩壊だった。
俺の仮住まいは、何も残されなかったという訳だ。
ま、少しばかり残ったとしても、多分おやつの時間になるまでに無くなるだろう。
屋根部分のチョコレートビスケットを少し分けてもらって食べたけど、結構美味かった。
ガキ共から、お菓子の家をまた作ってくれと言われたから、また今度な、と約束した。
気に入ってくれたようで、良かった。
昼食は簡単におにぎりを作って食べた。今度は俺も手伝って、ちゃんと綺麗なおにぎりを作ってやった。
やったら何でも出来るんだ、俺様は。前のコロッケパーティーん時とは違うんだ。
得意気になって美羽に上達ぶりを伝えると、上手になったね、すごいね、って笑ってくれたんだぜ。
何かちょっと、子供扱いされてる気がするんだけどな。
ま、いっか。
昼食が終わったら、ガキ共を寝かせる為に遊戯室に布団を敷いて寝かせた。
何人かゴロゴロして眠らなかったが、ちゃんと寝るように言いつけて、俺達は応接室に向かった。
さっきデジカメで写した写真を、美羽がプリントアウトして施設のアルバムに貼るんだとか。
俺にも写真が貰えるように頼んだ。データでも欲しいから、後で美羽のデジカメのデータから、俺のノートパソコンに移そう。スマホとパソコンの待ち受け画面に使うんだ。
今まで写真なんて撮らなかったし興味無かったけど、こういうのっていいもんだな。
プリントアウトには少し時間がかかるから、準備ができるまで、施設のアルバムを見せてもらう事にした。
古いものから順番に見ていった。そこには、まだボロじゃなかった綺麗なマサキ施設が映っているものがあった。美羽の両親も映っていたし、幼い美羽や恭一郎、他にも俺の知らないガキ共の写真が数多く収められていた。
色あせてしまうことのない、大切な思い出を見せてもらった。
俺にはそんな綺麗な想い出、何一つ持ち合わせていないから、素直に羨ましいと思った。
でも、これから作るんだ。お前達と一緒に、作っていくんだ。
今日、ここに貼る写真は、その一つ目。
俺も、その中に入れてもらえるんだと思うと、スゲー嬉しくなる。
そんな事を考えながら一番新しいアルバムを見ると、リョウの五歳の誕生日パーティーから始まっていた。
俺が初めてケーキ作った時のヤツだ。上手く作れなくて、ボコボコのホールケーキができたんだっけ。写真のケーキも当たり前だが、ボコボコのまま映っていた。思わず笑みが零れた。
美羽のヤツ、いつの間にこんな写真撮っていたんだろう。
まあ、俺も興味無かったから、美羽の動きとか、そこまで注目して見てなかったけど。
ふうん。こんな風に写真、撮ってたんだ。
コロッケパーティーした時のものもあった。
俺が、ガキ共とおにぎりを食っている時の写真が貼られている。
知らなかった。こんな写真を撮ってくれていて、こんな大切な想い出の一枚として、俺を飾ってくれていたなんて。
もう既に俺の事を、こんな風に想い出のアルバムの中に加えてくれていたことに、凄く嬉しさを感じた。
ページをめくると、他にも、普段のガキ共の様子や、成長の様子なんかもあった。
俺が前に美羽のハイレグ見たさに、施設で使えってプレゼントしてやったプールを後日使ってくれていて、他の近所のガキ共と一緒に遊んでいる写真があった。
俺等が遊んだ時の写真は無かった。当日は一緒になって遊んだから、写真撮るどころじゃなかったもんな。
桃園の写真もあった。
ガキ共が嬉しそうに桃にかじりついている写真や、俺が、チビガキ共に桃を食わせてやってる写真があった。
この日はサトルがハチに追いかけられる事件があったから、バタバタしちまったし、集合写真撮るどころじゃなかったもんな。
この前のバーベキューの写真もあったが、一日目の途中までの写真しかなかった。多分、デジカメの電池が切れたとか、そんな理由だろう。さっきみたいな集合写真も撮らなかったし、チラッと美羽のカメラを見たけど、随分使い込んでる感じだったからな。
貧乏だから、新しいの買ったりできないんだろう。余分な事に使う金なんて無いだろうし。
これだけ写真残すのが好きなんだったら、お泊り保育の二日目の写真が撮れなかったのは、さぞかし悔しかった事だろう。
よし。今度、カメラ買ってやろう。
美羽はピンクが良く似合うから、洒落たピンクのカメラを買っておいて、プレゼントしてやろう。
来週施設に来るときまでに用意して、渡してやるんだ。
喜んでくれるかな。
笑ってくれるかな。
何で俺、こんなにお前の事が好きなのかな。
何で俺、こんなにお前の事ばっかり考えちまうんだろう。
「お待たせ。遅くなっちゃった」
そんな風に考えていると、美羽がさっきの写真をプリントアウトしたものを持って、応接室に戻って来た。
慌てて入って来たから、別に急がなくてもいいと伝えた。
おかげで、ゆっくりアルバムを見ることもできたしな。
早速手を洗って、家に突撃したガキ共に、お菓子の家はあっという間に食べ尽くされた。もう、欠片も残っちゃいねー。俺の予想以上に早い崩壊だった。
俺の仮住まいは、何も残されなかったという訳だ。
ま、少しばかり残ったとしても、多分おやつの時間になるまでに無くなるだろう。
屋根部分のチョコレートビスケットを少し分けてもらって食べたけど、結構美味かった。
ガキ共から、お菓子の家をまた作ってくれと言われたから、また今度な、と約束した。
気に入ってくれたようで、良かった。
昼食は簡単におにぎりを作って食べた。今度は俺も手伝って、ちゃんと綺麗なおにぎりを作ってやった。
やったら何でも出来るんだ、俺様は。前のコロッケパーティーん時とは違うんだ。
得意気になって美羽に上達ぶりを伝えると、上手になったね、すごいね、って笑ってくれたんだぜ。
何かちょっと、子供扱いされてる気がするんだけどな。
ま、いっか。
昼食が終わったら、ガキ共を寝かせる為に遊戯室に布団を敷いて寝かせた。
何人かゴロゴロして眠らなかったが、ちゃんと寝るように言いつけて、俺達は応接室に向かった。
さっきデジカメで写した写真を、美羽がプリントアウトして施設のアルバムに貼るんだとか。
俺にも写真が貰えるように頼んだ。データでも欲しいから、後で美羽のデジカメのデータから、俺のノートパソコンに移そう。スマホとパソコンの待ち受け画面に使うんだ。
今まで写真なんて撮らなかったし興味無かったけど、こういうのっていいもんだな。
プリントアウトには少し時間がかかるから、準備ができるまで、施設のアルバムを見せてもらう事にした。
古いものから順番に見ていった。そこには、まだボロじゃなかった綺麗なマサキ施設が映っているものがあった。美羽の両親も映っていたし、幼い美羽や恭一郎、他にも俺の知らないガキ共の写真が数多く収められていた。
色あせてしまうことのない、大切な思い出を見せてもらった。
俺にはそんな綺麗な想い出、何一つ持ち合わせていないから、素直に羨ましいと思った。
でも、これから作るんだ。お前達と一緒に、作っていくんだ。
今日、ここに貼る写真は、その一つ目。
俺も、その中に入れてもらえるんだと思うと、スゲー嬉しくなる。
そんな事を考えながら一番新しいアルバムを見ると、リョウの五歳の誕生日パーティーから始まっていた。
俺が初めてケーキ作った時のヤツだ。上手く作れなくて、ボコボコのホールケーキができたんだっけ。写真のケーキも当たり前だが、ボコボコのまま映っていた。思わず笑みが零れた。
美羽のヤツ、いつの間にこんな写真撮っていたんだろう。
まあ、俺も興味無かったから、美羽の動きとか、そこまで注目して見てなかったけど。
ふうん。こんな風に写真、撮ってたんだ。
コロッケパーティーした時のものもあった。
俺が、ガキ共とおにぎりを食っている時の写真が貼られている。
知らなかった。こんな写真を撮ってくれていて、こんな大切な想い出の一枚として、俺を飾ってくれていたなんて。
もう既に俺の事を、こんな風に想い出のアルバムの中に加えてくれていたことに、凄く嬉しさを感じた。
ページをめくると、他にも、普段のガキ共の様子や、成長の様子なんかもあった。
俺が前に美羽のハイレグ見たさに、施設で使えってプレゼントしてやったプールを後日使ってくれていて、他の近所のガキ共と一緒に遊んでいる写真があった。
俺等が遊んだ時の写真は無かった。当日は一緒になって遊んだから、写真撮るどころじゃなかったもんな。
桃園の写真もあった。
ガキ共が嬉しそうに桃にかじりついている写真や、俺が、チビガキ共に桃を食わせてやってる写真があった。
この日はサトルがハチに追いかけられる事件があったから、バタバタしちまったし、集合写真撮るどころじゃなかったもんな。
この前のバーベキューの写真もあったが、一日目の途中までの写真しかなかった。多分、デジカメの電池が切れたとか、そんな理由だろう。さっきみたいな集合写真も撮らなかったし、チラッと美羽のカメラを見たけど、随分使い込んでる感じだったからな。
貧乏だから、新しいの買ったりできないんだろう。余分な事に使う金なんて無いだろうし。
これだけ写真残すのが好きなんだったら、お泊り保育の二日目の写真が撮れなかったのは、さぞかし悔しかった事だろう。
よし。今度、カメラ買ってやろう。
美羽はピンクが良く似合うから、洒落たピンクのカメラを買っておいて、プレゼントしてやろう。
来週施設に来るときまでに用意して、渡してやるんだ。
喜んでくれるかな。
笑ってくれるかな。
何で俺、こんなにお前の事が好きなのかな。
何で俺、こんなにお前の事ばっかり考えちまうんだろう。
「お待たせ。遅くなっちゃった」
そんな風に考えていると、美羽がさっきの写真をプリントアウトしたものを持って、応接室に戻って来た。
慌てて入って来たから、別に急がなくてもいいと伝えた。
おかげで、ゆっくりアルバムを見ることもできたしな。
0
お気に入りに追加
202
あなたにおすすめの小説

それは、ホントに不可抗力で。
樹沙都
恋愛
これ以上他人に振り回されるのはまっぴらごめんと一大決意。人生における全ての無駄を排除し、おひとりさまを謳歌する歩夢の前に、ひとりの男が立ちはだかった。
「まさか、夫の顔……を、忘れたとは言わないだろうな? 奥さん」
その婚姻は、天の啓示か、はたまた……ついうっかり、か。
恋に仕事に人間関係にと翻弄されるお人好しオンナ関口歩夢と腹黒大魔王小林尊の攻防戦。
まさにいま、開始のゴングが鳴った。
まあね、所詮、人生は不可抗力でできている。わけよ。とほほっ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。

ワケあり上司とヒミツの共有
咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。
でも、社内で有名な津田部長。
ハンサム&クールな出で立ちが、
女子社員のハートを鷲掴みにしている。
接点なんて、何もない。
社内の廊下で、2、3度すれ違った位。
だから、
私が津田部長のヒミツを知ったのは、
偶然。
社内の誰も気が付いていないヒミツを
私は知ってしまった。
「どどど、どうしよう……!!」
私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~
吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。
結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。
何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。
ダブル シークレットベビー ~御曹司の献身~
菱沼あゆ
恋愛
念願のランプのショップを開いた鞠宮あかり。
だが、開店早々、植え込みに猫とおばあさんを避けた車が突っ込んでくる。
車に乗っていたイケメン、木南青葉はインテリアや雑貨などを輸入している会社の社長で、あかりの店に出入りするようになるが。
あかりには実は、年の離れた弟ということになっている息子がいて――。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる