【R18】お前が好きだから、仕方なく付き合ってやる ～笑顔でお断りしましたが、何か？～

最終・貴方の事は笑顔で見つめますが、何か？（結婚式です！）

４

　あれから暫く経った。季節は冬へとバトンタッチし、師走も半分を過ぎたころ。
　私と成彰さんは、結婚式を挙げる事になった。
　入籍してから、二か月ほど経っていた。

　といっても、本当は挙式をする予定は立っていなかったのだ。
　もうこうなったら入籍は既に済んでいるので急がないし、年末にゆっくり二人でゼクシイでも見て、来年の春か、夏頃に家族式みたいな小ぢんまりとした式を挙げようか、と言っていた矢先のこと。
　成彰さんの知り合いの方が、浅草で経営されているレストランがあるのだけれど、予定していた結婚式に急なキャンセルが入り、困っていた所を助けたいから、そこで式を挙げないか、と提案された。キャンセル理由を聞いたら、新郎に浮気された挙句、逃げられたらしい。あああ････可哀想。そんな事もあるのね････。
　成彰さんの知り合いの方も、新婦が可哀想で、キャンセル料金を取るのが忍びない為、もし成彰が決めてくれたらキャンセル料金なしにできるから、どうだろうか、と打診されたのだ。

　自分の結婚式に豪華ホテルで、とは考えていなかったので、人助けの為も含めて、別にいいよとあっさりオーケーを出したのがきっかけで、結婚式というより、結婚パーティーみたいな雰囲気の中で行われる事になった。
　格安にしてもらえたのも、有難い。新婦になる筈だった女性も、新しい出会いがあればいいと思う。結婚前にクズ男と解って良かったと、最後は吹っ切れてくれることを願っている。

　急だったし（なんせ二週間前！）家族に見せるだけでいいかと思っていたけれど、高丸さん経由でそれを聞きつけ、浅岡専務やら藤並社長もお祝いに来てくれることになった。
　会社のみんなも来てくれて、友人やら取引先の人たちやら、合わせて五十人ほどが会場に駆けつけてくれた。
ガーデンテラスに用意されたバージンロード。緑の中に映える、長細く赤い帆布（はんぷ)。その上を歩くことになった。


　当日、私は高丸さんからプレゼントを受け取った。
　彼が約束を覚えていてくれて、今日、この日の私の為だけに作ってくれた、特上の白い、シンデレラ・パンプスだ。


　控室で足先を入れた瞬間、優しさに包まれるようだった。最高のフィット感、フォルム。大の靴好きな私が、このパンプスを履けたことが幸せだと思った。
　そしてその靴に、展示会で完売させたシューズクリップを取り付けた。現在売れ行き好調で、三回目の再生産をかけている所だ。