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11.打ち上げの後に・・・・!(二人のオトナ時間)※
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東京ビックサイトで、三日に渡る展示会が終了した。当初予定していた一万足ではなく、その倍の二万足に注文が入った。今、手の空いた社員が片付けを手伝いに来てくれた。殆どサンプルばかりだったから、荷物は全部、自分たちで会社に持って帰る事が出来た。
「二万足販売、お疲れ様でした――!!」
社に戻ると、みんなが労いの挨拶を掛けてくれた。
「杉浦さんが一万二千足も売っちゃうんだもんねぇー、すごいよ!」
受注伝票を切ったのは、確かに私だ。商談を進め、担当名に名前を書いたのは私だから。
しかしたまたま大口の浅岡専務に藤並社長、神保さんの注文があったからだ。ラッキーが重なっただけで、私の努力ではない。その他は必死に頑張って営業し、二日間で複数社から合わせて二千足の注文を頂いた。この三日間で、一生分の運を使い果たしたのかもしれない。
「こっちもどんどん営業かけています。サンプル見たいって、予約が殺到中です! Rainbowはまだまだ売れますよ」
社で営業を頑張ってくれている他の人からも、嬉しいお知らせを聞いた。
「よーし、今日は好きな物を食べ、飲め、歌え! 全部俺が奢るっ」
「わーっ、社長最高っ!!」
その一言で、社が喜び沸いた。
社員全員で出発し、予約した焼き肉店でお腹いっぱい食べた。二次会へ行く人と帰る人と別れ、私と社長は帰る組。社長と一緒に、彼の住むマンションへ向かった。
彼が実家を出て一人暮らしをしているマンションは、フクシから近い所を選んだと聞いている。初めて行くが、緊張する。
「お邪魔します」
彼の拠点は、フクシと同じく墨田川がすぐ東側に流れ、隅田公園の近くの十四階建ての最上階。1DLKのオシャレなデザイナーズマンションだった。フクシからすぐの所で、スギウラも近い。
「紗那」
玄関に足を踏み入れた途端、腕を取られ、ぎゅうっと力強く抱きしめられた。はずみで持っていたリクルート鞄が、ドサリと音を立てて玄関に落ちた。
耳元をくすぐる社長の吐息のせいで、心拍数が一気に跳ね上がった。
「あ、あの・・・・っ、社長・・・・」
堪らずに声が震えた。
ぐい、と引き寄せられ、顎を持ち上げられた。はっきりと、欲情の宿る目で私を見つめ、低く呟かれた。「この先、紗那が嫌だというならもうこれで止める。お前の事は諦めて離婚する。でも、まだ俺を好きで、この婚姻関係も続けて言いというなら、今日は帰さない。俺のものになって欲しい」
飛び込むか、止めるか・・・・。
「二万足販売、お疲れ様でした――!!」
社に戻ると、みんなが労いの挨拶を掛けてくれた。
「杉浦さんが一万二千足も売っちゃうんだもんねぇー、すごいよ!」
受注伝票を切ったのは、確かに私だ。商談を進め、担当名に名前を書いたのは私だから。
しかしたまたま大口の浅岡専務に藤並社長、神保さんの注文があったからだ。ラッキーが重なっただけで、私の努力ではない。その他は必死に頑張って営業し、二日間で複数社から合わせて二千足の注文を頂いた。この三日間で、一生分の運を使い果たしたのかもしれない。
「こっちもどんどん営業かけています。サンプル見たいって、予約が殺到中です! Rainbowはまだまだ売れますよ」
社で営業を頑張ってくれている他の人からも、嬉しいお知らせを聞いた。
「よーし、今日は好きな物を食べ、飲め、歌え! 全部俺が奢るっ」
「わーっ、社長最高っ!!」
その一言で、社が喜び沸いた。
社員全員で出発し、予約した焼き肉店でお腹いっぱい食べた。二次会へ行く人と帰る人と別れ、私と社長は帰る組。社長と一緒に、彼の住むマンションへ向かった。
彼が実家を出て一人暮らしをしているマンションは、フクシから近い所を選んだと聞いている。初めて行くが、緊張する。
「お邪魔します」
彼の拠点は、フクシと同じく墨田川がすぐ東側に流れ、隅田公園の近くの十四階建ての最上階。1DLKのオシャレなデザイナーズマンションだった。フクシからすぐの所で、スギウラも近い。
「紗那」
玄関に足を踏み入れた途端、腕を取られ、ぎゅうっと力強く抱きしめられた。はずみで持っていたリクルート鞄が、ドサリと音を立てて玄関に落ちた。
耳元をくすぐる社長の吐息のせいで、心拍数が一気に跳ね上がった。
「あ、あの・・・・っ、社長・・・・」
堪らずに声が震えた。
ぐい、と引き寄せられ、顎を持ち上げられた。はっきりと、欲情の宿る目で私を見つめ、低く呟かれた。「この先、紗那が嫌だというならもうこれで止める。お前の事は諦めて離婚する。でも、まだ俺を好きで、この婚姻関係も続けて言いというなら、今日は帰さない。俺のものになって欲しい」
飛び込むか、止めるか・・・・。
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