【R18】お前が好きだから、仕方なく付き合ってやる ～笑顔でお断りしましたが、何か？～

１０．いよいよ展示会！（完売目指します！）

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「御社、インターネット事業はされておられませんよね？　弊社はネット通販にも特化しております。他のお取引先で、ネット事業に精通されておられる会社様はありますか？」

「いいえ、特には。まあ、厳密にいえば自社のブランドをネットでしっかり売られている小売店様は何店舗か取引先はありますが、精通していると言われると････微妙な所ですね」

　藤並商会は、自社のECサイトで販売している。浅岡専務も然りだが、専務のwebデザインがダサく、ネット通販ではあまり売れていないと聞いている。浅岡商店の方は、ECに精通しているとはお世辞にも言えないだろう。藤並商会は自社ブランド商品は強いが、フクシの商品はどうだろうか。展開も少ないし、それほど力を入れて売っているとは思えないと、その旨を伝えた。

「現状を把握できました。結構です。では、早速商談をさせて頂きたいのですが、よろしいでしょうか？」

　神保さんの目つきが変わった。営業の目になっている。ヤリ手独特の雰囲気が伝わってくる。私はお腹に力を入れ、彼の目線を正面から受け止めた。「是非、よろしくお願いいたします」

「先程わたくしに宣伝頂いたRainbow、オープン価格でこちらの自由に販売しても良いとのことでした。間違いありませんか？」

「はい」

「インターネット通販で独占契約をしたいと言えば、何足以上購入すれば出来ますか？　卸率は先程五十五パーセントと伺いましたが、まとまった数を頼めばもっと割引く事はできますか？」


　独占契約････。突如言われた大きな言葉に驚いた。


「弊社は、実店舗だけでなく自社ECを含め、大手モール等に出店しているアパレルの小売業を営む会社になります。是非、インターネット販売を一手私どもにお任せいただけませんか？　卸事業は併設されたばかりの新事業部なので、本日は新たな取引先の開拓に来た次第です。色々回って、一番良いものを考えた時、バイヤーの南と一致したのが御社の製品でした。是非、弊社に取り扱いをさせて頂けませんか」

「かしこまりました。そのような商談でしたら、代表を呼びます。少々お待ちくださいませ」

　他の接客をしていた社長と営業に代わってもらい、商談用のテーブルに来て貰った。
　こんな話を持ち掛けられた、と独占販売の事や神保さんの提案を簡潔に社長へ話した。

「紗那。お前も同席してくれ。急に俺だけに代わると相手にも失礼だろう。俺が解らないときはフォローしてくれ」

「かしこまりました」

　相手の凄腕バイヤーに負けず劣らずの爽やか笑顔で、社長が挨拶をした。「どうも、初めまして。弊社の商品を気に入って下さったようで、本当にありがとうございます。申し遅れました、わたくし、株式会社フクシ代表取締役、福士成彰と申します」

　社長が名刺を取り出し、深く頭を下げながら神保さんと南さんに名刺を渡した。