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9.遂に神原と対決!(ハラハラドキドキ)

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 えええ――――っ!?
 私、一体いつの間に社長と入籍した事になっているのおおおお――――!?
 聞いてないし――!!



 思わず目を開いてしまった。


「そんな・・・・杉浦さんはたった今の今まで、私との婚姻届けを書くつもりだったのだ! 結婚の約束もしていたし、でたらめを言わないでいただきたい!」

 神原も目を開いて、今の衝撃の台詞に震えている。

「信じられないなら、紗那の戸籍謄本を見たらいい。俺の言っている事が本当だと解るだろう。確認もせずに婚姻届けを持っていったら、窓口で大恥かくぞ」

「そんな・・・・そんな・・・・」



「神原社長が、前々から紗那を執拗に狙っていたのは知っていた。スギウラを買収する時、彼女ら一家が虫の息なのをいい事に、相当安くで買い叩こうとしていただろう。紗那を手に入れ、スギウラの技術を手に入れ、神原の肥やしにするつもりでいた所を、俺に掻っ攫われてさぞかし悔しい思いをしたから、フクシを相当恨んでいたんだろう。だが、やり方が汚すぎる。スギウラ思いの純粋無垢な紗那の気持ちを利用し、無理やり関係を強いろうとしたんだ。用心深い紗那は、きちんとお前とのやり取りを録音していたんだぞ。音声だけでは不十分かもしれないが、その気になれば何とでもできる。大滝の件もあるんだ。もう、言い逃れ出来ないぞ! 今度はこっちがお前を訴えてやるからな!!」


 温厚な福士社長が、神原を一喝した。彼がこんなに激怒している所を、私は初めて見た。

 お父さんってば、渡した音声データを社長に聴かせたのね。
 だから、社長は神原と私のやり取りを知って・・・・。


 知っていたのに、黙って見守っていてくれたの?

 だから、色々聞いてくれたの?

 お母さんが病気だって嘘をついたことも、見破っていたの?


 また、涙が溢れた。


 一人で奔走していたのは、この私。
 ずっと、社長が知らない所で私を守っていてくれたんだ。


「後は当事者同士で勝手に話つけてくれ。そういう事だから」

 紗那、帰るぞ、と何時もの優しい社長の顔に戻って、私の手を引き、神原の自宅を後にした。

「少し、話そうか」

 社長の車に乗り込むと、彼がそう言ってくれた。

「はい。あの・・・・勝手に一人で・・・・ご迷惑をお掛け致しました。申し訳ございません」

「謝らなくていい。紗那、一人で大変だっただろう。よく頑張ったと褒めてやりたいところだが・・・・下手うちゃ神原と結婚させられていたんだぞ! もっと俺を信用して頼れ! 中堅会社だから金策ひとつでピーピー泣くこともあるが、お前やスギウラ、俺の大事な従業員、全員を守っていく為に俺は先頭に立って色々受け止める! だからもう、頼む・・・・無理はしないでくれ・・・・」

 社長が切なそうに瞳を揺らせた。
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