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9.遂に神原と対決!(ハラハラドキドキ)
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しおりを挟む「と、ととと、当行の・・・・し、し、しし、支店長に、い、いいい、言ったのですか!?」
「そりゃあ言いますよ。あれだけこちらの味方をするとかなんとかおっしゃっておきながら、手のひらを返してフクシの融資妨害に走られるのですから。事実確認も取っておかないと。ねえ?」
「そんな・・・・」
春日部さんはへたりこんでしまった。恐らく雄姿妨害を頼まれ、幸い銀行で話を回さなかったものだから、自分の所でそのまま握りつぶしてしまったんだ。
だから社長が来行しても、門前払いで追い返したのね。社長はそれがおかしい事だと、ずっと私にボヤいていたから、早い段階で気が付いて、水面下で動いていたんだ。
例え他行に話を持って行ったとしても、この企画書は完璧で、どの銀行も融資を決めてくれるという、絶対的な自信があったんだ。
だから金策に奔走(ほんそう)していなかったのね。融資先はきっと、社長の事だから決めているのだろう。
それならそうと、どうして一言も言ってくれなかったんだろう。言ってくれたら、私だってこんな無茶しなかったのに・・・・。
「まあ、安心してください。今回の件は春日部さんにお断りされましたので、そのように支店長にお伝えして、他行で融資の話は進めておりますから」
あああ・・・・。春日部さん、明日銀行に出勤したら、きっと大変なことになるんだろうなぁ。
「神原社長っ。話が違うじゃないですかああっ! ぜ、ぜぜぜったい安全だって言うから・・・・倫子さ・・・・あ、いえ、鈴木野社長の頼みだから、しぶしぶ引き受けて・・・・何とかして下さいよっ!」
パニックになった春日部さんが、神原に詰め寄った。「断ったら倫子さんに、ほしぞら銀行の借り入れを全額返済して、神原社長の所も、鈴木野プロダクションも、全てを他行に借り換えるって言われたのですよ! そんなことされたら、僕の立場が・・・・だから、仕方なく手を・・・・絶対安全だって、倫子さんが言うからあっ!」
春日部さんは、見ていて気の毒なくらいパニックになっている。自業自得とはいえ、ちょっと可哀想な気がした。
「春日部さん、何を勘違いをされているのかは知りませんが、私は関係ありませんよ。鈴木野さんと一回関係を持っただけで、彼氏気取りで困っている、と彼女から聞いたのは承知しておりますがね」
フン、と鼻を鳴らして嫌味を返す神原。本当に嫌な奴!
とりあえず、話をまとめよう。
春日部さんの話を総合すると、鈴木野社長と神原は、恐らくデキているのか、共謀しているのか、どちらかなのだろう。そして鈴木野さんを使って、ぶっちゃけ言い方は悪いが、女性慣れをしていない春日部さんと関係を持ち、借入を盾に春日部さんを脅した、と。自身の成績にも響くだろうから、春日部さんはフクシの融資を一方的に破棄するように計らったという訳か。
しかしこれは、あくまでも一時的な時間稼ぎだ。どの銀行にも通用する訳では無い。たまたま今回は春日部さんを上手く利用出来ただけの話。
そして新商品の生産資金の借り入れが出来ないとなれば、私が絶対に神原の申し出を断らないと踏んで、仕掛けてきたのね。そしてさっさと契約を交わしてしまうつもりだったんだ。別の銀行で融資が下りると解った時点では、もう約束を反故にはできないようにするために。
全く・・・・私ともあろうものが、神原の筋書き通りに動いてしまった。まんまと罠に嵌ったみたいで恥ずかしい。
まだまだ未熟だ。特にスギウラが関わると、見境がなくなってしまう悪い癖を見抜かれての事だろう。
・・・・悔しいな。
社長にも、迷惑をかけてしまった。もっときちんと、社長に相談していれば良かった。
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