【R18】お前が好きだから、仕方なく付き合ってやる ～笑顔でお断りしましたが、何か？～

７．自分の気持ちを再確認（今更どうにもできない）

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　福士社長に先程の内容を報告すべく、私は社長室を訪れた。
　ノックをして、一礼して入る。いつも通り、普段通りに行動しなければ。


　私が神原に最低な取引を持ち掛けられたことは、絶対に社長に知られてはいけない。


　というのも福士社長は、会社の存続よりも社員の私を優先するような優しい男だからだ。そうなると、社長は神原に喧嘩を売るだろう。金策も、他の銀行ならもしかしたら上手く話が通るかもしれないが、神原の妨害が続けば新商品が展示会に間に合わせられなくなる。それは拙い。
　高丸さんも抱える形になり、新商品を一万足の材料も含めてハケさせないと、資金繰りが立ち行かなくなってしまい、フクシに倒産の危険が迫る。


　私は、フクシを存続させたい。新商品を必ず売り出し、浅草の架け橋にしたい。


　新商品が売れれば、フクシと高丸が儲かる。
　フクシが儲かれば、スギウラも儲かる。
　そしてこのパンプスの箱デザインは浅草のデザイン会社に依頼し、靴箱（化粧箱）そのものの印刷は、浅草の印刷会社に依頼し、そしてアクセサリーも浅草で賄う。
　アクセサリーは、パンプスに付けるファータイプのもの、リボン、他にも色々。浅草の手芸屋に依頼する。クリップを採用して取り外しの利くタイプのものにする。それを、セット販売するのだ。パンプスのコサージュ的なものとして考えている。現在、このアクセサリーのデザインや色を、みんなで雁首揃えて考えている所なのだ。


　みんなの頑張りを無駄には出来ない。
　社長が優しい男であるが故、尚更、相談できない。


「先方様の反応、様子はどうだった？」

　胸中はおくびにも出さず、淡々と告げる事に意識を集中した。
　乱れるな。何事も冷静に、やりきれ。

「はい。無事に謝罪までこぎつけました。なかなかの好感触ではございましたが、まだ問題が残っております。といいますのも、フクシの商品のせいでお付き合いをされていた彼女と喧嘩になり、別れ話になったのだとか。それで、先方様がご立腹に」

「そんな事言われても････。それは、こちらのせいではないぞ。それに、不具合と言ってもアンクレット不良だろ？　ブーツ本体の不備じゃないだろうに。アンクレットも、自分で引っ掛けたとか、そんな程度じゃないのか？　それでどうして喧嘩になるんだ。不良品とか難癖付けられて本当に腹立たしい。紗那が検品したんだぞ。不良が出る訳ない」

　また身内びいきな････私だけ特別扱いの台詞。嬉しいけど････困る。