50 / 117
6.ピンチはチャンスと言うが、それは絶対に嘘だ(笑顔で乗り切れない!)
2
しおりを挟む
取りあえず私は今の事を報告しようと、社長に連絡を取った。
『紗那、どうした?』
ワンコールも鳴り終えないうちに社長が電話に出た。私からの連絡と解っているから、嬉しそうな声で応対してくる。
普段は少し低く男らしい声が、私だと解って声のトーンが嬉しそうに上がるのは、私としても嬉し・・・・いや、そうじゃなくて!
「社長。先程、ほしぞら銀行の春日部さんから連絡がありました。融資が不可だと」
『不可? どういう事だ』
打って変わって低い声になった。ふざけている場合では無いと悟ったのだろう。
やはりこの声の方がいいと、トキめいてしまった。
「解りません。焦っていらっしゃるようで、私にこの話を社長に伝えてくれ、と言われてそのまま電話を切られました」
『・・・・解(げ)せんな』
社長が何やら考え込んでしまったので、帰りにほしぞら銀行に寄られたらいかがですか、と提案してみた。
『解った、そうする。何か変わった事があれば、また教えてくれないか』
「承知致しました」
『よろしく頼む』
何やら不穏な動きがあるのだろうか、この新商品の開発、果たしてうまく行くのか心配になった。
出鼻をくじかれた気分で、思わずため息が出た。
結局ほしぞら銀行に向かい、担当の春日部さんと話をしてきた社長は、もう決まった事だから、という話で彼に門前払いを喰らったらしい。しかも銀行内では無く、断ったのにここまで来られても困ります、と銀行の外で簡潔に話を済まされたらしい。
「うーん。どういう事だ」
社長室の椅子に腰を下ろし、ネクタイを緩めながら社長がぼやいた。
「ほしぞら銀行がダメなら、別の銀行に頼まれたらいかがでしょうか? いっそメガバンクへ話を持っていくのはどうでしょうか?」
「それがだな、企画書が悪いってつっぱねられたんだ。俺はいいと思うんだが。紗那が考えた企画書だし」
・・・・・・
「社長。そういう目線で考えるのは止めて頂けませんか。銀行のお眼鏡には敵わなかった、お金を貸すに値しない企画だったと、そう真摯に受け止め、アイディアを練って、メガバンクではなくとも、ほしぞら銀行以外の銀行へお願いした方がよろしいかと」
「いや、今のは身内びいきみたいに聞こえるかもしれないが、これはどの企業も儲かる仕組みを打ち立てているのだ。一体この企画書の何処が悪い? しかも、何に問題があるのかさえ、あちらは言わなかったんだぞ」
「それは・・・・私には解りませんが、駄目なものは駄目なのでしょう。諦めずに、もっとアイディアを練って次へ参りましょう」
「腑(ふ)に落ちん」
社長が珍しく引き下がらずに唸った。
『紗那、どうした?』
ワンコールも鳴り終えないうちに社長が電話に出た。私からの連絡と解っているから、嬉しそうな声で応対してくる。
普段は少し低く男らしい声が、私だと解って声のトーンが嬉しそうに上がるのは、私としても嬉し・・・・いや、そうじゃなくて!
「社長。先程、ほしぞら銀行の春日部さんから連絡がありました。融資が不可だと」
『不可? どういう事だ』
打って変わって低い声になった。ふざけている場合では無いと悟ったのだろう。
やはりこの声の方がいいと、トキめいてしまった。
「解りません。焦っていらっしゃるようで、私にこの話を社長に伝えてくれ、と言われてそのまま電話を切られました」
『・・・・解(げ)せんな』
社長が何やら考え込んでしまったので、帰りにほしぞら銀行に寄られたらいかがですか、と提案してみた。
『解った、そうする。何か変わった事があれば、また教えてくれないか』
「承知致しました」
『よろしく頼む』
何やら不穏な動きがあるのだろうか、この新商品の開発、果たしてうまく行くのか心配になった。
出鼻をくじかれた気分で、思わずため息が出た。
結局ほしぞら銀行に向かい、担当の春日部さんと話をしてきた社長は、もう決まった事だから、という話で彼に門前払いを喰らったらしい。しかも銀行内では無く、断ったのにここまで来られても困ります、と銀行の外で簡潔に話を済まされたらしい。
「うーん。どういう事だ」
社長室の椅子に腰を下ろし、ネクタイを緩めながら社長がぼやいた。
「ほしぞら銀行がダメなら、別の銀行に頼まれたらいかがでしょうか? いっそメガバンクへ話を持っていくのはどうでしょうか?」
「それがだな、企画書が悪いってつっぱねられたんだ。俺はいいと思うんだが。紗那が考えた企画書だし」
・・・・・・
「社長。そういう目線で考えるのは止めて頂けませんか。銀行のお眼鏡には敵わなかった、お金を貸すに値しない企画だったと、そう真摯に受け止め、アイディアを練って、メガバンクではなくとも、ほしぞら銀行以外の銀行へお願いした方がよろしいかと」
「いや、今のは身内びいきみたいに聞こえるかもしれないが、これはどの企業も儲かる仕組みを打ち立てているのだ。一体この企画書の何処が悪い? しかも、何に問題があるのかさえ、あちらは言わなかったんだぞ」
「それは・・・・私には解りませんが、駄目なものは駄目なのでしょう。諦めずに、もっとアイディアを練って次へ参りましょう」
「腑(ふ)に落ちん」
社長が珍しく引き下がらずに唸った。
1
お気に入りに追加
211
あなたにおすすめの小説
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ミックスド★バス~家のお風呂なら誰にも迷惑をかけずにイチャイチャ?~
taki
恋愛
【R18】恋人同士となった入浴剤開発者の温子と営業部の水川。
お互いの部屋のお風呂で、人目も気にせず……♥
えっちめシーンの話には♥マークを付けています。
ミックスド★バスの第5弾です。
イケメンエリート軍団の籠の中
便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある
IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC”
謎多き噂の飛び交う外資系一流企業
日本内外のイケメンエリートが
集まる男のみの会社
唯一の女子、受付兼秘書係が定年退職となり
女子社員募集要項がネットを賑わした
1名の採用に300人以上が殺到する
松村舞衣(24歳)
友達につき合って応募しただけなのに
何故かその超難関を突破する
凪さん、映司さん、謙人さん、
トオルさん、ジャスティン
イケメンでエリートで華麗なる超一流の人々
でも、なんか、なんだか、息苦しい~~
イケメンエリート軍団の鳥かごの中に
私、飼われてしまったみたい…
「俺がお前に極上の恋愛を教えてやる
他の奴とか? そんなの無視すればいいんだよ」
【R18】鬼上司は今日も私に甘くない
白波瀬 綾音
恋愛
見た目も中身も怖くて、仕事にストイックなハイスペ上司、高濱暁人(35)の右腕として働く私、鈴木梨沙(28)。接待で終電を逃した日から秘密の関係が始まる───。
逆ハーレムのチームで刺激的な日々を過ごすオフィスラブストーリー
法人営業部メンバー
鈴木梨沙:28歳
高濱暁人:35歳、法人営業部部長
相良くん:25歳、唯一の年下くん
久野さん:29歳、一個上の優しい先輩
藍沢さん:31歳、チーフ
武田さん:36歳、課長
加藤さん:30歳、法人営業部事務
極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
恋愛
早瀬 果歩はごく普通のOL。
あるとき、元カレに酷く振られて、1人でハワイへ傷心旅行をすることに。
そこで逢見 翔というパイロットと知り合った。
翔は果歩に素敵な時間をくれて、やがて2人は一夜を過ごす。
しかし翌朝、翔は果歩の前から消えてしまって……。
**********
●早瀬 果歩(はやせ かほ)
25歳、OL
元カレに酷く振られた傷心旅行先のハワイで、翔と運命的に出会う。
●逢見 翔(おうみ しょう)
28歳、パイロット
世界を飛び回るエリートパイロット。
ハワイへのフライト後、果歩と出会い、一夜を過ごすがその後、消えてしまう。
翌朝いなくなってしまったことには、なにか理由があるようで……?
●航(わたる)
1歳半
果歩と翔の息子。飛行機が好き。
※表記年齢は初登場です
**********
webコンテンツ大賞【恋愛小説大賞】にエントリー中です!
完結しました!
地味系秘書と氷の副社長は今日も仲良くバトルしてます!
めーぷる
恋愛
見た目はどこにでもいそうな地味系女子の小鳥風音(おどりかざね)が、ようやく就職した会社で何故か社長秘書に大抜擢されてしまう。
秘書検定も持っていない自分がどうしてそんなことに……。
呼び出された社長室では、明るいイケメンチャラ男な御曹司の社長と、ニコリともしない銀縁眼鏡の副社長が風音を待ち構えていた――
地味系女子が色々巻き込まれながら、イケメンと美形とぶつかって仲良くなっていく王道ラブコメなお話になっていく予定です。
ちょっとだけ三角関係もあるかも?
・表紙はかんたん表紙メーカーで作成しています。
・毎日11時に投稿予定です。
・勢いで書いてます。誤字脱字等チェックしてますが、不備があるかもしれません。
・公開済のお話も加筆訂正する場合があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる