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5.どういう訳か、結婚の約束をさせられてしまった(困惑)
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しおりを挟む「アイディアはいい。商品の出来も素晴らしいものになるだろう。しかし、高丸さんが協力してくれるかな? それに、紗那のアイディアはかなりの資金がいる。フクシだけで生産するわけじゃない。他所の会社や店舗にも色々頼むとなると、ある程度先に支払いをする必要が出てくる。となれば、まとまった資金が必要になるぞ。それはどうする?」
「それは――・・・・社長が考えて下さい。金策は、社長にお任せします」
「ぷっ・・・・はははっ! 敏腕秘書も、金策は俺に丸投げかっ」
ドキン
また、社長の頬にキスをしたあの夜のように、彼が屈託のない笑顔を見せた途端、動機が非常に激しくなった。
まずい。
まずい!
まずい!!
社長を意識すればするほど、顔が赤くなっていくのが自分でも解る。
どうしよう。
「珍しいな。何時もクールなお前がそんな顔をするなんて。金策の抜かりを指摘されて、そんなに可愛い顔を見せてくれるとはな。これはラッキーだ」
私は赤い顔をしたまま、社長を睨みつけた。
「私は何としても、鈴木野様がしでかした一万足の受注キャンセルの責任を取らなくてはならないのです! ニセとはいえ、私と社長が原因なのですよ。新商品にキャンセル分の材料を組み込んで考えなければならないので、金策は社長がお考え下さい! ここへ辿り着くまで必死だったのですから!!」
「紗那が真っ赤な顔で怒った顔、最高に可愛いな。あー、嫌いな印鑑押し、面倒がらずに占い通りやって良かったぁー。やっぱ朝のラッキー占いは良く当たる」
「ふざけないで下さい!」
「ふ・ざ・け・て・な・い」(笑顔)
「ふ・ざ・け・て・ま・す」(笑顔)
「だ・い・す・き・だ」(もっと笑顔)
「キ・モ・い・で・す」(氷笑顔)
ああ。変態になってくれたから、ようやく落ち着きを取り戻してきた。
私が福士社長如きにときめくなんて、絶対にあり得ないから!
「とにかく、私の意見に賛同して下さるなら、高丸さんの説得と資金繰りを考えて下さい」
落ち着きを取り戻し、一番難しい仕事を押し付けた。
「いいだろう。紗那たってのお願いなら、この俺が動いてやらなくもない」
相変わらず上から目線だ。ドMの癖に、何で俺様?
ありがとうございますと、とりあえず礼を言っておいた。
「但し」急に社長が鋭い目線を私に投げかけてきた。ドキン、と、また私の心臓はせわしなく動き出そうとする――「失敗した時の損失は大きい。責任は取ってもらうぞ」
「せ、責任、ですか」
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