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4.受注キャンセルなんて言語道断!(しかし不気味な笑顔で承諾)
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しおりを挟む「高丸さんの工場を閉める!?」
翌日の事。格安の下代(メーカーの設定した仕入れ価格)なのに恐ろしくお洒落なパンプスを作り続けて早ン十年にもなる浅草で老舗メーカー、高丸商店の代表取締役――社長の高丸宗之介(たかまるそうのすけ)さんが福士社長へ挨拶に来られた。
てきぱきとお茶を出し、それでは失礼します、とショールームの奥の商談スペースを出ようとしたら、福士社長が大きな声を上げたので驚いた。思わず息を呑み、立ちすくんでいると、紗那ちゃんもそのまま聞いてくれていいから、と高丸さんが笑った。
「高丸社長、それは本当の話ですか?」
福士社長が焦りと驚きの色を浮かべ、自身の目の前に座っておられる高丸さんに詰め寄った。彼は恰幅の良い大きな身体で、何時も優しい笑顔を湛えておられる。実は私のお父さんの飲み仲間。
高丸商店はスギウラよりも早く開業され、浅草の靴業界を牽引(けんいん)してきた老舗メーカーのひとつだ。彼は三代目社長。
その高丸商店が、なくなってしまうなんて。本当に残念だ。いい靴を作るメーカーだから、余計に。
「まあ、年内いっぱいで考えております。福士さんには本当にお世話になったので、在庫限りで良かったら、安くしておきますので定番のパンプス、またご注文頂けると嬉しいです」
「あー・・・・いや、えー・・・・まいったな。高丸さんのエレガントパンプスは、お客様には大変好評なのですよ。どうにか、継続することはできないのでしょうか?」
「工場をね、維持していく力が無くなってしまって。面目ない」
背中を丸め、苦渋の笑みを浮かべながら話す高丸さんの姿は、かつての父にリンクした。
高丸さんは何時も堂々としていて、私を小さい頃から可愛がってくださった。高丸商店のパンプスのヒールゴムは全てスギウラが作っているから、父と高丸さんは本当に仲がいい。飲み仲間というか、親友でもあり、戦友でもある。お父さんは知っているのだろうか。高丸さんが工場をたたんでしまう事。
「もう生産はやっておりませんが、年内は修理やら在庫の出荷やらで事務所は開けております。短い間になりますが、最後まで宜しくお願い致します」
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