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2.何故か私にまで見合い話(笑顔でお断りが出来ず困惑)

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 私も接待しなきゃいけないのかな。ホステスみたいな真似事をさせられるのだったら、堪らないなぁと思う。でも、参加者の浅岡商店の専務、藤並商会の社長は、どちらもなかなかのおじさんだ。確か専務は五十八歳、社長が五十五歳くらい。今をときめく若い男性グループを活躍させている、日本芸能界きってのアイドルグループの社長は・・・・確か同じ五十代。それなら誰もがカッコイイと思うが、まあ・・・・敢えて言うまい。
 そんなおじさん達二人に、できてもいない新商品のアピールをして受注足数をアップして貰わなきゃならないのか。できてもいないというのは言い方がかなり乱暴だけれど、本当の事だから。下手を打って受注数を減らされる事だけは避けなきゃ。


 とにかく、だ。新商品のプレゼンは私が頑張らなきゃ。そして接待は福士社長に任せる、と。


 あ。しまった。バタバタして忙しかったから、栄養ドリンクのリポX飲むのを忘れた。あああ、頑張れるかな。仕方なく飲んだ気になって、気合を入れた。


 会食の部屋は、老舗の料亭だ。浅岡専務が贔屓にしている所で、特にしゃぶしゃぶが美味しい。いつものパターンだろう。
 本来ならフクシ側が接待なので支払いはこちらになるのだが、浅岡専務は気前が良く、年下の福士社長に支払わせるのが嫌みたいで、きっちり支払いをしてくれる今時珍しい取引先の方だ。ロマンスグレーの髪の毛がくりくりと頭の上で踊っている天然パーマに、四角い大きな眼鏡をかけたおじさんで、人望厚くどこへ行っても彼を知らない人はいない。名古屋に大きな問屋を構えていて、とても顔の広い方だ。関東の問屋仲間の所へよく遊びに来る。しかし忘れっぽいのがたまにキズで、仕入れを依頼した商品を送ってこない=忘れていた、という事があるのだ。お茶目なおじさんだと私は思っている。


 一方、藤並商会の社長は、関東に問屋を持つ大きな会社の社長だ。最近は自社ブランドのサンダルやカジュアルな婦人靴を中心に、ECサイト――Electronic Commerce Siteの略で、インターネット上で商品を販売するWebサイトのこと。市場の大きなインターネットの小売店を展開し、そこで販売をされている。浅岡専務と仲が良く、二人はよくつるんでいる。
 浅岡商店もインターネットの卸販売等もやっているのだが、専務はネットのデザインは死ぬほどダサく、誰がどう見ても驚くような・・・・言うなれば、子供のラクガキレベルの絵心しか無いお方なのだが、靴を作らせたら天下一品なのだ。藤並商会の靴のデザインの半分以上は、浅岡専務がやっていると言っても過言ではない。不思議な才能の持ち主のお茶目専務と、やり手の問屋社長が今日のお相手。
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