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9.ニセ令嬢、モノホン令嬢の根性を叩き直す鬼になります!

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 てなわけで、お嬢に友達作ってあげよう大作戦、遂行中。
 私の計画は上手く行く。なんせ本編は『美緒の任侠物語』で、お嬢はその派生だから。


 ただし、このイベントは私の中だけで完結させなきゃならない。
 お嬢に『演技でした』とか『仕組んでいた』とかバレると、却って意地張って好意を受け取れなくなっちゃうからね。意地っ張り歴も長い私は、非常にお嬢の気持ちがよく解る。


 自分と違う周りが、羨ましい気持ちとか、色々。


 私は妹だったから、お姉ちゃんが何時も羨ましかった。
 両親に頼られるのは、いつもしっかりしているお姉ちゃん。
 私はどこまで行っても妹で、お姉ちゃんには勝てなくて、でも、お姉ちゃんが大好きで、勿論弟たちも大好きで、お父さんもお母さんも大好きだから、独り占め出来ないことがムカついて、荒れた小学生時代。可愛くなかったと思う。
 何であんなに全てがムカついていたのか解らない程、友達に接する以外はトゲトゲしていたと思う。

 今思えば、早い反抗期だったのかも。でも、お姉ちゃんは何時もそんな私を受け入れてくれて、可愛がってくれた。忙しい両親の代わりに、素直なお姉ちゃんが私を歪まず育ててくれたと思う。
 本当は嬉しい癖に、もういい、とか、フン、とか拗ねて可愛くなかったと思う。今のお嬢と全く一緒だ。

 当時のイチ君に『美緒なんか放っておけばいい』とか言われると、余計にムカついて、癇癪起こしてオモチャ投げた事もあった。
 イチ君も拗らせ男子だったから、お姉ちゃん好きな癖にいっつも意地悪していたし。お姉ちゃん大好きっ子の私と張り合っていたのかもね。
 家に来て大好きなお姉ちゃんを泣かせた時は、ピーマン祭で逆にイチ君を泣かせた事もあったな。そう考えると、ポンコツ組長との付き合いも長い。
 そんな調子だったから、人一倍負けず嫌い。意地っ張りには意地っ張りの気持ちがよく解る。
 中松さんと組んでわざと私が手加減して負けたと感づかれては、下手すると心を閉ざしてしまうかもしれないから、上手くやらなきゃいけない。意地っ張りの扱いを間違えると、拗れて大変な事になるからね。やり方があるのよ。

 お嬢を見ているとあの頃の自分を見ているようで、このまま歪んでしまわないか心配。
 本当は構って欲しいのに、上手く言えなくて背を向けてしまう損な性格。


 誰かの気を引きたいっていう、淋しい気持ちの表れだと思うの。


 だから、お嬢に友達ができるかどうかは、私にかかっている!
 頑張れ、私!
 妹だから、こう見えても立ち回りは上手いのよ。
 したたかとも言うべき!?


 そしてお嬢の信頼を勝ち取り、中松さんにご褒美もらうのよ。をーほほ!
 


 
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