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8. ニセ令嬢、本物の令嬢と対峙致します!

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 あれから暫く。グリーンバンブーにお父さんとギンさんがいないという惨事にも関わらず、中松さんのお陰で無事に乗り切った。相当仕事ができる中松さんは、家族みんなからのお気に入りとなったのだ。
 更に、今度いつグリーンバンブーに来てくれるのか、とか、あのイケメンをカムバックとか、常連のお客様にもすっかり気に入られ、中松さんは次いつ来るの、という質問攻撃がスゴイ。

 もー! 無駄に愛想振りまいた結果がこれよ!
 それを文句言ったらはぐらかされるし、男女関係も無いし、ていうか何の発展も無いし、本当に結ばれるのかどうか、謎を感じる日々を過ごしている。

 とりあえずグリーンバンブーも落ち着いたから休んでいたニセカノ修業を再開し、相当しごかれたお陰でニセ令嬢も板に付いてきた。
 九月も幾分か過ぎ、そろそろ大学が始まるから、お見合い相手の令嬢と対峙する事になった。


 場所は相手令嬢の家。どどーんと大きなお屋敷に入った所から、本日の美緒の任侠物語はスタートする。


「美緒。気合いが入り過ぎだぞ。適当でいいから。俺の横にいてくれるだけでいいんだ」

「う、うん。でも緊張するよ」

 カチコチの私を、当然の如くエスコートしてくれる中松さんが尊い。
 ご令嬢が待っているという応接室へ案内されたので、コンコン、とノックをして、失礼致します、と声を掛けた。


 ガチャリ、と応接室の重厚な扉が開けられ、中から――



 


「いらっしゃあああーい、中松! やっと来てくれたのねっ」



 どんな女性が出て来るのかと思いきや・・・・。
 中松って呼び捨て?
 それより、へっ。うそっ。令嬢って・・・・子供? 小学生?

「嬉しいっ」

 ひし、と中松さんに飛びつく幼女。まあ、可愛らしい容姿です事、をほほほほ。
 ベージュとブラウンが特徴の、バーバリーのチェックワンピースに、上品な白いブラウス。多分召し物の値段は超高いと思う。ウェーブのかかった黒髪に、紺のリボンを付けている。目はくりっと大きく愛らしい、まあ、本当にお上品なお嬢様ってカンジの女の子だった。

 ものすごーく身構えて行ったのに、何と出てきたのは小学生のお嬢様。多分一年生か二年生くらい・・・・でしょう。

 明菜(私の妹で小学五年生)より年下のご令嬢・・・・。ライバル視していたのは、二十代のモノホンお嬢様と中松さんを巡ってドンパチ(抗争)すると思っていたのに、拍子抜けだ。

「白雪(しらゆき)お嬢様。今日はお招きありがとうございます。同伴の女性は、わたくしがお付き合いをさせて頂いている女性の緑竹美緒さんです。一矢様とご結婚なされたのが、彼女のお姉さまです」

「ふーん」

 ジロジロと値踏みされた。をををー・・・・モノホン令嬢に値踏みされるニセ令嬢の行く末はいかに!
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