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6.鬼執事は何をやらせても完璧です!

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「さあ、みんなお腹空いたでしょ。ランチできたよ。食べようー」

 お姉ちゃん声をかけてくれて、カウンターにランチを五人分置いてくれた。美味しそうなエビフライとハンバーグ。ランチのハンバーグは普通デミソースをかけるんだけれど、中松さんがてりやきハンバーグの方が好きなのを解っているから、ランチのひとつがてりやきになっていた。

「中松。ご飯は自由に好きなだけ入れてね」

「ああ、ありがとう」彼が笑った。


 うー。不満だ。
 というのも、中松さんは今日、笑顔が眩しい。普段全く見せないのに、今日は安売りしている気がする!
 お姉ちゃんに笑うのもイヤだけど、それよりも営業中、常連様には私も見た事もないような輝く笑顔で『またのお越しをお待ちしております』なんて言うし!
 お母さんがホールで新規のお客様を誘導中、レジに入って対応時に『お味はいかがでしたか』とか、『ご満足いただけましたか』とか、『お好み等がございましたら、遠慮なくおっしゃって下さいね』とか、笑顔でそんな事言うのよおおお!


 私だってそんな笑顔見せてもらった事ないのに、ずるい――!!
 厨房放り出して、お客になりたいって心底思ったもん!


 行きつけの定食屋で、超イケメンから優しい言葉掛けて貰ったら、これもう、どんな女でも惚れてまうやろ――!

 だから無駄に愛想振りまかないで欲しい!
 鬼のままでいいのに!
 常連様の奥様方(平均年齢七十歳)が、こぞって『私があと五十年若かったらー』とか言い出す始末だし!

 止めてよ! 五十年若くても中松さんは譲らないから!
 今日はキッチンが忙しくて、中々ホールに出るチャンスが無かった。
 お陰で『中松さんは私のでーす』って言えなかったけど、そのうち吹聴しまくってやる!


 あ”――――!


 悔しさに打ち震えていると、中松さんが声を掛けてくれた。「何怖い顔してんだよ。食べようぜ。美緒の分もご飯入れるぞ?」

「あ、うん。ありがとう! 嬉しい」

 はっ。いけない、いけない。私が鬼みたいな顔していてどーする。カワイイ笑顔を作って、にっこり笑った。中松さんがご飯をよそってくれたので、私はみそ汁を入れた。

 一番テーブルに定食を並べて、みんなでテーブルを囲んでランチを食べた。
 やっぱりグリーンバンブーのランチは最高!
 すごく美味しいー!

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