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6.鬼執事は何をやらせても完璧です!
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しおりを挟む「え――っ、ギックリ腰ぃ!?」
『そうなのぉー。美緒ちゃーん、修業お休みして、帰って来てーぇ』
特別レッスンを受けた直後、お母さんから電話が掛かって来た。
珍しいなあ、と思って電話に出ると、開口一発泣きつかれた。
何と、お父さんとベテランのギンさんというコックが、実家の洋食屋の冷蔵庫の配置換えを、明日に備えてやっていたみたい。
でも、年なのに無理したから、二人とも腰が痛くなって立てなくなったらしい。
うええー。大丈夫なのぉ!?
「明日のグリーンバンブーの厨房どうするの!?」
『えーん。どうしようー』
「泣いてる場合じゃないでしょーが! しゃっきりしな、母親だろ、コラ!」
『えーんっ、美緒ちゃん怖―いっ』
ますます泣いてしまった。
はー、ウザ。これだからお母さんは、もう!
「お姉ちゃんは? 明日グリーンバンブーに帰るんでしょ?」
『えーっと・・・・いおちゃんは多分揚場もできるからぁー。美緒ちゃんが帰って来てくれたら、焼き場頼んでぇー、えーっと、ぐすん、あの、琥太(こた)くんにー、えーっと・・・・』
「あーっ! お姉ちゃんに指示してもらうから、もういいっ! 何とかするから、泣くなっ!」
『えーん、美緒ちゃんのオニー』
オニという単語なら、目の前のこの男に似合うものなんだが?
「泣いている場合じゃない! もう、後はこっちでやるから、お母さんはお父さんの看病でもしててっ」
ブチ、とスマートフォンの通話終了ボタンをタップした。
ホントもう、お母さんと話していたら胃に穴が空くわ!
「一体何を騒いでいるんだ?」
特別授業を終えたばかりだから、中松さんがそこにいる。電話内容も聞かれていただろうから、私は彼に今聞いた経緯を話した。
「明日、令嬢修業休んでもいい?」
「修業より、親父さんを優先してやってくれ。家族は大事にするんだぞ」
えー。中松さん、超優しいー。今、キュンってした!
「それより、親父さんの体調、そんなに悪いのか?」
「ギックリ腰だからね。年なのに無理しちゃったのよ」
「・・・・人手は足りているのか?」
「ううん。ホールがお母さん、お姉ちゃんが厨房を仕切るけれど、琥太郎も私も厨房はちょっとした手伝いくらいしかできないから、多分配膳兼洗い場が無茶苦茶になると思う。うちの店、ああ見えても結構忙しいから」
「知っている」
「お姉ちゃんにも言って、どうするか考えるよ。色々ありがとう。明日だけじゃなくて、当分修業お休みさせてもらうかもしれない。でも、ちゃんと修業も頑張るから」
「こっちの事は気にしなくていい。それより、一緒に来てくれ」
「ん?」
「一矢様に休暇を貰う」
「えっ」
「さあ、来てくれ」
ぐい、と腕を取られ、引っ張って行かれた。イチ君の書斎までやって来て、コンコンとノックした。「中松です」
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