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SOUL1・橿原涼之助

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 死神の仕事なんて、引き受けなきゃ良かった。こんなに良い家族を引き離す事になるなんて。


 大祐は静かに病室をすり抜けて外に出た。
 いつの間にか雨は止み、雲間から月が覗いていた。
 当ても無く飛び続けながら、大祐は溢れる涙を止められなかった。
 ただ、自分の無力さを呪った。



「チクショ――――ッ!! こんなのってねーぜよぉ!!」



 泣き叫ぶ大祐の傍でそっと優しい声が聞こえた。『大祐』


「ジーサンか!?」

 辺りを見回すと、涼之助が大祐の方を見て微笑んでいた。『無理な願いを聞いてくれて有難う』

「ジーサン、ゴメンな。ジーサンの事、死なせちまってよ・・・・」再び大祐の瞳から涙が溢れた。

『違うよ、大祐。お前は儂と友梨亜を救ってくれたのだよ。辛い事をさせてしまったが、本当にこれでよかったんじゃ。有難う! 大祐のお陰で、最後に今まで苦しかった後悔の気持ちが晴れたよ。大祐が来てくれなかったら、友梨亜と最後の言葉を交わすことなく、友梨亜に迷惑をかけたまま生き続けることになっていた。そうして最後を迎えた時、儂は自分を恨んで、死んでも死に切れない悪霊になっていたじゃろう』

 涼之助は微笑んだ。『お前さんの優しい心がきっと、奇跡を起こしてくれたんじゃよ。本当に有難う』

 渋い顔中に笑顔をたたえ、大祐の事を力強く抱きしめてくれた。『元気でな、大祐』

「ジーサンもな」

『本当に有難う』

 男達は別れの抱擁を交わした。そして月夜に溶けるように、涼之助の幽体は消えていった。
 綺麗な月に向かって、キラキラと輝く光が昇っていく。

 きっと、涼之助の魂だ。そうに違いない。


 大祐はやり場の無い思いを抱えて、また、涙を流した。





 SOUL1・橿原涼之助・任務完了
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