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SOUL・宮野大祐
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見渡すと辺り一面真っ白だった。
少し色素の薄い、ぼんやりと透けて見える身体を見つめ、宮野大祐(みやのだいすけ)は首を傾げた。
確か車道に飛び出して来た子供を庇い、バイクに撥ねられたと記憶している。痛みを感じる間もなく意識が飛んだ筈なのに。
一体、ここは何処だろう・・・・?
辺りを見渡しても真っ白な光に包まれていて、まるで雲のような掴みどころのない物体の上にいる。
大祐は身体を起こし、その場で胡座をかいた。病室のベッド等ではなさそうだ。
『お目覚めかな』
突然の声、突然現れた目の前の男の姿に、大祐は目を丸くした。
ファンタジーゲームの画面か漫画でしかお目にかかる事が無い様な漆黒のマントに身を包み、大鎌を持った死神のような男が目の前に立っていたのだ。
覆われた黒いマントに、占い師がつけてそうな薄いヴェールのようなマスクが邪魔で顔が良く見えないが、声は低い。男の自分が聞いても、セクシーボイスだと感じた。
目の前の人物は一見男かどうかは解らないが、こういう類の奴等は昔から野郎と決まっているのだ、と大祐は思った。
『私は、死神だ』
目の前の男は、突然自分を死神だと名乗った。
大祐は名乗った人物を睨んだ。「なんだ、オメーはよぉ!?」
『私か? 名前はサギと呼ばれている。職業は死神だ』
「サギ!? 変な名前だなぁ! 詐欺師みてーだな」
しかも職業が死神と言っている。死神というのは、職業なのだろうか。初めて聞いた。
『そうだ。元・詐欺師だ』
「はあっ!?」
意味が解らなかった。その詐欺師が死神に転職したとでもいうのだろうか。
――コイツ、頭オカシイ奴か!? 意味わかんねーぜ、チクショー!!
苛々しながら、大祐は心の中でサギと名乗った男に悪態をついた。
『そうだ。俺も不慮の事故でな。騙した女に刺された上に、誤って魂を捕られて死んでしまったのだ。それで魂を取り戻す為に、詐欺師から死神に転職したという訳だ。あと、私の頭は正常だぞ』
「アッ!! テメー今、俺様の心の中読んだなっ!?」
自分の考えに解答が返って来た事に怒りを露にして、大祐が怒鳴った。
「おいっ! オメーは一体、何なんだよっっ!?」
『だから死神だと何度も言っているだろう。・・・・全く、これだから不良は馬鹿で困る』
ヴェールのようなマスクで相手の表情は見えないが、その物言い口調から小馬鹿にされた雰囲気は伝わって来た。
「テメー、不良を馬鹿にする気かぁ!?」
『馬鹿だから、馬鹿だと言ったのだ』
「ゴルァアアア!! 取り消せ―――!!」
怒りの鉄拳を渾身の力を込めて、死神に向かって振り下ろした。
スカッ
拳は空を切り、大祐の身体はその勢いで死神をすり抜けてしまった。
少し色素の薄い、ぼんやりと透けて見える身体を見つめ、宮野大祐(みやのだいすけ)は首を傾げた。
確か車道に飛び出して来た子供を庇い、バイクに撥ねられたと記憶している。痛みを感じる間もなく意識が飛んだ筈なのに。
一体、ここは何処だろう・・・・?
辺りを見渡しても真っ白な光に包まれていて、まるで雲のような掴みどころのない物体の上にいる。
大祐は身体を起こし、その場で胡座をかいた。病室のベッド等ではなさそうだ。
『お目覚めかな』
突然の声、突然現れた目の前の男の姿に、大祐は目を丸くした。
ファンタジーゲームの画面か漫画でしかお目にかかる事が無い様な漆黒のマントに身を包み、大鎌を持った死神のような男が目の前に立っていたのだ。
覆われた黒いマントに、占い師がつけてそうな薄いヴェールのようなマスクが邪魔で顔が良く見えないが、声は低い。男の自分が聞いても、セクシーボイスだと感じた。
目の前の人物は一見男かどうかは解らないが、こういう類の奴等は昔から野郎と決まっているのだ、と大祐は思った。
『私は、死神だ』
目の前の男は、突然自分を死神だと名乗った。
大祐は名乗った人物を睨んだ。「なんだ、オメーはよぉ!?」
『私か? 名前はサギと呼ばれている。職業は死神だ』
「サギ!? 変な名前だなぁ! 詐欺師みてーだな」
しかも職業が死神と言っている。死神というのは、職業なのだろうか。初めて聞いた。
『そうだ。元・詐欺師だ』
「はあっ!?」
意味が解らなかった。その詐欺師が死神に転職したとでもいうのだろうか。
――コイツ、頭オカシイ奴か!? 意味わかんねーぜ、チクショー!!
苛々しながら、大祐は心の中でサギと名乗った男に悪態をついた。
『そうだ。俺も不慮の事故でな。騙した女に刺された上に、誤って魂を捕られて死んでしまったのだ。それで魂を取り戻す為に、詐欺師から死神に転職したという訳だ。あと、私の頭は正常だぞ』
「アッ!! テメー今、俺様の心の中読んだなっ!?」
自分の考えに解答が返って来た事に怒りを露にして、大祐が怒鳴った。
「おいっ! オメーは一体、何なんだよっっ!?」
『だから死神だと何度も言っているだろう。・・・・全く、これだから不良は馬鹿で困る』
ヴェールのようなマスクで相手の表情は見えないが、その物言い口調から小馬鹿にされた雰囲気は伝わって来た。
「テメー、不良を馬鹿にする気かぁ!?」
『馬鹿だから、馬鹿だと言ったのだ』
「ゴルァアアア!! 取り消せ―――!!」
怒りの鉄拳を渾身の力を込めて、死神に向かって振り下ろした。
スカッ
拳は空を切り、大祐の身体はその勢いで死神をすり抜けてしまった。
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