【R18】幼馴染の専業ニセ嫁始めましたが、どうやらニセ夫の溺愛は本物のようです

さぶれ@6作コミカライズ配信・原作家

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14.旦那様(本物に昇格!)の溺愛はどう見ても本物で、全く止まる気配がございません!

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「お前も美緒とヨロシクしたいだろう。今日から暇をやるから、美緒に会いに行けばどうだ?」

「おや。一矢様、よろしいのですか?」

「ああ、構わん。中松の代わりは誰か他の者にさせる。お前も羽を伸ばして来い」

「引継ぎも無しで、本当にお困りになりませんね?」


「ちょっと待ったぁ――!」


 大急ぎで着替えた私は、下着姿の一矢と朝からビシっとスーツで決めている中松の間に割って入った。「一矢が訳の分からない事を言ってごめんなさい。中松がいないと困るわ。暇は取らないで?」

 ごめん、美緒。中松が休み取ったら、この屋敷回らなくなる!!
 というか、一矢を律する人がいなくなったら、三成家、潰れる!!

「伊織様がそうおっしゃるなら」中松が笑った。相変わらず目が笑っていない。

「一矢ったら、最近よくサボろうとするの。全力で見張っておいてね、中松」

「仰せのままに」

 中松が私に一礼してくれた。

「こら、中松の主人は私だぞ」その様子を見て、一矢が文句を言った。

「嫁だって同じ事よ。中松は私にも主従関係を結んでくれたわ。ね?」

「おっしゃる通りでございます。ただ、お暇を頂けるという話、俺としては大変光栄で御座いますが」

「だめよ、だめだめ! 三成家が潰れちゃう!!」

「そうですね。俺もそう思いますよ」中松が相変わらず目の笑っていない笑顔を見せた。「伊織様と婚約をしてからの一矢様は、それはもう仕事に身が入らず、困った主人に成り下がっておりますので、この辺りでお灸を据えようかと思っておりました」

 わあー。中松のお灸、キツそうー!
 それ、ちょっと見てみたいけど、今日の所は私が。

「一矢」

 中松の言葉を聞いて、ニッコリ笑って言った。


「今度仕事を疎かにする発言をしたら、今後一切、私に指一本触れさせないからね! グリーンバンブー(実家)に帰らせていただきますわよっ!!」


 一発、ピシャーンと雷を落としてやった。

「着替えてらっしゃい」

 下着姿のままの一矢を、寝室に押しやって乱暴に扉を閉めた。

 その様子を見ていた中松が、くくく、と笑いを漏らした。あ、これ、素。


「中松」

「何だよ」

 わ。羊無し松だ。素だ、素。

「仕事中の一矢って、そんなに酷いの?」ちょっと聞いてみた。

「いいや、ちょっと腑抜け具合あるけど、まだ許容範囲だ。一矢様も単純だし、行くところは全部お前の所だから、行動パターン読めていいけど。困ってるのは、接待を一切してくれなくなった事かな。前までは人づきあいを良くされていたのに、伊織と婚約してからは、全部予定が埋まってると言って、真っすぐ帰りやんの。よっぽどお前に会ってイチャイチャしたいんだな。ほどほどにしておいてくれよ。一矢様を、お前が止めてくれ」

「あ・・・・ははは」

 恥ずかしいなあ。もう。真っすぐ帰って来て溺愛してくれるのは嬉しいが、仕事を疎かにする行動に賛同するのは複雑だ。それに、旦那様(本物)の溺愛ぶりは相当なもので、止められそうにない。
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