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13.旦那様(ニセ)、鈍感嫁(ニセ)にプロポーズ大作戦です!
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しおりを挟む「気にしないで。もう大丈夫だから。一矢がちゃんと気配りしてくれて、中松が助けに来てくれたから。中松にちゃんと私の事を見ておくように頼んでくれていたのは、一矢でしょう?」
「そうだ。しかし、配慮不足だった。大事な伊織を・・・・危険な目に遭わせてしまった」
「大丈夫よ。何てことないから!」
「本当にそうか?」
「本当よ」
ぎゅっと手を握られた。「こんなに震えているではないか。何があったか、中松から報告を受けている。さぞ怖かっただろう。本当に・・・・悪かった」
私・・・・震えていたんだ。気が付かなかった。
必死だったから。一矢に気が付かれたくなくて、無かった事にしたくて。
でも、身体はずっと震えていたんだ。知らないうちに怖がっていたんだ。
「柚香と杏香には、然るべき対応を取り、宣言通り三成家を追放する。伊織には二度と手出しさせない」
「うん」
「伊織の事が無ければ、本家で好き勝手しておけばいいと思っていたが、伊織にまで手を出すとは、愚の骨頂だ。今回の事、たとえお前が赦しても、私は絶対に赦さないぞ。あの二人に、情けをかけるつもりはない。本当なら中松に頼んで始末して貰いたいくらいだが、そんな事をすれば中松が汚れる。それはできない。だから、財産も没収した上で追放する。生ぬるい罰だが、これでも贅の限りを尽くして来たあの二人は、相当堪えるだろう」
「あの人たちは今まで一矢に酷い事をしてきたのだもの。当然の報いよ」
幼い頃の一矢は、独りでどれだけ心細かっただろう。もっと寄り添ってあげればよかった。
「ごめんね、一矢」
「何故・・・・伊織が謝るのだ。謝らなければいけないのは、私の方ではないか」
「お義姉さんたちが、あんな恐ろしい人たちだったなんて、全然知らなかったから。貴方が辛い目に遭っている時、もっと助けてあげればよかったなあーって、今更ながらに思っちゃって・・・・」
「伊織・・・・」切なげに一矢は私を見つめ、やがて静かに聞いてきた。「お前を、抱きしめたい。私が・・・・触れても大丈夫か?」
「だい、じょうぶ」
「嫌ならすぐ止める。怖いと思ったら、言ってくれ」
一矢はふわっと私を包み込むように、とても優しく抱きしめてくれた。
「伊織・・・・」
「なあに?」
「手を、握ってもいいか?」
「うん」
「私が、怖くないか?」
「うん」
握ってくれた手の温もりに、ほっと安心する。もう怖い出来事は無いだろう。これから先も、一矢が守ってくれる。力強い男の人の手だ。震えも徐々に止まって行った。
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