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1. 私、一千万円で身売りする事になりました。
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しおりを挟む「一矢、今の私の話聞いてた? お弁当を作る時間なんか無いって! 大変だって言ってるじゃない!」
途中まで作っていたんだけど、話があるって中断して借金問題の話を聞いて今に至るのよ。
それにしても、そんなに楽しみにしていたんだ。お弁当。
まあ、味は悪くない、という普通に聞くと冷徹なコメントだから、流石の私もそこまでは解らなかった。
でもお店の存続危機に面した今、お弁当を作る時間は無い。一矢(と中松の分)のお弁当より、店の存続問題の方が大切だ。コンビニのお弁当が無理なら、今日くらいどこかのお弁当屋で買って間に合わせて欲しいものだ。
「借金問題が片付いたら、私の日替わり弁当が出来上がるのか?」
「そりゃあ片付いたら店が開けられるから、お弁当だって作れるけど・・・・でも、無理よ! お金無いから店を売ろうとかお父さん言い出す始末だし。そんな事になったら営業も続けられないし、今後二度と一矢のお弁当を作れなくなっちゃう」
「何だと! それは困る。うーん、そうだな・・・・伊織、だったら――」何やら逡巡し、一矢が偉そうに言った。「私が助けてやってもいいぞ」
「えっ? 本当!? お金貸してくれるの!?」
そうだった! 一矢の家はお金持ちだったんだ!
高慢男に借りを作るのはシャクだけど、サラ金でお金借りるとか無理だし、この際一矢で手を打とう。
貸してくれるというなら、日替わり弁当に私の特製ミートボール一個、毎日サービスしちゃうから!
一矢はお弁当のおかずのなかでも、私が作る特性ミートボールが好きなんだ。感想に『味は特段悪くなかった、もっと食べてやっても良いぞ』とか上から目線で言う位だから、しっかり食べたいって事なのよ。本当に分かりにくい男。でも好き。以下同文。
「金を貸すのとは少し違うが、まあいい・・・・。ただし、条件がある」
「じょ・・・・条件!?」
一体何を言われちゃうんだろう。
幼馴染のよしみで、利子は格安にしてもらいたいのだけど。できれば無利子希望!
ミートボール二個に増量は・・・・ちょっと多いサービスになっちゃうからキツイけど、まあ何とか頑張ってみるよ。うん。
「伊織。私の専用になれ」
突然の言葉に意味が解らなかった。「はいぃ?」
専用って何よ? 思わず戸惑った。
「解らんヤツだな。私の専用――つまり、嫁になれという事だ。私と結婚すればいい。お前の借金は、私が肩代わりしてやる」
よ、嫁!? 結婚!? 話が急すぎて、ついて行けない。
「なんだ、その不服そうな顔は。相変わらず不細工だな。もう少しマシな顔はできないのか」
大きなお世話!
「安心しろ。結婚と言っても、偽装だ。ぎ・そ・う。どうしようもなくモテる私に、縁談が毎日押し寄せて困っているのだ。幼馴染のよしみで伊織、お前が助けろ。その代わり私がお前の窮地を助けてやろうじゃないか。どうだ? ナイスアイディアだろう。流石私だ」
ドヤ顔で言われた。ふっ、ふざけるなあっ!
「大丈夫だ。調査によればこれは今流行りの契約婚というやつで、何も問題は無い」
知らなかった! 契約婚って流行っているの!?
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