魔装具

あかくりこ

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魔王は娶る形で責任をとることにし、巫女の処女を散らした

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 魔王は上半身こそ人型だが、腰から下は無数の触手が生えている。

 床に俯せ、巫女のくたりと力の入らない肢体を数多の触手が包み込んだ。まだ魔装具の執拗な責め苦が続いているのか巫女は視点のあわぬ目つきで痙攣でもしているかのように激しく身体を震わせる。倒れ伏す巫女を後生大事に抱え込むと、
「巫女を休ませる。私が戻ってくるまでに全軍この空域からの撤収準備を完了させろ」
 と残っていた数名に命じて魔王は玉座を後にした。
「イエッサー」

 こんな星、長居するもんじゃない。即時撤退が正しい選択だ。

 飴色の灯りが柔らかく点る、休憩、という用途に特化した仮眠室に巫女を運び込む。
 改めて肌理の細かい綺麗な肌と程よい肉付きの持ち主だ。顔立ちも悪くない。むしろ好みだ。泣き声も煩くなく、腰に響くよい声だ。
 落ちないように身体を支えていた太い触手が、腕に肩に腹に腰に腿に巻き付いた触手が、汗ばむ肌を撫でると、巫女が淫らがましく喘ぎ泣く。乳首に貼り付き悪さを続ける衣趣咃楼いしゅたるをずらした瞬間、巫女が「お願いやめて」と息も絶え絶えの声で懇願してきた。
「やめてとはどういうことか?」
 魔王の声音はなんとなく剣を含んでいるように感じる。
「裸、見ないで、下さい」
「もう殆ど裸同然の姿なのだから対して変わらんだろう」
 謁見の間とは打って変わって冷たい言い草。奥ゆかしい巫女は言葉を失った。

 ほぼ全裸に近い格好。それは理解している。分かっているけど。涙が滂沱と溢れてくるのを押さえられない。つい先刻なんぞ公の場で絶頂する姿を見られた。もうお嫁にいけない。いっそ消えてしまいたい。私だってこんな物着たくて着ているわけじゃないのに。


 再び触手の群れが巫女の身体に纏ついて衣趣咃楼いしゅたるを脱がせにかかる。吸盤の付いた触手が何本もいしゅたるに吸い付き巫女の肌から引き剥がす。弾みで薄い色合いの可愛らしい乳首が露わになる。空気にさらされぷっくりと頭をもたげる様が、まるで何かを誘っているみたいで酷く卑猥に見えて、巫女は泣きたくなった。
 細い無数の触手が魔装具の片割れ、女芯をくじるパンツをくるりと絡めとり引きずり下ろす。
「や、やめてぇ…っ」
 この時無意識に脱がせやすくなるよう尻を軽くひいた事に巫女は気付いていない。

 床に打ち棄てられた衣趣咃楼いしゅたる
 これで本当に一糸纏わぬ姿になってしまった。
 細いものは乳首に巻き付いて細かい吸盤で淡い色の突起をピタピタと弄ぶ。先端にみっしりと肉襞の付いた触手が肌理細かい柔肌に吸い跡を散らしていく。巫女の胴回りほどもある太い触手が下から絶頂の味を覚えた巫女の脚の間に割って入りぐねぐねと蠢く。表面がつるんとした瘤状の小さな突起にびっしり覆われたそれに恥骨を抉られて、巫女がまた達し、蜜を滴らせて白い身体が大きくはねる。
 生まれたままの姿を晒して尚、大きく脚を開かせられた格好を恥じる巫女が、いしゅたるに責めぬかれる方がまだましだ。そう訴える。
「強情だな」
 言うなり魔王は巫女のふっくらした桜色の唇に自分のそれを重ねた。
「!」
 嘘でしょう?こんな形でファーストキスを奪われるなんて。そんな、あんまりだ。
 そのくせ触れたところに熱を感じる。衣趣咃楼いしゅたるの責め苦とは違う変な甘い疼きが巫女の中で渦を巻き始める。胸がキュッと締め付けられるような妙な感覚に襲われ巫女は動揺を隠せない。どうして。腰がふわふわする。思ったより悪くない。とさえ思う自分がいる。どうして好きでもない人にキスをされてこんな気持ちになるの?私、変になってる。おかしくなりかけてる。
 触手だけだった愛撫に魔王自身の指が掌が唇が加わった。魔王に硬くそそり立つ乳首を吸われ、巫女はあまりの恥ずかしさに気を失いかけた。衣趣咃楼いしゅたるに拓かれた秘所を指で丁寧に擦りあげられた。魔王の濡れた舌が、繊細な指使いが、巫女の背中を尻を腿を這うように撫で回し、巫女を何度目かも分からない高みに追い立てる。それでなくても魔装具と触手に責められすっかり蕩けた身体だ。巫女は容易くよがり狂った。
「こん、なこと、されたくないっ、のっ」
「まだいうか」
 魔王は驚きを隠せない。あれだけ狂った痴態を見せつけておいてまだ見るな触るなと虚勢をはるとは。
 いや、口だけはまだ何とでもいえるのだ。現にいや、やめて、と啜り泣くだけが精一杯の抵抗だ。今の巫女に出来るのは、されるがままに愛撫を受け入れ、頬を赤らめ蕩けた瞳で喘ぎ、時折激しく胴震いをするだけ。
 それでもまだ触れられていない場所があることを巫女は気付いていない。意識もしていない。
「責任はとってやる」
「せ、責任って、な、なんな、何の、せきに、ん…っ」
「巫女の勇敢かつ産まれ故郷の星を思う滅私奉公に敬意を評して、この星から撤退しよう」
 私は、使命を果たせたのね。頭の片隅でこの破廉恥で屈辱的な責務から本当にようやく解放されるのだとぼんやり理解する。ただ実感はあまりにも希薄で、夢うつつの中で物語を聞いているようだ。
「ただし条件がある」
「条件…?」
「巫女は討ち死に、名誉の戦死を遂げたことにする」
 その言葉に我に返った。現実に引き戻された。
「私に死ねと仰るのですか」
 ならばこんな無体な狼藉など働かなくても。巫女は泣いて訴える。
「殺す気ならこんな真似はせんよ」
 察しが悪いな。あんまり未通女いのも考えモノだ。だからこんないかがわしい装備を着せられて戦わされる羽目に陥ったのだろうな。

 魔王は巫女の頑なさに焦れていたのだ。

 巫女の肌を弄る触手の蠢きが忙しくなった。数も増えて、もう身体中みっしり覆われた状態だ。そして、魔王との距離が更に近くなっている。もうお互いに腕を伸ばせばそのまま抱きしめあえるほど。そんななかで巫女は腿の内側に明らかに触手とは感触と質感の違う異物の存在が触れているのを感じた。蠢くでもなく這うわけでもなく、ただ存在を誇示するようにそこに触れている。
 いくら清純無垢でも巫女も女だ。本能的に異物が何かを察した。
「嫌ぁっ」
 残る力を振り絞って、身をよじり最後の抵抗を試みる。
「お願い。それだけは」
「うるさいよ」
 巫女の口に魔王の指が二本入り込んできた。
 人差し指と中指を挿入するみたいに口唇に出し入れする。
「ん…っんん、んふっう、ぅ…」
 いい貌だ。と魔王は思う。巫女は口淫なんて言葉など知らないだろうが、ほんの少し、眉根を寄せて固く目を閉じた心持ち苦しげな表情が実にそそる。
 噛みつくなどという野蛮な抵抗すら念頭にないのだ。
 
 巫女のそこに魔王の先端が宛がわれる。
 つぷり、と濡れた蜜壺に先端が食い込む。
 いくら潤んで蕩けきっているとはいえ、解け開いているのは花芯だけだ。巫女の膣は全く触れても解してもいない。魔王は分かった上で、進んでいるかどうかわからないような、ごくゆっくりとしたスピードでゆっくり襞を割って異物を埋めていく。その間も触手は巫女を責めたて、よがらせ続ける。果てる度に中のモノがじわりと食い込んでくる。まるで自分から受け入れ呑み込もうとしているみたいに感じられて、巫女は新たに涙する。
 こんな処女喪失、耐えられない。もう死んでしまいたい。そう悲観する反面、この悍ましい行為の虜になりつつあるもう一人の自分がいる。

 こんな、こんな、すごくいい、たまらない。もっとされたい。
 想像を絶するはしたない欲望に巫女は耳をふさぎたくなった。しかし、どちらも巫女の心の声なのだ。
 嫌、怖い。こんなの知りたくない覚えたくないのに。もうやめて。
 嫌よ、私はもっと知りたい。この先に待ってる知らない高みを知りたいの。

 なにも知らなかった巫女の中で何かが目覚め始めている。

 口を犯していた指が引き抜かれ、巫女の舌に魔王の舌が絡みついてきた。
「ん、ぅうん」
 もう一人の巫女が嫌よと泣き叫ぶ巫女を押しのけ、魔王の舌に、拙い舌技でお返しする。
 恥じらいながらも、愉悦に囚われ吞まれ溺れた清純無垢な乙女の際どい滑落の瞬間。
 巫女の中で、まだ半分ほどしか埋まっていない魔王のモノがむくりと大きさを増す。

 脅え狂う巫女。
 もうやめて。
 陶酔するもう一人の巫女。
 ああ、凄い。

 これ以上何かされたら私どうにかなってしまう。

 巫女が腰を揺すり、迎え入れやすくなるように身じろぐと、結合が深くなった。更に奥を抉られて、それだけでまた巫女は絶頂を極める。全部入ってくるまで、あと少し。
「やっ、やん、ぃやぁぁ…」
 先刻までの拒絶と変って甘えるような泣き声を上げる巫女。
 それまでは無理やり絶頂に追いやられても、僅かながら引き潮の瞬間があった。だが、最奥まで穿たれ貫かれたことでそれが無くなった。女芯が魔王の腰に当たって擦れて果てる。いや、巫女も一生懸命もっといいところを探って女芯を押し付け自ら意識を飛ばす。その度に中で漲ったそれを実感し、昇り詰める。それがずっと繰り返される。頂から降りられなくなった巫女の中を抉り、打ちつけ、更に魔王が追い詰める。
「出すぞ、しっかり、受け止めるがいい」
 信じられない量の熱い迸りが巫女の中にあふれ出す。
「あ、あっ、いい、いい…っいいの、好き、これ好きぃーっ」
 巫女が髪を振り乱して善がり泣く。

 巫女を寝台に寝かせた魔王が部屋を仮眠室を後にする。

 仮眠室に静かな啜り泣きが響く。 
 巫女は虚ろだった。  
 異性を教え込まれた。穢されてしまった。あんな大きなモノを入れられて、気持ちよくなってしまった。
 もう一人の巫女は中出しの余韻に浸り悦びに打ち震えている。
 これが性交渉。体中がどうにかなっちゃってる。こんなの覚えちゃったらもう地球には戻れないよ。

 真実本当にこの行為が嫌ならば、途中の、もっと早い段階で舌を噛み切って死ぬことも出来た。それが出来なかったのは、意気地がなかったわけではない。もう一人の無意識の自分が、自らを縊ることを押しとどめたのだ。巫女はそう己を慰めるより他に手段はなかった。
 
 それでも。私はこんなところで純潔を散らしたくなかったの。
 

 

 魔王軍が太陽系内から去った後日、地球に大きめの隕石が落ちた。
 サイズの割りには非常に軽く、CTスキャンをかけると中は空洞であることが分かった。
 スコープで空洞を検査すると、人工的に加工された銅色の物体が入っていた。取り出してみると、それは魔王軍のもとに向かった巫女が着用していた魔装具だと判明した。

 巫女は消息不明のままだ。





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