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この謎の異世界ソル・ブリジャールは物理法則ガン無視でした

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「では早速一緒にエラクアの街を見に行こうか」

 そういうとニンギルス王は僕の背後から羽交い締めのような格好で腕を回して、ふわりと飛び立った。



 僕は王様に吊るされてぶら下げられているので、床がどんどん遠くなる。足の裏に何も触れていない、地を踏みしめていないという感覚は想像以上に不安なものでうえぇええええ??????こっわ!!!!!以外言葉が浮かばない。



 メキシコサラマンダーは使わんのかい????!!



「乗り物があるでしょう、あれがいいですあれでいきましょう」と要求したら「ウルパは下界や他の都市など、遠方に出向くときの乗騎だからね」とやんわり拒否された。





           * * * * *




 一面金色の大地が足元に広がっている。飛翔、移動の最中も、風を感じない、ものすごい風圧で眼球が干からびたり表情筋がへちゃむくれになるなんてことになってないから、僕の世界の常識である物理法則は通用しない。俗にいう魔力とか妖力とか多分そう言ったものが幅を利かせる世界だ。




「下界では奴隷が生活しているよ、王宮の生活が逢わなかったら遠慮気兼ねなく申し出てくれ」下界に君が暮らす場所を用意しないといけないからね、などと陽気に笑う水の都エラクアの王ニンギルス。



 なーんでこうもまぁ【トツクニはトツクニに戻る】選択肢が欠落してるんだ、ここの住人は。



 しかし、この世界での本来の奴隷というのは。一体どういう存在なんだろうか。



 羽が生えている=城にお住まいの高貴な存在

 羽が生えていない=奴隷



 という順列は僕が勝手に想像しただけだけど、なんというかあれだよな。蜂とか蟻とかの生態を彷彿とさせるよな。ということは仕事は?育児?食糧調達?シャンデリアの修繕??



「王宮を取り囲んでいるのはそれぞれ領地と街と屋敷だよ。一番上が屋敷、屋敷には中段の二つの街、下段の三つの領地が与えられているんだ」



 そんな妄想逞しくしていたものだから、僕の目には皿の上の領地が巣盤にしか見えなくなってきた。



「あの巣盤には誰かお住まいなのですか?」



「スバン?」



 やっべぇやっちまった!!!!!!



「トツクニでは屋敷をスバンと呼ぶんです」



 咄嗟にひり出した嘘を真に受け「そうなのか」と感嘆するニンギルス王。





 頼むから戻った時、通常よりも三倍デカイだの人間の体内に営巣するなんてことになっててくれるなよ現実の世界の蜂の巣。

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