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情況の摺合せ2
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姫の話
・宮司は2年前に死んでる
・サピエンスは無関係。宮司は死んでいる。死んでいるのに消滅していない。
リョウの話
・エンキのマナという物騒なものが奥の院にある
・手あたり次第記憶を奪う
ウルススの話
・100年前世界が崩壊してサピエンスが消えた
「でもそれで100年前に起きた記憶の食い違い、婚礼の朝に姫の記憶が無くなったことも一連の現象に説明が付きます」
割と他人事のようにリョウが意見をまとめ、
「しかし、そのエンキの神託なんだろう?この婚礼は。自分で告げた神託をてめぇでぶち壊しにかかるというのが俺には理解できねぇ」
フェルカドが素直な疑問を述べた。
「もしかしたら神殿の神官も記憶を消されているのかも知れない。それなら一応筋は通るっす」
疑問にカインが仮説を提示し、リョウは黙って聞いているダキアの方に鼻先を向ける。
「正直、行幸は中止、アシル神官を動員してエンキのマナの捜索に駆り出すべきと具申します」
予めカインに釘を刺されているのか、澱みない敬語でリョウが申し述べる。
「その、記憶を操作する、というか消し飛ばす。それは間違いない。そう思う」
やや間をおいて、噛みしめるように返答するダキア。
感情をあらわにすれば最後記憶を消される厄介極まりないエンキのマナを所有するシチフサ宮司はシェリアルを狙っている。言葉は悪いが、行幸は神殿の不手際を被ったようなものだ。
「グラディアテュール領行幸は後日仕切り直す。行幸隊列に通達した後、最速でアシル神殿に向かうぞ」
ここでもミザルの決断は迅速だった。
「俺とアルコーは姫の護衛として行幸に合流する。フェルカド、チャラワン留守を頼むぞ」
出立の準備の間、ダキアの胸中は穏やかではなかった。
何を考えてるのか知らんがシチフサ宮司は一発ぶん殴らなくちゃ気が済まない。伴侶にちょっかいだされたという不快はもちろんのこと、シェリアルを苦しませたことに対する憤怒だ。
恐らくだけど意識が戻った時、少しの間感じた、靄の中で何も思い出せない白い恐怖。あれが記憶を消された状態なのだと思う。自身でその身で体験したから分かる。あんなもの説明のしようがない。婚礼の朝からいままで姫はあんな状態に置かれていたのだ。
行幸の途上、立ち寄る集落で、本来よく見知った関係の集落の長や、キンツェムの王族に「今現在顔も名前も一致しないどころか氏素性何も覚えていないのに旧知の関係という体で会話をする」無体な真似を強いられる様子を、どこかから高みの見物を決め込んでたと思うだけではらわたが煮えくり返る。正直な気持ち一発じゃすまないかもしれない。
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・宮司は2年前に死んでる
・サピエンスは無関係。宮司は死んでいる。死んでいるのに消滅していない。
リョウの話
・エンキのマナという物騒なものが奥の院にある
・手あたり次第記憶を奪う
ウルススの話
・100年前世界が崩壊してサピエンスが消えた
「でもそれで100年前に起きた記憶の食い違い、婚礼の朝に姫の記憶が無くなったことも一連の現象に説明が付きます」
割と他人事のようにリョウが意見をまとめ、
「しかし、そのエンキの神託なんだろう?この婚礼は。自分で告げた神託をてめぇでぶち壊しにかかるというのが俺には理解できねぇ」
フェルカドが素直な疑問を述べた。
「もしかしたら神殿の神官も記憶を消されているのかも知れない。それなら一応筋は通るっす」
疑問にカインが仮説を提示し、リョウは黙って聞いているダキアの方に鼻先を向ける。
「正直、行幸は中止、アシル神官を動員してエンキのマナの捜索に駆り出すべきと具申します」
予めカインに釘を刺されているのか、澱みない敬語でリョウが申し述べる。
「その、記憶を操作する、というか消し飛ばす。それは間違いない。そう思う」
やや間をおいて、噛みしめるように返答するダキア。
感情をあらわにすれば最後記憶を消される厄介極まりないエンキのマナを所有するシチフサ宮司はシェリアルを狙っている。言葉は悪いが、行幸は神殿の不手際を被ったようなものだ。
「グラディアテュール領行幸は後日仕切り直す。行幸隊列に通達した後、最速でアシル神殿に向かうぞ」
ここでもミザルの決断は迅速だった。
「俺とアルコーは姫の護衛として行幸に合流する。フェルカド、チャラワン留守を頼むぞ」
出立の準備の間、ダキアの胸中は穏やかではなかった。
何を考えてるのか知らんがシチフサ宮司は一発ぶん殴らなくちゃ気が済まない。伴侶にちょっかいだされたという不快はもちろんのこと、シェリアルを苦しませたことに対する憤怒だ。
恐らくだけど意識が戻った時、少しの間感じた、靄の中で何も思い出せない白い恐怖。あれが記憶を消された状態なのだと思う。自身でその身で体験したから分かる。あんなもの説明のしようがない。婚礼の朝からいままで姫はあんな状態に置かれていたのだ。
行幸の途上、立ち寄る集落で、本来よく見知った関係の集落の長や、キンツェムの王族に「今現在顔も名前も一致しないどころか氏素性何も覚えていないのに旧知の関係という体で会話をする」無体な真似を強いられる様子を、どこかから高みの見物を決め込んでたと思うだけではらわたが煮えくり返る。正直な気持ち一発じゃすまないかもしれない。
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