Birds

9

購買に並べられた商品を、ツバメは興味深そうに見回す。
対してカラスは既に見慣れているらしく、慣れた様子で物色し始めた。
「何か食べたいものはある？」
「え、と・・・そうですね・・・」
ツバメは商品を手に取ってみるが、少し考えて戻し、別の物を取って、また戻すを繰り返す。
巣立ったばかりの少年には、全てが初めて見るものばかりなのだろう。
味の想像はできないだろうし、選択肢も多い。
最初はこちらが選んであげた方が良いかもしれない。
そんな事を考えていると、あ、とツバメが声を出して、何かを手に取った。
親子丼だった。
何故それを選んだ。
本能だとでもいうのだろうか。いや、彼らの主食は虫だ。
ならば、いつも捕食される側だから、
鳥を食べてやろうとでも思ったのだろうか。
「あの、僕、これが良いです」
そう控えめに差し出してきた少年に反応できずにいると、カラスが戻ってきた。
ツバメの手にある親子丼と、私を見て、色々と察した様だった。
「なんでそれを選んだんだ？」
口に出せなかった事をカラスが代弁してくれた。
「おいしそうだったので・・・違うんですか？」
違わないが、と、カラスはおもしろそうにツバメを見る。
「鶏の卵と、肉が入った食べ物だよ」
「・・・おいしいんですよね？」
「・・・とっても」
「じゃあ、これにします」
中身を聞いても特に驚かず、ツバメはそれに決めたようだった。
「・・・本当に良いの？」
「はい。おいしいんですよね？」
「・・・ええ」
複雑そうな私を見て、カラスは苦笑する。
「私達はどうしますか？」
「・・・親子丼にしましょう」
結局３人分の親子丼と、お菓子を買って、研究室へ戻ることにした。