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新たな戦い?
停戦となったが。
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野戦陣地とにリツシユン王国・タイカーン国二重王国の攻撃が始まった。優勢な銃砲に苦戦し、押される一方だっが、何とか、総崩れだけはせず、じりじり後退しつつも、陣形を保っていたが、
「は、あなた方まで引き上げたらどうなるの?」
「お父上様からの、御指示です。お嬢様も早く。」
「夫を残して、私が逃げられますか?」
「もう既に、国軍の鉄砲隊も大砲隊も後方に引き上げました。歩兵部隊も、騎兵隊もです。お嬢様も私達とともに。」
「絶対嫌です。私は、夫ともに残ります。」
「お嬢様は、我々が最後まで従い、何とかご無事にお連れ申し上げます。」
国からの軍は参謀とともに引き上げていった、戦が佳境だというのに。確かに、もう押されて、そう長くはもたない状況になってきてはいるものの、のである。それを見て、まず妻達の実家から送られてきていた兵が引き始めた。それをみると、シュン王国の貴族の兵も引き始める。
防衛線は、さらに後退を続けることとなった。
「な、何?殿を第一王子が陣頭指揮して?そして我ら魔族を先に退却させるだと?あの僅かな手勢でか?一部の人間の軍が取って返しただと?それで我らが撤退できるか?魔族としての誇りはどうするのだ?人間達に後れをとっていいのか?我らも加わるぞ!第一王子の軍に加勢する。彼を無駄死にさせるな!」
と魔族の指揮官の女魔族が叫んで部隊をまとめて、元来た道を戻り始めた。
また、それを見て、地元の都市、諸侯も必死の抵抗を始めた。第一王子が、自己の部隊の略奪を禁止していたことも大きかった。それが、傭兵の反感となり、兵が減少した原因でもあるのだが。それでも、付近を持って離れていった傭兵部隊が、僅かなりとはいえ、第一王子の行動を見て、
「おい、ちょっと良心が痛まないか?」
「このまま逃げても危ないしな。」
「いっそ、加わった方がいいんじゃない?」
「勇敢な王子様を見捨てて逃げて死んでも汚名を残すより、忠節に殉じて名誉を得た方がましだしな。」
「じゃあ、俺はひきかえすわ。」
「あ、あたいもいくわよ。」
「おいおい、しかたがないな。俺もつきあうよ。」
と言い出して、引き返し、合流して、その彼らの奮戦で総崩れにならなかったのは、皮肉でもあったが。それを見て、他の人間達も、魔族もさらに奮起することになった。
しかし、その奮戦でも、完全に押されていたが、突然、リツシユン王国・タイカーン国二重王国側から停戦の使者がきた。ずっと占領した領域は狭まったが、戦況からみれば有利な条件だった。このまま戦って勝利しても、被害が多くでては困るというのが、ウスイ達の考えだった。停戦は実現した。リツシユン王国・タイカーン国二重王国側は、決して停戦は破らず、シユン王国軍は撤収できたし、離反した都市、諸侯にはさらなる攻撃はなかった。兵力差から見て、彼は十分やったはずだった。
ウスイとツチイ自らが、彼と停戦協定の場で合意したのである。少なくとも、リツシユン・タイカーン二重王国とシュン王国との和平の前提はこれで固まった。教皇庁の意志とも合致していた。
が、シユン王国内では、彼の独断、保身、弱腰、内通非難が火山の噴火のごとく沸き起こった。王太子が其れを宥める場面が度々あったが、
「あいつがやらせているんだろうな。」
第一王子カサギは、思わず口に出した。
それからすぐに、疲れ切っている妻達に、
「すまない、苦労かけてしまった。」
と詫びた。妻達は、彼に抱きついて、彼のために泣いてくれた。
その彼が、父国王と母王妃の元を訪れたのは、気まぐれからだったが、国王夫妻は、左遷はしたが長男は長男であるから、喜んで、さらに王宮にしばらく逗留するように言ったのだ。実際、戦地の強行軍で疲れ切っていたから、と途中での補給や支援も極めて不十分だった、その言葉に甘えてしまった。
父国王は、既に王太子である第二王子ウンティに国政の大半を任せていたから、カサギは父に何も期待はしていなかった。ただ、柔らかいベッドで2人妻と眠り、家臣達が何とか衣食住を王宮内で確保できているのを見て、安心していただけである。
それを見ての王太子第二王子ウンティの訪問だった。
慌てる国王夫妻に、
「世間では、国王が王太子を廃止して、長男であるカサギを次期国王とするとして王宮で準備中だ、もっぱらの考えである。今まで無私無欲で国政に励み、国民のことを思い努力してきたし、両親には孝を尽くしてきたつもりなのに心外であるとともに残念である。世間では、自分は王太子を罷免され、鞭打ちを受けて、辺境に左遷され、冤罪を着せられて処刑されるともっぱら言っている。そのようなこと、とても耐えられないので、今直ぐ処刑してほしい。」
ということを、国王夫妻の前で、涙を流して平伏して一気にまくしたてた。
そのようなことは全くないと国王も王妃も言ったが、もちろん・・・、結局、国王は、突然、カサギが無断で王宮に滞在していたことを責め、早々に領地に帰らせた。
彼の運命はこれまでだ、終わったと誰もが思った。もう、父国王も彼の処分について、王太子に全てをゆだねた、と王太子ウンテイは解釈したし、国民の多くが、その考えに同意していた。
「は、あなた方まで引き上げたらどうなるの?」
「お父上様からの、御指示です。お嬢様も早く。」
「夫を残して、私が逃げられますか?」
「もう既に、国軍の鉄砲隊も大砲隊も後方に引き上げました。歩兵部隊も、騎兵隊もです。お嬢様も私達とともに。」
「絶対嫌です。私は、夫ともに残ります。」
「お嬢様は、我々が最後まで従い、何とかご無事にお連れ申し上げます。」
国からの軍は参謀とともに引き上げていった、戦が佳境だというのに。確かに、もう押されて、そう長くはもたない状況になってきてはいるものの、のである。それを見て、まず妻達の実家から送られてきていた兵が引き始めた。それをみると、シュン王国の貴族の兵も引き始める。
防衛線は、さらに後退を続けることとなった。
「な、何?殿を第一王子が陣頭指揮して?そして我ら魔族を先に退却させるだと?あの僅かな手勢でか?一部の人間の軍が取って返しただと?それで我らが撤退できるか?魔族としての誇りはどうするのだ?人間達に後れをとっていいのか?我らも加わるぞ!第一王子の軍に加勢する。彼を無駄死にさせるな!」
と魔族の指揮官の女魔族が叫んで部隊をまとめて、元来た道を戻り始めた。
また、それを見て、地元の都市、諸侯も必死の抵抗を始めた。第一王子が、自己の部隊の略奪を禁止していたことも大きかった。それが、傭兵の反感となり、兵が減少した原因でもあるのだが。それでも、付近を持って離れていった傭兵部隊が、僅かなりとはいえ、第一王子の行動を見て、
「おい、ちょっと良心が痛まないか?」
「このまま逃げても危ないしな。」
「いっそ、加わった方がいいんじゃない?」
「勇敢な王子様を見捨てて逃げて死んでも汚名を残すより、忠節に殉じて名誉を得た方がましだしな。」
「じゃあ、俺はひきかえすわ。」
「あ、あたいもいくわよ。」
「おいおい、しかたがないな。俺もつきあうよ。」
と言い出して、引き返し、合流して、その彼らの奮戦で総崩れにならなかったのは、皮肉でもあったが。それを見て、他の人間達も、魔族もさらに奮起することになった。
しかし、その奮戦でも、完全に押されていたが、突然、リツシユン王国・タイカーン国二重王国側から停戦の使者がきた。ずっと占領した領域は狭まったが、戦況からみれば有利な条件だった。このまま戦って勝利しても、被害が多くでては困るというのが、ウスイ達の考えだった。停戦は実現した。リツシユン王国・タイカーン国二重王国側は、決して停戦は破らず、シユン王国軍は撤収できたし、離反した都市、諸侯にはさらなる攻撃はなかった。兵力差から見て、彼は十分やったはずだった。
ウスイとツチイ自らが、彼と停戦協定の場で合意したのである。少なくとも、リツシユン・タイカーン二重王国とシュン王国との和平の前提はこれで固まった。教皇庁の意志とも合致していた。
が、シユン王国内では、彼の独断、保身、弱腰、内通非難が火山の噴火のごとく沸き起こった。王太子が其れを宥める場面が度々あったが、
「あいつがやらせているんだろうな。」
第一王子カサギは、思わず口に出した。
それからすぐに、疲れ切っている妻達に、
「すまない、苦労かけてしまった。」
と詫びた。妻達は、彼に抱きついて、彼のために泣いてくれた。
その彼が、父国王と母王妃の元を訪れたのは、気まぐれからだったが、国王夫妻は、左遷はしたが長男は長男であるから、喜んで、さらに王宮にしばらく逗留するように言ったのだ。実際、戦地の強行軍で疲れ切っていたから、と途中での補給や支援も極めて不十分だった、その言葉に甘えてしまった。
父国王は、既に王太子である第二王子ウンティに国政の大半を任せていたから、カサギは父に何も期待はしていなかった。ただ、柔らかいベッドで2人妻と眠り、家臣達が何とか衣食住を王宮内で確保できているのを見て、安心していただけである。
それを見ての王太子第二王子ウンティの訪問だった。
慌てる国王夫妻に、
「世間では、国王が王太子を廃止して、長男であるカサギを次期国王とするとして王宮で準備中だ、もっぱらの考えである。今まで無私無欲で国政に励み、国民のことを思い努力してきたし、両親には孝を尽くしてきたつもりなのに心外であるとともに残念である。世間では、自分は王太子を罷免され、鞭打ちを受けて、辺境に左遷され、冤罪を着せられて処刑されるともっぱら言っている。そのようなこと、とても耐えられないので、今直ぐ処刑してほしい。」
ということを、国王夫妻の前で、涙を流して平伏して一気にまくしたてた。
そのようなことは全くないと国王も王妃も言ったが、もちろん・・・、結局、国王は、突然、カサギが無断で王宮に滞在していたことを責め、早々に領地に帰らせた。
彼の運命はこれまでだ、終わったと誰もが思った。もう、父国王も彼の処分について、王太子に全てをゆだねた、と王太子ウンテイは解釈したし、国民の多くが、その考えに同意していた。
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