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国王は女魔王と相思相愛になりました。

ウスイは復帰する。

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 魔族の襲撃から、何とか本隊は逃げおおせた。その数は、僅か500だったが、他に多少の将兵は敗走しながらも、集まってくるだろうと思われた。そこで、一旦停止して彼らを回収していくこととした。それに疲れていた。休息と食事を取るべきだと判断した。場所は、三方を山、というには低かったが、に囲まれていたため、三方の山には見張りの隊を送っていた。追撃の魔族の軍がいたら、不利である。早く、引き返した方がいいという意見も出始めた。

 撤兵の準備が始まった時、
「監視隊はどうした?」
 司令官が問うと、
「まだ戻ってきません。」
「撤兵の指示は送ったか?」
「もちろんです。」
 全員に何か不安が感染した、あっという間に。
 その時、
「ただ~。」
 火縄銃の轟音、火薬の臭い・・・。周囲の林に潜んで鉄砲を構えていたのである。
「放てー。」
 その声を受けて、かなりの数の銃の引き金が引かれ、鉛玉が放たれた。
 さらなる轟音。
 大砲の音だった。混乱する中に、突入隊が突撃してきた。
「ひ、卑怯なー!」
 その言葉が魔族へか、あるいは人間、ウスイ派に向けたのか、言った本人にも分からないまま、彼も彼の部隊も壊滅してしまった。

 王都では討伐隊からの報告を今か今かと待ちわびながら時間を浪費していた。
 使者を、いや索敵隊をという主張がでては、今少し待つべきではないか、ということで立ち消えになる小田原評定状態になっていた。
 流石に、もう待てない、最悪の状況が予想されるにいたって送られた部隊からの知らせは、討伐隊は壊滅したらしいというものだった。
 その翌日には、各国の使節は王都から消え、クーデターに参加していた貴族のかなりの部分も領地に引き上げてしまった。そして、三位一体教会教皇から、国王ウスイには寛大な措置を命じており、彼も約束しているので、武器を起き、彼を王都に迎え入れるように命じる教書が届いたのである。その時点で、新国王派は、ウスイ側が、教皇をはじめ、国内に各地に至るまで反乱軍を壊滅させたことを伝え、これ以上、血を流し合うは望まない、王位簒奪を図ろうとしている者達に協力はしないこと、クーデター派に参加した者達でも、速く離脱すれば寛大な措置を取る旨の手紙が送られていることを知ってがく然としたのである。

 本当ならば、勢いに乗って追撃して、王都復帰を、力で、勝ち得たかった。が、そうまではしてられなかったのだ。ミーロ国の追討隊がきたからである。ここで、ツチイの魔族軍を見捨てれば、約束不履行、同盟は、解消になってしまう。それ以上に、ウスイにとって耐えがたいのは、ツチイの立場が悪くなること、彼女と二度と会えなくなる事態を回避しなければならないということだった。
 
 だから、将兵、住民に訴えて、安心させ、人間、魔族の放棄していった武器、糧食を配布して戦力化し、野戦陣地をさらに強固に構築させた。そして、教皇をはじめとして、各地に手紙を送った、切り崩しのためだった。奴らの兵力を減らす。無益な戦いをしたくない、ということを言って、彼らを追討しない理由付もする。
もちろん、国土を戦場にしたくないと言うのも本音だった。とにかく、リツシユン王国戦線の戦いは手紙と謀略で、軍での戦いはターイカン国とともにミーナ国に向けたかった、ツチイのために、ウスイだった。

 ミーナ国の魔族軍、約2000が来襲してきたのは、ある意味ちょうどいい時期だった。野戦陣地の構築も、城塞の補強も終わった時だったし、リツシユン王国戦線では情報戦の真っ只中であった。現地の人間から略奪して補給すればよいと安易に考えていたから野戦陣地に隠る人間達の抵抗、城塞は人間達が立てこもって、にひどく戸惑い、狼狽して、根本的な対策をとることができないまま、攻めあぐね、糧食が不足し、その方面での不安から、とりあえず少し後退して補給しようとしたところをツチイの軍に、人間の銃砲の援護を受けて急襲されて壊滅された。
 特に、普通なら届かない距離で、しかも防御結界も、魔鎧を着た状態で、指揮官が銃砲の狙撃で死んだこともおおきな原因の一つだった。
 それは、ウスイの狙撃によるものであった。

 三度目の追放から1年後、ウスイ王子は、ふたたび王太子として、王都復帰を果たした。ツチイも、ミーナ国による混乱の収束、彼女の義母とその夫の処刑、その夫とはツチイの元婚約者だった、彼女がターイカン国女王、女魔王としての即位が認められ、ミーナ国に従属した存在として、帰国することになった。
 その間は、二人と彼らの支援者は、ともに何度も戦うことになった。

 
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