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国王は女魔王と相思相愛になりました。
人間と魔族の同盟
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「我々は、国のために信じる信仰を曲げてまで、三位一体教会に膝を屈して、屈辱を耐え、聖女の派遣を乞い、聖結界を張ってもらい、魔族の侵攻を阻止してもらい、かりそめの平安を貪ってきた。だが、魔族は、魔王は一つでも、一人でもないのだ。魔族も、我々同様にいくつもの部族があり、幾人もの魔王がおり、派遣を求め戦いあい、それぞれに異なる考え方をもっているのだ。今、我々の前にいるツチイ魔王女の部族は、人間界に侵攻することに関心の少ない部族であり、我々の領土に侵攻し、略奪、羨望狼藉を働いてきた魔族、魔王と敵対し、今劣勢に立っている。我々は、同様な境遇にあり、共通の敵を持っていると言える。同盟して戦うことが可能なのだ。それに、我々は軍事力以外にも提供しあい、互いにより発展することが可能な面がいっぱいあるのだ。選択の余地はない。我々は、同盟して、我々の土地と臣民を守り、豊かにするのだ。そして、我らの、正しい信仰を取り戻すのだ。」
ツチイは熱を込めて家臣達に語った。
「わあ、何で魔族がいるんだ。」
阿鼻叫喚の叫びが至る所に木霊したのは、それから数日後のことだった。
三代目聖女も、教皇も認めず、リツシユン王国内の三位一体教会の幹部の大半が認めなかったにも関わらず、新聖女、四代目が僅か10歳とはいえ、
「私の婚約者は、ウスイ王太子様と聞いております。それ以外の方のお名前を聞いたことはありません。」
と言ったにもかかわらず、クーデターを起こした三位一体教会信徒の貴族達や一部の三位一体教会の聖職者幹部、領内の亜人部族の一部は、新たな王を即位させてしまった、もちろんウスイではない。
かなりしっかりとして統治体制を確立して、代々世襲で王位を継いできていたリツシユン王国とは言え、国王の地位は絶対とは言えなかった。別に、有能であれば他の家の者を新たな王としても問題ないという意識はあったし、王家を貴族も臣民全体も、その血筋が絶対という認識はなく、また、形式的な面が大きかったとはいえ、議会、聖職者、都市の推薦を受け、特別な地位としての枢機卿達により戴冠式が行われる形式ではあった。
そして、教皇は内心も、実際にもウスイを支持していることでブレなどはなかったものの、クーデターを起こした貴族達、特に王位についてのは、熱心な三位一体教会の信徒達であった。それだけに、彼らを断罪するわけにはいかなかった。だから、送った勅書も表現が曖昧になった。それだけでなく、彼らの日頃の敬虔な態度について褒めたたえてもいた。それは、三位一体教会としては忠実な信徒であり、有力な貴族である彼らを手放したくない、敵にしたくはなかったからであり、それはある意味当然でもあった、三位一体教会としては。その結果、彼らに自重を促す程度の内容と受け止められ、かえって自分達の行動が教皇の支持を受けたと解してしまった。聖女達やリツシユン王国内の三位一体教会幹部達も同様で、あまり彼らを弾劾しようとはしなかったし、抵抗、阻止までの行動はとらなかった。それは、承認、支持と受け止められてしまった。ただし、教皇の勅書や聖女達の態度が全く効果がなかったわけではなく、クーデター派の中から、正確な情報を読み取って、緊急の理由があると偽って領地に戻り引きこもる、事実上の離反をする者がぼつぼつでたし、残っていても、情報をウスイの側に提供したり、行動を消極的にする者達もでた。
さらに、内々には、秘密裡にではあるが、隣国のシユン王国等との連携もあった、各国ともそれほど積極的ではなかったものの協力、承認を約束していた。ただし、教皇の気持ちはリツシユン王国クーデター派より正確に理解していたから、内々に新国王承認の約束はしたものの、もちろん色々な見返りも約束した上でのことである、公表はしなかった。
なんとかというよりも、スムーズに王都を制圧できた新国王派は、ウスイの逮捕、ウスイの側について反乱軍の討伐を実施することにした。そうしないと、国内の掌握が困難であり、新国王以下の政権は有名無実になってしまうからだった。兵の数は歩騎合計約3000人であった。ウスイについて行った貴族達の総動員力を考慮しても、約1000人足らずと思われたから十分と思われたし、また、それ以上は難しかった。。
場所が場所だけに、魔獣や魔族との遭遇が心配された。そのことについて調査する一隊を送ったが、魔獣が闊歩するほどではなく、また、魔族の侵攻はここ10年以上ない、という情報も得たことから、進軍を開始した。
が、突然の魔族の出現。しかも、盗賊のレベルではなく、その数は数百で、装備も軍隊のレベルだった。まずは、ウスイの軍との突然の遭遇、そして、鉄砲(火縄銃)隊の指揮官が鉄砲の狙撃で戦死、そのことは内部に伝わらなかった。鉄砲隊は指揮官クラスが次々戦死して、大混乱に。そこに魔族の軍が突入してきたのである。しかも、その先頭の魔族の攻撃魔法で、魔導士達がことごとく倒れ、彼らの防御結界は役にはたたなかったから、各部隊もかなりの損害を受けて混乱した。そこに、女魔族を先頭に魔族達が突入してきた。その女魔族に、部隊の精鋭、聖騎士達が瞬く間に倒されてしまった。
ツチイは熱を込めて家臣達に語った。
「わあ、何で魔族がいるんだ。」
阿鼻叫喚の叫びが至る所に木霊したのは、それから数日後のことだった。
三代目聖女も、教皇も認めず、リツシユン王国内の三位一体教会の幹部の大半が認めなかったにも関わらず、新聖女、四代目が僅か10歳とはいえ、
「私の婚約者は、ウスイ王太子様と聞いております。それ以外の方のお名前を聞いたことはありません。」
と言ったにもかかわらず、クーデターを起こした三位一体教会信徒の貴族達や一部の三位一体教会の聖職者幹部、領内の亜人部族の一部は、新たな王を即位させてしまった、もちろんウスイではない。
かなりしっかりとして統治体制を確立して、代々世襲で王位を継いできていたリツシユン王国とは言え、国王の地位は絶対とは言えなかった。別に、有能であれば他の家の者を新たな王としても問題ないという意識はあったし、王家を貴族も臣民全体も、その血筋が絶対という認識はなく、また、形式的な面が大きかったとはいえ、議会、聖職者、都市の推薦を受け、特別な地位としての枢機卿達により戴冠式が行われる形式ではあった。
そして、教皇は内心も、実際にもウスイを支持していることでブレなどはなかったものの、クーデターを起こした貴族達、特に王位についてのは、熱心な三位一体教会の信徒達であった。それだけに、彼らを断罪するわけにはいかなかった。だから、送った勅書も表現が曖昧になった。それだけでなく、彼らの日頃の敬虔な態度について褒めたたえてもいた。それは、三位一体教会としては忠実な信徒であり、有力な貴族である彼らを手放したくない、敵にしたくはなかったからであり、それはある意味当然でもあった、三位一体教会としては。その結果、彼らに自重を促す程度の内容と受け止められ、かえって自分達の行動が教皇の支持を受けたと解してしまった。聖女達やリツシユン王国内の三位一体教会幹部達も同様で、あまり彼らを弾劾しようとはしなかったし、抵抗、阻止までの行動はとらなかった。それは、承認、支持と受け止められてしまった。ただし、教皇の勅書や聖女達の態度が全く効果がなかったわけではなく、クーデター派の中から、正確な情報を読み取って、緊急の理由があると偽って領地に戻り引きこもる、事実上の離反をする者がぼつぼつでたし、残っていても、情報をウスイの側に提供したり、行動を消極的にする者達もでた。
さらに、内々には、秘密裡にではあるが、隣国のシユン王国等との連携もあった、各国ともそれほど積極的ではなかったものの協力、承認を約束していた。ただし、教皇の気持ちはリツシユン王国クーデター派より正確に理解していたから、内々に新国王承認の約束はしたものの、もちろん色々な見返りも約束した上でのことである、公表はしなかった。
なんとかというよりも、スムーズに王都を制圧できた新国王派は、ウスイの逮捕、ウスイの側について反乱軍の討伐を実施することにした。そうしないと、国内の掌握が困難であり、新国王以下の政権は有名無実になってしまうからだった。兵の数は歩騎合計約3000人であった。ウスイについて行った貴族達の総動員力を考慮しても、約1000人足らずと思われたから十分と思われたし、また、それ以上は難しかった。。
場所が場所だけに、魔獣や魔族との遭遇が心配された。そのことについて調査する一隊を送ったが、魔獣が闊歩するほどではなく、また、魔族の侵攻はここ10年以上ない、という情報も得たことから、進軍を開始した。
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