余命50年のエルフさん

子作りと冒険です。

皇帝陛下の密命です(カスミ)

　神聖帝国皇帝ジェードグリーン陛下に囚われている、御令息のジャスパー皇子を救出してほしいと私達は依頼されたのである。彼は、とある戦いで3年前コハク共和国軍に囚われ、捕虜になり、人質生活を余儀なくされているのである。皇帝に抵抗している同市としては大切な人質であるから、ある意味好待遇をしている。彼がいる限り、生きている限り、皇帝は攻めてこられない。死んだほうがいいような待遇では、踏ん切りをつけて攻撃してくるかもしれないけれど、市内で自由に出歩ける、何不自由ない生活ができている、愛人さえ持ち、文芸に、その優れた才能を発揮している、知識人との会話、対談なども自由にしている。市全体が、人質以上に、彼が市内にいてくれることを望んでいると言うくらい、特に女性達から、であるが。それでも人実生活には変わりがないし、父皇帝としては美しいだけでなく、文武両道で、有能な官僚ですらある彼を助け出したい、特に体力の衰えを感じ始めると強く思うようになってきた。とはいえ、どんなに好条件の交換条件を提示しても、コハク共和国は応じようとしない。何度も救出活動は行ってきたが全て失敗、ついに私達夫婦に依頼がきたというわけなの。

　どうして、私達夫婦にそれがきたのかというと、2つの件でやったことが皇帝陛下に褒められて、その過程で大いに気に入られて、信頼を受けることになっちゃったわけ、どちらかというと旦那が気に入られちゃった、ある程度は私もだけどね。

「これは、アサヤケエ殿と奥方様ではないか？何時、こちらに来られたのですか？」
　王子殿下の方から目ざとく見つけて声をかけてきたわ。
「おお、姉上様と妹様達もご一緒か？皆、お美しい。」
と朗らかに言った。母上はこの上なく嬉しそうな顔をして、娘と孫は少し不満そうだったわ。とにかく私と旦那はね恭しく頭を下げて、挨拶をしたわ。そのまま、王子様の側に、あちらから招いてくれたしね。護衛件監視役の女騎士とその騎士団は疑わしそうに警戒しながら、私達を見ていたわ。私達が、皇子様を拉致、逆だけどね、されまいと身構えていたわ。もちろん私達はそんなことはしなかったわ。
　私達は、思い出話や面白い話をすることで終始したわ。皇子は、ゆっくり話を聞きたいな、といかにも興味津々、わくわくが止まらないという顔で言いだしたわ、結構役者よね、皇子様。騎士団長の金髪女は渋っーい、御顔だけど、止めることはしなかった。大事な人質様だから、出来る限り、逃げられない程度に自由にしてあげることになっているのよね。
　そして、この市でも冒険者登録をして、冒険者しているのよね、私達。皇子様の宿舎、持つ論立派な館、そこで私達は自分達の冒険談、冒険者談を面白おかしく大いに語ってあげたわ。大笑いの皇子様、にこやかな顔をつくる愛人さんとやっぱり渋い顔の女騎士様。まあ、皇子様は半分本気で、半分演技だけど。

　私達のことは彼はよく知っていた、自分の父親がどれだけ私達を信任しているかも知っている。だから、私達がどうしてここにいるのか、理解したのだ、私達を見た時に。皇帝陛下の信任の有能な人だから当然よね。そして、自分がどうしたらいいかわかっているのよね。
　私達と皇帝陛下との関係は知られているから、ここに来た時点で私達は疑いを持たれている。監視がつきまとつているのよね、わからないと思っているようだけど、分かったいるわよ、下手過ぎるわよ。

　私達が、私達夫婦が信頼されるようになったのは、ハイエルフの内紛が関係している。帝国内の一国家である、私達ハイエルフの部族の国家は、帝国に当然臣従していると同時に独立国家でもあったわ。帝国から離脱しようとする一派が、王妃まで取り込んで、クーデターを起こした。クーデターの首領と王妃が結託、愛人関係になって、というところね。後ろに、他国の支援があったらしいわ。ちなみに、その首領というのが国王陛下の妹様だったのよね。ダブル不倫よね。いろいろあったけど、私達の奮闘でクーデター派を鎮圧、国王陛下と妹様は復帰、その後一緒に暮らして・・・。結構激しい戦いで、父上が戦死、母上は未亡人になってしまった。数年前の話ね。その前からも、褒められたことがあったけど、これが結構奥深い事件で、それを早期に解決した功労者として、その後、妙に皇帝陛下と私達、特に旦那様は、馬が合って、さらなる信任をもらっちゃったのよね。少しばかり、困るくらいな。