余命50年のエルフさん

転定妙用

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余命50年のエルフは結婚する。

新しい冒険の始まりよ(カスミ・ミストグリーン)

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「流石にハイエルフの聖騎士ね。大したものね。」
 ギルドの受付の女性は、私とアサを交互に見ながら、仕事の完了届と仕留めた魔獣の死体などの受け取り確認をしながら言ったわ。ああ、巨乳、爆乳の若い、少女くらいの美人受付嬢なんかじゃないわよ。でも、中年の年相応にきれいな、かつては美人でもてたかもしれないという女性、人間、だわ。
「旦那様がいなかったら、とても駄目だったわよ。美人妻の横目じゃないけど、彼は凄いんだから、私の背を完全に任せているのよ。」
と言ってやったわ。自分の夫が、過小評価されるなんて我慢できないし、そんなことされたら、良妻失格だもの。
 ちょっと考えた風だったけど、納得したようだったわ、賢いおばさん、感心感心、私より年下だけどね、外見はずっと私の方が親子以上に若いけどね。仕事の中身からから見て、それが妥当な判断だもんね。
「旦那様は、夜以上にすごい人だったのね。背も、下半身も、任せられるってわけね。」
なんて、恥ずかしいことを・・・。もう、年増女は下ネタが好きすぎるんだから。

 チーム理不尽追放劇の後、私達は、超絶美少女にも聖獣にも、イケメン王子様にも会うことはなく、力の覚醒もなく、しばらく旅を続けて、道々の都市で仕事を受けて、達成、金を受け取る生活を続けながら、このニイジ市に着て、しばらく滞在している。エルフや獣耳尾の超絶美少女や美少女に変身する聖獣が、旦那の側によってきても蹴とばして、追い払ってやるけどね。滞在しているのには、一応訳はある。港湾都市でありながら、近くに山岳地帯と平原、田園地帯が広がっていて、風光明媚の地でもあり、交通の要衝でもあったからだ。あ、温泉もある、しょっぱい。こういうところには、美味しいものが集まるものだからだし、面白い地下迷宮もあり、仕事、冒険者の仕事があり、その仕事が結構ハードである、つまり面白いということだった。

 亀に似た陸上のドラゴン。
 私がそれを選ぶと、アサは驚いた。でも、すぐに、いいんじゃないかと同意してくれた。冒険者ギルドでは、戸惑ったけど、アサがうまくまとめてくれた。合力してやろうか、仲間に加えてくれないか、仲間になってやるという連中が集まってきたけど、そんなことしたら、私達のハラハラドキドキの物語にならないじゃない?

 でも流石にドラゴンだったから、私の風と雷撃の組み合わせの攻撃魔法でも、容易に甲羅も皮も大して効果があがらないように見てみたわ。この私の続けざまの魔法攻撃で、結果として、彼の動きの援護した結果になった。そして彼が、ドラゴンの体に小さな傷、甲羅のひびを突ける。彼は、私の極大な攻撃魔法のための詠唱を奏でられる時間を稼ぐため陽動の攻撃を行う。私の極大な風と雷電の塊を彼が作ってくれた場所に放つ。しかも、連発で放つ。流石に倒れたドラゴンを一気呵成に攻撃して止めを刺しちゃった。
 その時にも、彼ったらしっかりサポートしてくれた、ドラゴンが最後の気力を振り絞って、断末魔の反撃とかするかもしれないから、あるいはどこからか他の魔獣が襲って来るかもしれないということで、実際、それほどではなかったけれど、ドラゴンは反撃しかけた、弱弱しくだけど、それをちゃんと止めてくれた。まあ、何とか自分でもできたけどね。その後始末も、彼が主となってやってくれた。食事も彼が作ってくれた。私も手伝ってあげたけどね。
「じゃ、あ~ん。」
「次は食べさせて。あ~ん。」
 恥ずかしがることもなく、彼はそれに積極的にしたがってくれた。私達は、どんどんうまくいくようになってきているように思う。

「あ~、美味しい、この鯨のベーコンやハム。でも、ワインは不味いわね。」
 仕事が終わって、ここの名物の鯨料理に私達は舌鼓をうっていたわ。まあ、このために来たのよね、ここに。
「でも、この米の酒、香りもいいし、なかなか美味いよ。」
「え?あら本当だわ。これならいけるかも、私も。それに、海の幸に合うわね。いいんじゃない。」
 また、新しいことを知ったようで、私はうれしかった。ここで、私達は、かなりの難しい仕事をこなして、少しばかり有名になったし、金も随分貯まっていた。本当に小さい小さい領地くらいなら買えるくらいにはなっていたわ。でも、私はまだまだ冒険を止めるわけにはいかないわ。もっとすごい冒険をして、もっといっぱい知りたい、見たいのよね。彼も、私との冒険を楽しんでいたし、まだ、お金は貯めたいらしい。私達は一応、当面の計画、目的が完全に一致していたわけ。

 そんな私達に、私達が有名になったこともあって、ある有力なパーティーに勧誘されることになった。少し問題があるということで躊躇していたアサの尻を叩いて、私達はそのチームに入ることにした。

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