8 / 34
余命50年のエルフは結婚する。
追放劇のヒロインになったわよ~(ミストグリーン)
しおりを挟む
私は、アサの手を引いてその場を立ち去ってやったわ。その時、私の心の奥底からふつふつと、私は自分が冒険者チームから不当な追放を受けたヒロインだ、これから新たな冒険が始まる瞬間だ、という言葉が沸き上がってきていた。私は、がっくりなんかせず、期待に打ち震えていたわ、わくわくしていたわ。
「ああ、退会届はギルドには私達から提出しておきますからね。」
とアサはちゃんと、一瞬振り返って、はっきり言ってくれた。さすがに旦那様、息がぴったし。
私達2人の新チーム誕生よ~。
この三ヶ月、デキるだけ足を伸ばして、行ってみたい、見てみたい、食べてみたいものがある、戦ってみたい、面白い仕事でとかで出向いたけど、やっぱり限られるわ。もっと遠くに行ってみたい。でも、チームは拠点を置いて、という方針だし、私達も其所から出るというのは後ろめたい所があって躊躇していたのよね。追放されるなら、堂々と出ていける分け前だから、考えようでは、良かったのかもしれないわね。私は残れというだったけど、その私達にはメリットがないしね、第一、旦那様を捨てるなんて、エルフとしてはできないわよ。それに、チーム全員とアサを天秤にかけると、アサの方が役に立つし、頼りになるもんね。
「か、カスミ。考え直さない?」
と息せき切って、ダークエルフの女が追いかけて来たわ。翌日、部屋を引き払って、旅立とうと市の城門の近くまで来た時だったわ。
彼女との仲は悪くはない。だから、来させたのね。
「今帰れば…。それにアサさんのことも考えるって。」
彼の追放は取り消すとは言わないのね。彼女の顔も、絶対追放するわ、というものだった。アサの方はみなかったし。彼女、アサとも関係者は悪くなかったもんね。それはそれで、面白くないけどね。あ、もちろん、彼女をダークエルフだから嫌っているとかじゃないのよ。世間では、ハイエルフは、他の種族に対して上から目線だの、尊大だのと言われているだけでなく、他のエルフ族、特にダークエルフに対しては、差別意識、優越意識が酷いとされているけど、そんなことはないわ。う~ん、それ本当?と言われると、世間一般のハイエルフ観に近い連中はいるわね、確かに。でも、大抵は、王族ですら、王族といっても人間達のとはちょっと違うけど、そういうことはないわ、私のしるところでは。ただ、ハイエルフとしての家系に誇りを持っているわ、強く。だからと言って、純血種だなんて、ほんの一部を除くとあまり問題視していないわ。人間の近くで暮らすエルフ族ほどではないけど、ハイエルフだって純血種なんていないわ。ただ、ハイエルフの形質が出ている者だけをハイエルフとして受け入れるというだけのこと。それがそれが閉鎖的と思われるのは事実だけど、そうでない者を差別しているわけではないし、親族として認めているわ。ちなみにダークエルフというのは、特定の部族名ではなく、人間の中で暮らしている、傭兵的な集団とかに対して呼ばれているのであるけれど、浅黒い肌のエルフに対しても使われる場合もあって、定義なんてないわ。
「わ、私は反対だったし、他のメンバーだって・・・。」
と申し訳なさそうに彼女は言ったわ。そんな彼女は、くやしいほど可愛いかったわ、抱きしめてあげたいくらいに。
「わかっているさ。リーダーも・・・。まあ、長い新婚旅行に出かけたと思ってくれ。」
「アサさんがいなくなると、困るんだよね、全てで・・・。なのに・・・。」
「俺の代わりと何とかなるさ。カスミとは違うから。」
「ご、ごめんなさい。」
彼女は下を向いて、来た逆方向に駆けだしていった。泣いていたのかもしれない。彼女には同情するけど、ちょっとむかつくわね。
「君に出ていかれるのは痛いだろうな。」
「あんまり卑下するのは良くないわよ、かえって。」
彼は、本当はではなく、本当に有能なのである。チームにとっては、また、私も含めたチーム全てのメンバー個々にとって、そして、市民の大半にとって、有能なのである。
確かに、戦い方も、その全ての能力も派手ではないわ。一発で魔獣をぶっ倒す、例えば大火球を放つなどの能力はないわ。でも正確に、かつ体の中にダメージを、狭い範囲だけど打ち抜く、切り裂く、突き刺すなどはすごいのよね。私の攻撃の時間稼ぎ、陽動、ダメージを広げて動きを鈍らす。それは、私の攻撃で倒した相手にすかさず止めを刺す、私に向かってくる複数の魔獣やら、ゴブリン、オーク、オーガ等を押し返す、数を減らして守ってくれる。この数年間、特に結婚してからは、それが全く一体に近くなっている。
雑用事や作戦だってそうよ。慎重で、準備をしっかりする、先を見通すけど、どこか抜けているし、迷ってしまったりしている。それを私が、指摘したり、なおさせたり、手伝って補正する。そして、私の言ったこと、提案したことを、うまくいくように立案して、進めてくれる。
「ああ、退会届はギルドには私達から提出しておきますからね。」
とアサはちゃんと、一瞬振り返って、はっきり言ってくれた。さすがに旦那様、息がぴったし。
私達2人の新チーム誕生よ~。
この三ヶ月、デキるだけ足を伸ばして、行ってみたい、見てみたい、食べてみたいものがある、戦ってみたい、面白い仕事でとかで出向いたけど、やっぱり限られるわ。もっと遠くに行ってみたい。でも、チームは拠点を置いて、という方針だし、私達も其所から出るというのは後ろめたい所があって躊躇していたのよね。追放されるなら、堂々と出ていける分け前だから、考えようでは、良かったのかもしれないわね。私は残れというだったけど、その私達にはメリットがないしね、第一、旦那様を捨てるなんて、エルフとしてはできないわよ。それに、チーム全員とアサを天秤にかけると、アサの方が役に立つし、頼りになるもんね。
「か、カスミ。考え直さない?」
と息せき切って、ダークエルフの女が追いかけて来たわ。翌日、部屋を引き払って、旅立とうと市の城門の近くまで来た時だったわ。
彼女との仲は悪くはない。だから、来させたのね。
「今帰れば…。それにアサさんのことも考えるって。」
彼の追放は取り消すとは言わないのね。彼女の顔も、絶対追放するわ、というものだった。アサの方はみなかったし。彼女、アサとも関係者は悪くなかったもんね。それはそれで、面白くないけどね。あ、もちろん、彼女をダークエルフだから嫌っているとかじゃないのよ。世間では、ハイエルフは、他の種族に対して上から目線だの、尊大だのと言われているだけでなく、他のエルフ族、特にダークエルフに対しては、差別意識、優越意識が酷いとされているけど、そんなことはないわ。う~ん、それ本当?と言われると、世間一般のハイエルフ観に近い連中はいるわね、確かに。でも、大抵は、王族ですら、王族といっても人間達のとはちょっと違うけど、そういうことはないわ、私のしるところでは。ただ、ハイエルフとしての家系に誇りを持っているわ、強く。だからと言って、純血種だなんて、ほんの一部を除くとあまり問題視していないわ。人間の近くで暮らすエルフ族ほどではないけど、ハイエルフだって純血種なんていないわ。ただ、ハイエルフの形質が出ている者だけをハイエルフとして受け入れるというだけのこと。それがそれが閉鎖的と思われるのは事実だけど、そうでない者を差別しているわけではないし、親族として認めているわ。ちなみにダークエルフというのは、特定の部族名ではなく、人間の中で暮らしている、傭兵的な集団とかに対して呼ばれているのであるけれど、浅黒い肌のエルフに対しても使われる場合もあって、定義なんてないわ。
「わ、私は反対だったし、他のメンバーだって・・・。」
と申し訳なさそうに彼女は言ったわ。そんな彼女は、くやしいほど可愛いかったわ、抱きしめてあげたいくらいに。
「わかっているさ。リーダーも・・・。まあ、長い新婚旅行に出かけたと思ってくれ。」
「アサさんがいなくなると、困るんだよね、全てで・・・。なのに・・・。」
「俺の代わりと何とかなるさ。カスミとは違うから。」
「ご、ごめんなさい。」
彼女は下を向いて、来た逆方向に駆けだしていった。泣いていたのかもしれない。彼女には同情するけど、ちょっとむかつくわね。
「君に出ていかれるのは痛いだろうな。」
「あんまり卑下するのは良くないわよ、かえって。」
彼は、本当はではなく、本当に有能なのである。チームにとっては、また、私も含めたチーム全てのメンバー個々にとって、そして、市民の大半にとって、有能なのである。
確かに、戦い方も、その全ての能力も派手ではないわ。一発で魔獣をぶっ倒す、例えば大火球を放つなどの能力はないわ。でも正確に、かつ体の中にダメージを、狭い範囲だけど打ち抜く、切り裂く、突き刺すなどはすごいのよね。私の攻撃の時間稼ぎ、陽動、ダメージを広げて動きを鈍らす。それは、私の攻撃で倒した相手にすかさず止めを刺す、私に向かってくる複数の魔獣やら、ゴブリン、オーク、オーガ等を押し返す、数を減らして守ってくれる。この数年間、特に結婚してからは、それが全く一体に近くなっている。
雑用事や作戦だってそうよ。慎重で、準備をしっかりする、先を見通すけど、どこか抜けているし、迷ってしまったりしている。それを私が、指摘したり、なおさせたり、手伝って補正する。そして、私の言ったこと、提案したことを、うまくいくように立案して、進めてくれる。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
妻がエロくて死にそうです
菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。
美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。
こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。
それは……
限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常
チュートリアル場所でLv9999になっちゃいました。
ss
ファンタジー
これは、ひょんなことから異世界へと飛ばされた青年の物語である。
高校三年生の竹林 健(たけばやし たける)を含めた地球人100名がなんらかの力により異世界で過ごすことを要求される。
そんな中、安全地帯と呼ばれている最初のリスポーン地点の「チュートリアル場所」で主人公 健はあるスキルによりレベルがMAXまで到達した。
そして、チュートリアル場所で出会った一人の青年 相斗と一緒に異世界へと身を乗り出す。
弱体した異世界を救うために二人は立ち上がる。
※基本的には毎日7時投稿です。作者は気まぐれなのであくまで目安くらいに思ってください。設定はかなりガバガバしようですので、暖かい目で見てくれたら嬉しいです。
※コメントはあんまり見れないかもしれません。ランキングが上がっていたら、報告していただいたら嬉しいです。
Hotランキング 1位
ファンタジーランキング 1位
人気ランキング 2位
100000Pt達成!!
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
じいちゃんから譲られた土地に店を開いた。そしたら限界集落だった店の周りが都会になっていた。
ゆうらしあ
ファンタジー
死ぬ間際、俺はじいちゃんからある土地を譲られた。
木に囲まれてるから陽当たりは悪いし、土地を管理するのにも金は掛かるし…此処だと売ったとしても買う者が居ない。
何より、世話になったじいちゃんから譲られたものだ。
そうだ。この雰囲気を利用してカフェを作ってみよう。
なんか、まぁ、ダラダラと。
で、お客さんは井戸端会議するお婆ちゃんばっかなんだけど……?
「おぉ〜っ!!? 腰が!! 腰が痛くないよ!?」
「あ、足が軽いよぉ〜っ!!」
「あの時みたいに頭が冴えるわ…!!」
あ、あのー…?
その場所には何故か特別な事が起こり続けて…?
これは後々、地球上で異世界の扉が開かれる前からのお話。
※HOT男性向けランキング1位達成
※ファンタジーランキング 24h 3位達成
※ゆる〜く、思うがままに書いている作品です。読者様もゆる〜く呼んで頂ければ幸いです。カクヨムでも投稿中。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
全裸追放から始まる成り上がり生活!〜育ててくれた貴族パーティーから追放されたので、前世の記憶を使ってイージーモードの生活を送ります〜
仁徳
ファンタジー
テオ・ローゼは、捨て子だった。しかし、イルムガルト率いる貴族パーティーが彼を拾い、大事に育ててくれた。
テオが十七歳になったその日、彼は鑑定士からユニークスキルが【前世の記憶】と言われ、それがどんな効果を齎すのかが分からなかったイルムガルトは、テオをパーティーから追放すると宣言する。
イルムガルトが捨て子のテオをここまで育てた理由、それは占い師の予言でテオは優秀な人間となるからと言われたからだ。
イルムガルトはテオのユニークスキルを無能だと烙印を押した。しかし、これまでの彼のユニークスキルは、助言と言う形で常に発動していたのだ。
それに気付かないイルムガルトは、テオの身包みを剥いで素っ裸で外に放り出す。
何も身に付けていないテオは町にいられないと思い、町を出て暗闇の中を彷徨う。そんな時、モンスターに襲われてテオは見知らぬ女性に助けられた。
捨てる神あれば拾う神あり。テオは助けてくれた女性、ルナとパーティーを組み、新たな人生を歩む。
一方、貴族パーティーはこれまであったテオの助言を失ったことで、効率良く動くことができずに失敗を繰り返し、没落の道を辿って行く。
これは、ユニークスキルが無能だと判断されたテオが新たな人生を歩み、前世の記憶を生かして幸せになって行く物語。
全てを奪われ追放されたけど、実は地獄のようだった家から逃げられてほっとしている。もう絶対に戻らないからよろしく!
蒼衣翼
ファンタジー
俺は誰もが羨む地位を持ち、美男美女揃いの家族に囲まれて生活をしている。
家や家族目当てに近づく奴や、妬んで陰口を叩く奴は数しれず、友人という名のハイエナ共に付きまとわれる生活だ。
何よりも、外からは最高に見える家庭環境も、俺からすれば地獄のようなもの。
やるべきこと、やってはならないことを細かく決められ、家族のなかで一人平凡顔の俺は、みんなから疎ましがられていた。
そんなある日、家にやって来た一人の少年が、鮮やかな手並みで俺の地位を奪い、とうとう俺を家から放逐させてしまう。
やった! 準備をしつつも諦めていた自由な人生が始まる!
俺はもう戻らないから、後は頼んだぞ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる