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余命50年のエルフは結婚する。
余命はたった50年なのよ!(カスミ・ミストグリーン)
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私ことハイエルフ聖騎士であるカスミ・ミストグリーンは、冒険者として武者修行?外の世界を見て回る旅をしていた、それは人生の一時期、ちょっとした時間を使う、大半のハイエルフがたどると言うほどではないが、そこそこ普通の慣習的なことだった。100年、いや、もう少し続けて、人間や亜人達、魔族を知り、その他の世界を知って、ハイエルフの世界に戻り、結婚して、役割、私の場合は聖騎士の職務、を果たし、子供を作り…という当たり前の人生を過ごす予定だった。
それが、2年ぶりに里帰りした時一変したのだ。両親をはじめ、家族、親族、一族、家臣達、使用人達も元気で、和気あいあいの日々を送ることになった。それが3日目のことだった。私の手の甲に、六芒星型のきれいな色の痣?紋?が浮かび上がっているのを、妹が見つけてくれた。
心配になり、部族の長老の一人で医学の再興権威でもある方で、私の一族なのだが、に診察してもらった。彼は一目見て驚き、おろおろしながらも念入りに診察して、後日結果を教えると、私が不安になるくらい深刻な表情で言った。2日後、私の聞いた言葉は、
「お前の余命は50年くらいだ。残念ながら、お前は不治の病にかかっておるのだ。」
三人の部族の長老達が、副部族長まで、わざわざ私の家にやってきて、いかにも可哀想にという表情で私と私の両親をはじめとする家族に語った。下座で、背筋を伸ばして聞いていた私達は、蒼白になった。六芒星型紋からだんだんと線がのび、心臓に達すると私の魔力が暴走するように流れ込み、心臓を破裂させ、最終的には内臓全体を破壊してしまうというもので、そうなったら回復魔法も再生魔法も、老衰と同様に効果はないという代物だった。直す手段もない不治の病なのだ。感染はしないし、滅多にない病気で、魔法力の大きい者がかかることが多いらしい。
そして、私は将来の全てを失った。
もちろん家族や親族、家臣達も私のために悲しんでくれたし、に同情してくれて、親身になってくれた。自分の生きたいように生きなさい、やりたいことがあれば全力で応援してあげる、欲しいものはないか等々。
部族の長老達からもだった。本来なら100歳を超えるか、かなりの功績でもないと認められない聖騎士として正式に認定され、色々な特権さえくれた。
では、よかったではないかと言われるかもしれない。
そんなことはない。
まず、婚約が破棄された。相手が悪いわけではない。50年しか寿命のない女と結婚したら、まるで財産目当て、短い間だけだから我慢して、というように見られかねないし、僅かな間だけ過ごして、なんていうの悲恋物語ならいいかもしれないが、当人にとってはたまったものではない。そもそも、私はまだ40歳そこそこで、ハイエルフの結婚適齢期とされる100歳前後には達していないし、その前に死んでしまう。婚約相手もまだ50歳くらいである。100歳前に結婚してはならないという規則もないが、やっぱりいろいろ問題もあり、結婚は家と家の関係もあるのだからなおさらだから・・・。やむを得ないと、私は納得している。
だが、私は自分の婚約者を気に入っていたし、将来結婚する相手として意識し、好ましく思っていた。それは彼も同様だった。言うならば、相思相愛の仲まではいかないにしろ、それに近かった。だから、私にはかなりのショックだった。
それに、ハイエルフは長命であるから、子供が生まれにくいものの、最低でも雲孫までに囲まれた晩年を過ごすものだ。それが私には、子供すら得られないのだ。50年では子供が生まれるかどうかもわからないし、実際妊娠は禁止されている。このような病気の因子を、断つためである。それはやはりつらいし、寂しい。
それに、みんなが私は後僅かでいなくなるという目で、それは善意であり、同情であるのだが、やはり寂しい。
私は、3日間、本当にかなり落ち込んだ、家族もみんな、ひどく心配するほど。泣いて泣いて、大声で、この上もないくらいで、のたうちまわった・・・したかったが、できなかった。私は、聖騎士だから、そんなことはできるはずがなかった。
それが母の一言、
「50年・・・人間だったら、十分な寿命なのに・・・なんでハイエルフのあなたが・・・。」
と母は泣いていたが、私ははたと思いついた。
オーガ、オーク、ドアーフとかとは違い、人間達は短い寿命の中で人生の目的だとかなんだとか言って、懸命にもがいている。私は人間を見習おう、人間だと思おう、いや人間になろう、そうすれば、短い人生でも満足して死ねるかもしれない。うん、そうだ。まずは・・・あ、結婚しよう。だれがいいだろうか?
しかし、結婚するにしても誰と?過去つきあった人間と言えば・・・私が死ぬ前には死なない男は?これから付き合おう思っている男達の中では・・・。今、付き合っている、あいつは・・・。あいつ、あと50年間元気かしら?まあ、相性もいいし、そういう男だとハイエルフと結婚すると・・・でも、新しいカレにしようかなと思う彼の方がいい男で、可愛いし、頼もしいのは前の・・・誰にしようかしら?今の彼はいいと思ったけど、こだわるほどの理由はないかも・・・なかなかいい奴だし、どうしようかしら?
まあ、文句ないから手近なところで手を打っちゃおうか?冒険者仲間としては頼りになるし、よく気が付くしね、私に尽くしてくれるほうだし、真面目だし・・・それに夜の相性のぴったりだしね。それに、身分もハイエルフの聖騎士の家柄の私とまあまあ釣り合うくらいの騎士の家柄の出身だしね。
考えてみたら、前の彼達はもう新しい彼女と結婚、子つくり前提の関係になっているから、その彼女さんたちから奪うというのは、私なら簡単だけど、美人ハイエルフの私なら・・・、聖騎士としては・・・、それ以上に良心が痛むわよね。
新しい彼候補は、流石に今直ぐ結婚を迫ったら退くわよね?
やっぱり今の彼にしておこうかしら?喜んで、受け入れるはずだしね、うん、決まり。でも・・・。
それが、2年ぶりに里帰りした時一変したのだ。両親をはじめ、家族、親族、一族、家臣達、使用人達も元気で、和気あいあいの日々を送ることになった。それが3日目のことだった。私の手の甲に、六芒星型のきれいな色の痣?紋?が浮かび上がっているのを、妹が見つけてくれた。
心配になり、部族の長老の一人で医学の再興権威でもある方で、私の一族なのだが、に診察してもらった。彼は一目見て驚き、おろおろしながらも念入りに診察して、後日結果を教えると、私が不安になるくらい深刻な表情で言った。2日後、私の聞いた言葉は、
「お前の余命は50年くらいだ。残念ながら、お前は不治の病にかかっておるのだ。」
三人の部族の長老達が、副部族長まで、わざわざ私の家にやってきて、いかにも可哀想にという表情で私と私の両親をはじめとする家族に語った。下座で、背筋を伸ばして聞いていた私達は、蒼白になった。六芒星型紋からだんだんと線がのび、心臓に達すると私の魔力が暴走するように流れ込み、心臓を破裂させ、最終的には内臓全体を破壊してしまうというもので、そうなったら回復魔法も再生魔法も、老衰と同様に効果はないという代物だった。直す手段もない不治の病なのだ。感染はしないし、滅多にない病気で、魔法力の大きい者がかかることが多いらしい。
そして、私は将来の全てを失った。
もちろん家族や親族、家臣達も私のために悲しんでくれたし、に同情してくれて、親身になってくれた。自分の生きたいように生きなさい、やりたいことがあれば全力で応援してあげる、欲しいものはないか等々。
部族の長老達からもだった。本来なら100歳を超えるか、かなりの功績でもないと認められない聖騎士として正式に認定され、色々な特権さえくれた。
では、よかったではないかと言われるかもしれない。
そんなことはない。
まず、婚約が破棄された。相手が悪いわけではない。50年しか寿命のない女と結婚したら、まるで財産目当て、短い間だけだから我慢して、というように見られかねないし、僅かな間だけ過ごして、なんていうの悲恋物語ならいいかもしれないが、当人にとってはたまったものではない。そもそも、私はまだ40歳そこそこで、ハイエルフの結婚適齢期とされる100歳前後には達していないし、その前に死んでしまう。婚約相手もまだ50歳くらいである。100歳前に結婚してはならないという規則もないが、やっぱりいろいろ問題もあり、結婚は家と家の関係もあるのだからなおさらだから・・・。やむを得ないと、私は納得している。
だが、私は自分の婚約者を気に入っていたし、将来結婚する相手として意識し、好ましく思っていた。それは彼も同様だった。言うならば、相思相愛の仲まではいかないにしろ、それに近かった。だから、私にはかなりのショックだった。
それに、ハイエルフは長命であるから、子供が生まれにくいものの、最低でも雲孫までに囲まれた晩年を過ごすものだ。それが私には、子供すら得られないのだ。50年では子供が生まれるかどうかもわからないし、実際妊娠は禁止されている。このような病気の因子を、断つためである。それはやはりつらいし、寂しい。
それに、みんなが私は後僅かでいなくなるという目で、それは善意であり、同情であるのだが、やはり寂しい。
私は、3日間、本当にかなり落ち込んだ、家族もみんな、ひどく心配するほど。泣いて泣いて、大声で、この上もないくらいで、のたうちまわった・・・したかったが、できなかった。私は、聖騎士だから、そんなことはできるはずがなかった。
それが母の一言、
「50年・・・人間だったら、十分な寿命なのに・・・なんでハイエルフのあなたが・・・。」
と母は泣いていたが、私ははたと思いついた。
オーガ、オーク、ドアーフとかとは違い、人間達は短い寿命の中で人生の目的だとかなんだとか言って、懸命にもがいている。私は人間を見習おう、人間だと思おう、いや人間になろう、そうすれば、短い人生でも満足して死ねるかもしれない。うん、そうだ。まずは・・・あ、結婚しよう。だれがいいだろうか?
しかし、結婚するにしても誰と?過去つきあった人間と言えば・・・私が死ぬ前には死なない男は?これから付き合おう思っている男達の中では・・・。今、付き合っている、あいつは・・・。あいつ、あと50年間元気かしら?まあ、相性もいいし、そういう男だとハイエルフと結婚すると・・・でも、新しいカレにしようかなと思う彼の方がいい男で、可愛いし、頼もしいのは前の・・・誰にしようかしら?今の彼はいいと思ったけど、こだわるほどの理由はないかも・・・なかなかいい奴だし、どうしようかしら?
まあ、文句ないから手近なところで手を打っちゃおうか?冒険者仲間としては頼りになるし、よく気が付くしね、私に尽くしてくれるほうだし、真面目だし・・・それに夜の相性のぴったりだしね。それに、身分もハイエルフの聖騎士の家柄の私とまあまあ釣り合うくらいの騎士の家柄の出身だしね。
考えてみたら、前の彼達はもう新しい彼女と結婚、子つくり前提の関係になっているから、その彼女さんたちから奪うというのは、私なら簡単だけど、美人ハイエルフの私なら・・・、聖騎士としては・・・、それ以上に良心が痛むわよね。
新しい彼候補は、流石に今直ぐ結婚を迫ったら退くわよね?
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