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そして私達は結ばれた。

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 私は、反乱軍と外国軍と戦い続けることになった。革命政府は、イチジーク様の死後、もう混乱としか言いようがなかったわ。過激派~保守派まで、目車しく政権が変わり、軍隊の幹部も次々に消されてしまい、率いる者が超不足、私が、ピール公爵である私が、ピール公爵家軍だけでなく、国軍をも加えた軍を含めて、率いて戦わなければならなくなった。外国軍ならともかく、同国人と、しかも、少し前まで、
「奥様。」
「大公妃様。」
と呼んでくれていた連中を蹴散らすのは心が痛んだわ。それなのに、あいつらときたら、何のためらいもなく、その上、私に罵詈雑言を浴びせやがって~。

 そして、コリアンダー公爵サムロも同様だった。
 しかも、国軍大臣が彼の妻、ガマリアを惨殺した暴徒を指揮していた奴だった。それを前にして、訓示を受ける、私もともにだけど、彼の表情は、少なくとも引きつっていはいなかったわ。その彼に、糞大臣は彼にそのことを、彼にとっての悲惨な事件を思い出させるようなことを、口にした。よく我慢していたわね。
 でも、その後は、私が耐え忍ぶことになってしまったわ。パパイ大公様の遺臣達の抵抗に対して、パパイ大公様を
簡単に処刑した自分なら、簡単に鎮圧していたろうにと言いたてやがったわ、この糞野郎。あんたが下っ端だったことはよく知っているんだから。暴動を指揮したって言うのも、手下が何人いただけであって、しかも、暴徒の中にいたっていうだけでしょうが。あんたが大臣になっているのも、おべっかと人材難とどんな馬鹿な、汚い事でも命令されればやるということ、それから今の首相に気に入られているということだけでしょうが、この脳無し野郎。まあ、口に出すのも馬鹿らしいけど。

 戦術、戦略、作戦、人事に口をやたらにだすけど、物的、人的補給はてんでダメ。この男が、その一月後、引き上げてくれた上司によって断頭台の露になった時は溜飲が下がったわ。でも、この状況はこいつの前も後も同じ。イチジークが暗殺されて以降は、共和国政府は全く無能、無策。国防大臣は、その滓が回ってくる始末。少しはまともな奴もいたけど、そういう奴ほど早く解任されちゃったわ、しかもすぐに処刑された。
 だから、戦い、そして勝つためには、各地で軍政を敷いて、銃砲弾薬工場を稼働させて、鉱山を採掘させて、農業生産進めて、治安を回復させて、生活を安定させて、人的物的資源を調達するしかないのよね。私も、サムロもそれをやって何とか戦い続けた。土も草木も火と燃えて、果てなき荒野を幾千里、敵味方の屍と共に寝て、泥水啜り草をはみ、寒風酷暑ものかわと、鯨のベーコンや鯛の刺身とか、秘蔵のワインが目の前に浮かんでは消えたわ、東奔西走、の戦いだったわ。それ以上に、私の将兵も領民も次々に死んでいくのを見て、彼らが私を救うために身を犠牲にしているのを見て、こころが張り裂けるようだったわ。でも、ちり芥のように使って勝利を得なければならない、なんとしても生きて最後の勝利を得なければならない、そうしなければ彼らが何で死んでいったのか分からないじゃない、と心の中で叫び、無理やり納得させたわ。身が張り裂けるようだったわ。それを革命政権の糞婆、自分だけ生き残る臆病者ですってー、安全な王都にいてなに言ってやがるんだー。そんなことを心の中で叫んだ1か月後に、そいつが断頭台に消えてくれたわ。

「将軍の地位を解任?地方で人民を搾取している?わかった、わかった、わかったわよ。だから、さっさと帰ってね。」
 政府から派遣される国防委員会委員とかが乗り込んできて、私を逮捕、自分が代わるとのたまう連中が何度も来たわ。兵士に銃剣を突き付けて追い返したり、拘束して牢屋に放り込んだわ。男も女も、私を罵りまくり、騒ぎまわったけどね。私への処刑命令とかが暫くすると来るけど、その直後に取り消しの連絡と、処刑命令をだした政権が崩壊、関係者は断頭台行の報が入り、拘束していた連中が引き取られていったわ。もちろん、みんな処刑。散々罵った私に、哀れな態度で命乞い、助けを求めたりしたわ。ざまあみろなんて思わなかったわ、思っている暇もなかったわ。

 それでよく戦えたと思うわ。サムロも同様。軍政を敷いて、成功したようにも思うけど、邪魔ばかりはいって、徐々に窮迫。一大会戦となって、サムロと合流して臨んだけど、苦しい長い戦い、もうダメかと何度も思い、このまま逃げようと思ったことも一度や二度ではなかったわ。勝ったのが信じられないくらいだったわ。
 いろいろと要因はあるわ。私達の陣頭指揮、ピール公爵家、コリアンダー公爵家の軍、国民軍という存在、国内戦争で主に相手は外国の侵略軍と北方の、地元民ではない兵隊たち・・・そして、ヨオウナシの率いる部隊が全戦全勝、後方を徹底的に破壊、相手方の、こちらの後方は完ぺきなまでに確保、その結果相手側が動揺していたことも大きかった。彼は、軍民物資の確保、生産に手腕を彼は発揮した。ヨオウナシという存在は大きかった。

 肩を貸しあって、何とか立っていた私達は、
「あの時、君は輝いて、とてもきれいだった。今、こうして私の傍らにいるのが信じられない。」
「ああ、あなたも輝いていたわね。そのあなたが、私と支え合っているなんておかしいわね。」
 卒業式のパーティーのことを思い出していた、2人とも。
 そして、何故か唇を重ねていたわ。どちらともなく求婚・・・。

 何とか平和が・・・。でも、政府は穏健派になっていたけど、私達が邪魔者に見えたらしい。あの、故パパイ大公の宰相、軍師の化け物妻が私達を襲って、私達は返り討ちにしたけど、2人とも重体になり、それを利用して、拘束、身分はく奪・・・。
 その私達を救ったのはヨウオナシだった。彼さえいれば私達はいらないと思っていた政府は厚遇していた、と勝手に思っていた彼の怒り、反発に驚き、彼をなだめるために、私達に功労者としての名誉と、多額の年金、館を与えた。彼は、この時まで私達に忠実で、国を思う愛国者だった。

 その後、失脚あるいは死を期待されて海外侵攻を命じられ、その隙に私達はまた幽閉され、暗殺されかかったわ。何とか暗殺者を返り討ちにしたけど、重傷。その私達を救ったのもヨオウナシ。

 彼は私達に名誉ある待遇を与えてくれて、養生できるようにしてくれた。でも、この時既に彼は、私達への温情は残っていたけど、愛国者、市民の心はなくなっていた。野心家になっていた。彼は、政権を奪い、終身統領になった、自ら。その情報を聞きながら、私は記憶を失ったわ。


 
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